美容師として経験を積んだあと、独立を考える人は多いでしょう。特に1人美容室での独立は、スタッフの管理や人件費の心配がない分、独立に対する心理的なハードルが低く感じられる選択肢です。
本記事では、美容師が1人で独立する際のメリット・デメリットを詳しく解説するとともに、開業までの具体的なステップも紹介します。
まずは資料をご覧ください
目次
1人美容室の開業資金の目安はどれくらい?
1人美容室の開業には、一般的に800万円~1,000万円程度の資金が目安とされています。
ただし、この金額は立地や店舗の規模や、どの程度内装に手を加えるかによって大きく変動します。物件取得費や保証金、内装工事費や設備・備品購入費に加え、開業後の運転資金や広告宣伝費も準備しておくことが必要です。
独立にかかる費用や独立の際に必要なものについては、下記の関連記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
1人美容室を経営すると収入はどれくらい?
一般的に、美容室のオーナーの収入は「売上-経費」で求めることができます。
経費には材料費や店舗家賃などがあるほか、スタッフを雇っている場合は人件費も必要。そのため、売上の80%程度を占めることになり、差し引いた結果、一般的なオーナーの収入は売上の20%程度です。
スタッフの人件費は約35%と考えられているので、1人美容室であれば売上の約55%が収入に。この結果をもとに、下記で実際の数字を当てはめてシミュレーションをしてみます。
一人サロンの具体的な売上事例や収入シミュレーションについては、関連記事で詳しく紹介していますので参考にしてください。
年収のシミュレーション
前述した計算方法を利用すると、1人美容室のオーナーは、月の売上53万円程度で年収が350万円程度になり、美容師の平均年収を超えます。さらに、売上100万円の場合は、月収55万円、年収660万円になる見込みです。
月間売上50万~100万円でのシミュレーション結果は下記の通り。
1人美容室の収入を上げる方法
1人美容室のオーナーが収入を上げるためにはどうすればいいのでしょうか。2つの方法を提案します。
経費を削減し、利益率を上げる
1人美容室のオーナーが収入を上げる方法のひとつに、水道光熱費や材料費などの削減があります。
水道光熱費は、プランの見直しについて前述しました。材料費は、同じものでも複数の業者から相見積もりを取って比較検討することで、価格を抑えることができる場合があります。
どうしても削れない内容もありますが、適切なコストカット策によって利益率向上を目指しましょう。
積極的に集客を行う
お客様が増えれば、当然売上も上がり、結果的にオーナーの年収も増えやすくなります。そのため、集客をしっかり行ってたくさんのお客様に来店してもらいましょう。継続的に集客することで、リピートのお客様がつきやすくなり、安定した売上にもつなげられます。
美容師が1人で独立するメリット
1人美容室での独立には多くのメリットがあります。ここでは、7つのメリットについて詳しく解説します。
1.自分好みのサロンを作れる
1人美容室の最大の魅力は、サロンのコンセプトから内装、メニュー構成まで、すべてを自分の理想通りに設計できることです。雇われている立場では実現できなかった独自のサービスやこだわりの空間づくりが可能になります。
2.自分が理想とする接客ができる
お客様一人ひとりとじっくり向き合い、カウンセリングに時間をかけたり、リラックスできる雰囲気作りに注力したりと、自分が理想とするサービスを提供することも可能です。
また、技術的にも自分の得意分野に特化したメニュー展開で、差別化を図ることもできます。
3.収入がアップする可能性がある
1人美容室では、自分の技術力と営業努力が直接収入に反映されます。サロン勤務時とは異なり、売上から経費を差し引いた利益がすべて自分の収入となるため、頑張り次第で大幅な収入アップが期待できます。
4.人間関係の悩みが減る
1人美容室は自分一人で運営するため、職場での上下関係や同僚との競争、新人スタッフの育成など、多くの美容師が抱える人間関係の悩みがなくなります。
5.勤務日・勤務時間を自由に決められる
1人美容室なら「家族との時間を大切にしたい」「趣味の時間を確保したい」「体調に合わせて働きたい」など、個人の事情に応じて営業日や営業時間を調整できます。
6.初期投資が少なく自分の店を持てる
複数のスタッフを雇用する美容室と比較して、1人美容室は初期投資を大幅に抑えることができます。施術スペースや待合エリアも最小限で済むため、物件取得費や内装費、設備投資などのコストを削減できます。
7.人件費がかからない
スタッフを雇用しないため、人件費はもちろん、社会保険料などの法定福利費や人材募集・教育の費用も発生しません。売上から必要経費を差し引いた利益を、すべて自分の収入にすることができます。
美容師が1人で独立するデメリット
1人美容室にはメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。1人での独立を検討する際は、これらのデメリットも十分に理解した上で判断しましょう。
