独立して自分のネイルサロンを開くというのは、ネイリストなら一度は憧れる夢。しかし、いざ独立を決めたものの、何から手を付けたらいいか迷ってしまっていませんか。
今回はネイルサロンを開業したい方のために、ネイルサロンオープンに向けて必要な情報をまとめました。
開業に必要な資金や届出の種類、自宅開業やフランチャイズなど、それぞれの開業方法について、メリットとデメリットを解説しています。
また、本記事は、東京・銀座エリアで大人気のネイルサロン『la vela tokyo』のオーナー田崎 明日香様に、記事の監修とコメントをいただきました。ぜひ、ネイルサロン開業のための参考にしていただければ幸いです。
目次
ネイルサロンを開業する前に必要な資金は?
サロンを開業するということは、ネイリストとしてだけでなく、『経営者』になることも意味します。店舗経営のための知識を蓄え、しっかりと準備をして開業を成功させましょう。
ネイルサロンをオープンするにあたって必要な資金は、店舗を構えて開業するか、自宅で開業するかによって大きく異なります。 ここでは、ネイルサロン開業に必要な資金を店舗型、自宅型、フランチャイズの3つに分けて説明します。
この章の前半では、それぞれの開業方法のメリットとデメリットを解説し、後半で必要な資金を開業方法別に紹介していきます。
テナント開業・自宅開業・フランチャイズそれぞれのメリットとデメリットは?
まずはテナント・自宅・フランチャイズそれぞれの開業方法について、メリットとデメリットをご紹介していきます。どんな店舗にしたいか、準備できる資金などを想定しながら、自分にピッタリの開業方法を選んでいきましょう。
テナント開業のメリットとデメリット
テナント開業の場合のメリットは、立地を選びやすい点です。資金との折り合いがつけば駅前などの好立地に店舗を構えることができるため、集客に有利となります。
デメリットは、初期費用やランニングコストが高くなってしまう点です。特に好立地の場合、集客のしやすさと引き換えに多くの資金が必要です。キャッシュフローの計算をしっかりしないと経営に行き詰まりやすくなってしまいます。
自宅開業のメリットとデメリット
自宅で開業する場合のメリットは、自宅をそのまま使うため敷金などの物件取得費がかからない点です。通勤の必要がなく、うまく予約時間を調整すれば、家族との時間を大切にしながら営業ができることなどがあげられます。
デメリットは、生活感が出てしまいがちで、非日常な空間としての演出が難しいこと。また、自宅の住所であるがゆえに大々的な集客がしづらいことなどが挙げられます。
フランチャイズ開業のメリットとデメリット
フランチャイズによる開業の場合のメリットは、すでに知名度があることが多いため、その恩恵を受けることができ集客に有利な点です。仕入れコストを安くできる、経営のノウハウなども指導してもらえるため未経験でも参入しやすいことです。
デメリットは、契約にもよりますが、売上の良し悪しに関わらずロイヤリティの支払いがある点です。思い描く営業スタイルがあっても、本部の方針やマニュアルに従わなければならないことなどがあげられます。
テナントで開業する場合に必要な費用の内訳は?
店舗を借りて開業する場合に必要な資金を見ていきましょう。
店舗を借りる場合、必要な資金は立地によって大きく変わります。内装や外装費用は居抜き物件を見つけられれば、かなり抑えることができるでしょう。
特別な空間を演出するには家具や照明などの什器費もある程度かけたいところですが、フリマアプリやリサイクルショップを利用するなど、工夫次第で抑えることも可能です。開店前からお店の存在を知ってもらうために広告宣伝費はしっかり準備する必要があります。
自宅で開業する場合に必要な費用の内訳は?
自宅の一部を改装するなどして開業する場合の費用は以下のとおりです。
自宅サロンの場合、店舗開業に比べると規模が小さくなるため、家具・設備代などは1/2~2/3程度に抑えられる可能性があります。自宅開業では、間取りの変更などが必要なければ壁紙を変える程度の費用で済むこともあります。
店舗用と自宅用で入口を分ける場合や、看板の設置の有無など、どこまで手を加えるかで大きく費用は変動します。マンションの場合、そもそも商業利用ができない物件もあるため事前の確認は必須です。
自宅を改装して開業するポイントやオシャレにするコツなどは下記の記事で詳しく解説していますので、よろしければ参考にしてください。
自宅でサロンを開業!そのメリットとおすすめの間取りや改装の注意点を解説
フランチャイズに加盟して開業する場合に必要な費用の内訳は?
フランチャイズで開業する場合に必要な費用は下記のとおりです。
フランチャイズ開業では、本部との契約によって内容が大きく変わります。物件をフランチャイズ本部が準備してくれるのか、オーナー自ら準備するかによっても準備資金は変動します。
ここに研修費用などが加わることもありますが、フランチャイズの場合すでに同モデルでの成功例があるため銀行の融資を受けやすいといわれています。
設備・消耗品費
ネイル用の椅子やベッド、待合い用の椅子やネイリスト用のスツールなどの設備、ネイル用品も準備しなければなりません。
事務用品やインターネットの回線とその工事費なども必要で、こまごまとした雑費や消耗品を揃える資金のことも考えておきましょう。
ネイルサロン開業に必要な道具などは下記の記事で詳しく紹介しています。
ネイルサロンの開業方法とは|必要な道具などを具体的に紹介
ネイルサロン開業で申請できる助成金
個人事業主による新規開業に助成金や補助金が適用されることがあります。
助成金は国や県などによる制度で、一定の条件を満たすことで支給されます。
補助金は同じく国や地方自治体などによる若手や女性のリーダー育成プログラムや地方創生の一環などで受付期間があり、申請をして審査に通る必要があります。
詳しくは以下の記事で紹介していますので、参考にされてください。
オープンまでの基本的な流れは?
ネイルサロンをオープンしたいと考えていても、やることが多すぎて何から手を付ければよいか分からない方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、具体的にネイルサロンをオープンするにあたってのアクションを、詳しく項目別に解説していきます。
オープン予定日(スケジュール)を決める
まずはオープンを予定する日を正確に決めないと、開業準備が一向に進みません。
個人サロンであれば3カ月でオープンも可能ですが、従業員を雇う場合や内装を工事する場合は半年以上の期間を見ておくと良いでしょう。
物件を決め、インフラの準備をする
エリアを決めていても、物件を早めに決めないと後の準備が進みません。
居抜き開業をする場合に比べ、新規開業で内装工事もする場合は、時間が大幅にかかります。特に、内装工事は遅延の可能性も考えられるので、余裕をもったスケジュール組みを心がけましょう。
また、物件の契約以外にも、電気や水道、電話やインターネットなどの申し込みを済ませておきましょう。
求人募集を行う
複数人のネイリストで営業をしたい場合は、求人募集も早めにする必要があります。
すぐに集まらない可能性があるので、物件が決まったら真っ先に募集をかけておきましょう。
オープニングスタッフが決まったら、開業に向けた研修を行う必要があります。
什器・家具の準備
サロン内の設備は、物件が決まらないと搬入できません。
サロンのイメージに合わせて用意する必要があるため、事前に気になる什器や家具は、リストアップしておきましょう。
SNSの開設
SNSは、ネイルサロンの宣伝を行う上で重要なチャネルです。特にInstagramの開設は、現在ではほぼ必須といえます。
独立前に、ネイリスト個人のInstagramを持っている方も多いと思いますが、店舗のアカウントも併せて作成することで、店舗の情報とスタッフの情報を相互に使い分けることができるようになります。
また、店舗のInstagramページに、キャンペーン情報や得意な施術例を載せることで、お客様に店舗に来ていただきやすくなります。
ホームページやブログ開設
SNSと併せて、ホームページやブログもオープン前にできる効果的な集客方法です。
ホームページやブログは、無料で開設できるものも多くあるので、ぜひ開設をおすすめします。
ネイルサロン開業とともにホームページを作るメリットやコツは、下記の記事で詳しく解説しています。
宣伝ツールの活用
開業に際し、チラシやメンバーズカード、カルテといった用意を忘れずにしましょう。
また、開業前には事前に、ミニモやネイリーといったサービスや、ネット予約サイトの導入と準備を整えておくと、オープン後の集客に期待ができます。
オープン直後は新規のお客様を入れる最大のチャンスです!早めの準備がオープン後の営業を大きく左右しますので、少しでも多くの見込み顧客に宣伝しておきましょう。
オープン準備
ネイルサロンの場合、カラー見本やデザインサンプルなど、細々したサロン用品の準備も必要です。道具の仕入れもこの時期に合わせて発注しておくと良いですね。
ある程度設備が整わないとこの作業はできませんので、施術台が完成したらすぐに取り掛かり、お客様を迎え入れる準備を着々と進めましょう。
集客方法のプランの立て方は?
ネイルサロンの開業では、開店前からしっかりと集客方法を考え、プランを立てることが大切です。一年間に1,000店舗もの出店があるとされるネイルサロン。競争も激化しています。
個人店が生き残っていくには、さまざまな集客方法で種をまき、できる限り取りこぼしを防いで確実に来店につなげていくことが重要となります。
ネイルサロンの集客方法の種類や集客のポイント、注意点などは下記の記事で詳しく解説しています。
ネイルサロンを開業するために必要な資格・届け出は?