1.対応できるお客様の数に限りがある
1人で運営する以上、1日に対応できるお客様の数には物理的な限界があります。そのため、大幅な売上拡大は難しいでしょう。
2.自分が働けなくなると収入が途絶える
病気やケガなどで自分が働けなくなった場合、サロンとしての収入が完全にストップしてしまいます。
スタッフがいる美容室であれば、オーナーが不在でも営業を続けることができますが、1人美容室では代わりができる美容師を急に見つけることは難しいでしょう。
1人美容室を開業するための流れ
1人美容室の開業には計画的な準備が必要です。以下では、開業までの具体的なステップを順を追って解説します。
開業手順の詳細については、下記の関連記事も参考にしてください。
開業する美容室のコンセプト等を決める
まずは、美容室の基本となるコンセプトを明確に定めましょう。どのような雰囲気のサロンにしたいか、どんなお客様に来てほしいか、提供したいサービスの特徴は何かなど、詳細に検討します。
コンセプトが決まったら、それに基づいてターゲット顧客層を設定し、開業エリアを選定します。
事業計画を立てる
事業計画を立てることで、開業動機・提供するサービス内容・売上目標・必要な経費・事業の将来性などを具体的に、明確にしていきます。事業計画は経営の指針となるだけでなく、金融機関からの融資を受ける際にも必要不可欠な資料です。
開業エリアで物件を探す
コンセプトを決めた際に選定した開業エリアで、物件探しを開始します。
美容室として利用できる物件は、建築基準法や上下水道の配管などによる制限があるため、タイミングによってはなかなか良い物件が見つからない可能性も考えられます。そのため、物件探しは早めに取り掛かると良いでしょう。
物件選びのポイントについては、下記の関連記事も参考にしてください。
開業に必要な資金を調達する
物件の目星がついたら、物件の取得費用・内装工事費・設備購入費・開業後の運転資金など、必要な資金の総額を計算します。自己資金で不足する分については、融資などの利用を検討しましょう。
また、開業時に利用できる補助金や助成金制度もあるため、下記の関連記事も参考にしてください。
物件を契約し、内装工事に取り掛かる
ターゲットや予算などを総合的に考慮して物件を選び、契約を締結します。契約後は設計・施工業者と打ち合わせを重ね、内装や外観工事に着手します。
美容室は保健所による開設検査があるため、店舗の平面図ができあがったら、保健所へ持参して確認してもらいましょう。こうして事前に相談を行っておくことで、そのあとの申請や検査を円滑に進められます。
また、消防署にも同様に事前相談を行っておくと安心です。開業許可を得る際に必要となる書類の種類が店舗条件によって異なるため、事前相談の際に確認しておきましょう。
備品や設備の購入・設置を行う
内装工事のスケジュールとの兼ね合いを見ながら、設備の購入を進めます。
美容室運営に必要なシャンプー台・セット面などの専門設備のほか、タオルやケープなどの備品も準備が必要です。
集客や予約導線を整備する
ホームページの作成・SNSアカウントの開設・Googleビジネスプロフィールの登録などを行い、集客をはじめましょう。
その際、スムーズな予約管理のために予約システムの導入は欠かせません。なかでも特におすすめなのが、美容サロンに特化した予約管理システム「リザービア」です。
リザービアは単なる予約管理ツールではなく、集客や顧客管理に役立つ機能も備えているため、1人美容室の運営効率化に大きく貢献するでしょう。
1人美容室におすすめのシステムについてさらに詳しく知りたい場合は、下記の関連記事も参考にしてください。
開業に必要な届け出を行う
開業予定日の2~3週間前を目安に、保健所に開設届を提出し、立ち入り検査を受けます。検査で基準を満たしていることが確認されると、保健所から「美容所適合確認書」が発行されます。
同様に、消防署にも必要書類を提出し、現地調査を受けます。消防法令に適合していることが確認されれば、営業許可がおります。
さらに、開業日から1ヶ月以内に税務署に開業届出書と青色申告承認申請書の提出も必要です。
美容室を開業する
すべての準備が整ったら、いよいよ開業です。
開業直後は認知度が低いため、オープンキャンペーンの実施や特別価格での施術提供など、積極的な集客活動を行いましょう。また、SNSでの情報発信などの集客活動も継続的に行うことが重要です。
まずは資料をご覧ください
1人美容室のメリットとデメリットを理解した上で検討しよう
1人美容室での独立には、自分好みのサロン作りができるなど多くのメリットがある一方で、対応可能なお客様数に上限があるなどのデメリットも存在します。これらのメリット・デメリットを十分に理解した上で、独立を検討しましょう。
1人で円滑に美容室を経営するためには、効率的な予約システムの導入や集客の仕組み作りが不可欠です。限られた労力と時間を上手に活用してサロン運営を行うためにも、しっかりとした準備と適切なツール選びを心がけましょう。