ネイリストとして現場に出る場合は一定の知識や技術が必要なのは大前提ですが、ネイルサロンの開業自体は、特別な資格や営業許可は必要ありません。 営業許可や保健所への届出などを行う必要もなく、個人でもサロンを開業することができます。
サロンを開業するときは個人事業主としての届出が必要
開業に特別な資格が必要ない一方で、サロンオーナーとして独立する場合は、法人登記を最初からする場合を除き個人事業主になりますので、管轄の税務署にて「開業届」を提出しなければなりません。
開業届は事業を開始してから1ヵ月以内に届け出る必要がありますので、早めに手続きを済ませましょう。 なお、個人事業主になると毎年確定申告を行うことになりますが、特別控除を受けられる青色申告事業者になるためには、その年の3月15日まで(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合は業務開始から2ヵ月以内)に、所轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
特別控除を受けると最大65万円の控除が適用されますので、長くサロンを営業する予定があるのなら、青色申告事業者になることを検討した方がよいでしょう。
資格は必要?もっていると有利な資格は?
独立開業してサロンを開く場合、オーナーにはネイリストとして一流の知識・技術・経験が求められますので、ネイルスクールやネイリスト通信講座などを利用したうえで、ネイリスト専用の資格取得を目指した方がよいでしょう。
ネイルスクールや通信講座の受講、さらに資格試験の勉強にはそれなりの期間が必要になります。 ネイルサロンの開業を目指すのなら、早い段階から資格取得に向けて行動を開始することをおすすめします。
オープン後、長く成功するためには?
ネイルサロンをオープンしても、それがゴールではなく、お客様に長く通っていただけるようなサロンづくりをしなくてはなりません。
そのために、サロンを継続していくためのヒントをご紹介します。
サロンのコンセプトをしっかりと持つ
サロンを開業する上では、まず対象とするお客様のペルソナを考えた上で、しっかりとしたコンセプトを決める必要があります。
例えば、『30代以降の大人の女性』に『身だしなみとしてシンプルなデザイン』を楽しんでいただくサロンや、 『流行に敏感な20代』に『最新のネイルデザイン』を提供するなどといった、しっかりとしたコンセプトと設定することで、対象となるお客様を絞り込み、効果的なアピールをすることができます。
一方で、営業を続けるにあたって、思っているよりも来客が少ないと、コンセプトを変更したくなってしまうことがあると思います。
もちろん、時代や流行の変化と共に、サロンも進化していく必要はありますが、一方でお店のコンセプトを失ってしまうほどの変化をしてしまい、どのお客様からの支持も受けられないサロンになってしまっては、周辺の他サロンにお客様が移ってしまう可能性があります。
どのようなコンセプトにしても、『来てもらいたいお客様のターゲット』だけはぶれないよう、ベースのコンセプト部分を忘れないようにしましょう。
お客様が、
・どこにお住まいの方か
・休日は何をしてお過ごしか
・お住まいのエリアはどこか
・趣味はどのようなものか
を、スタッフ一人一人も考えた上で、好まれるInstagramの投稿を必須にしています。
スタッフとお客様に喜ばれる店舗づくりを意識しよう
ネイリストは人を喜ばせる仕事です。
働く人が笑顔でなければ、お客様を笑顔にすることはできません。自分とスタッフの笑顔がお店の雰囲気にも大きく影響するので、自分とスタッフが働きやすい環境をしっかり整えておきましょう。
例えば、サロンの清掃をきちんとすることは、サロンの規模や、立地などに関係なく、誰にでも出来て、お客様とスタッフの満足度に繋がる要素です。
ネイルサロンの開業・経営に不安を感じたらプロに相談してみる
サロンを経営するにあたり、「このままで良いのかな?」「この部分はどう対処したら良いの?」など、様々な壁にぶつかることがあると思います。
そんな時は、誰かに相談することがおすすめです。
相談相手が見つからない場合は、取引先や地元の商工会議所に尋ねるか、同じネイル業界で働くネイリストや、サロン経営者などが悩みを共有しやすいでしょう。
商工会議所では起業に向けたサポートや専門の相談員がいますし、ネイルサロンに従事している人からは、業界の最新情報を知ることができます。
まずは資料をご覧ください
ネイルサロン開業を成功させるには、計画的な行動が重要!
ネイルサロンの開業を成功させるためには、計画をしっかりと立て、オープン後の集客を想定した早め早めの行動を実行することがカギとなります。
本記事が、理想のネイルサロンをオープンさせるための参考になれば幸いです。
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