「いずれは独立して自分のサロンを経営したい」と考えているエステティシャンは少なくないでしょう。しかし、施術に関する知識やスキルが優れているだけでは、エステサロンの経営を成功させることはできません。
本記事では、エステサロンの経営を成功させるために気をつけるべきポイントに加え、閉店してしまうエステサロンの特徴も紹介します。
目次
エステサロンを開業するまでの流れ
エステサロンを開業する際は、下記の流れで進めることが一般的です。
- 事業計画を立てる
- 資金の調達
- 物件の準備
事業計画を立てる際に、サロンのコンセプト決めやターゲットの選定も行います。サロンのコンセプトを明確にすることで、施術メニューや内装など、全体として統一感ができ、ターゲットの客層にわかりやすいサロンが作れます。
また、事業計画を立てることで、必要な費用がある程度把握できるでしょう。
開業に必要な費用に不足がある場合は、その不足分の調達が必要です。金融機関や日本政策金融公庫からの借入のほか、活用できる補助金や助成金がないかも調べてみましょう。
開業資金の目処がたったら、物件を探し、開業に向けて機材・設備・内装などの準備を進めます。
そしてサロンの開店前からSNSなどを活用して、サロンの宣伝・集客を行いましょう。
開業までの詳細な流れや必要となる費用については、下記の記事を参考にしてください。
個人事業主と法人どちらが良い?
個人事業主と法人では開業のために必要な手続きが異なります。
開業当初から高い収益が見込めている場合は、節税などを目的に法人での設立も検討の余地があるでしょう。しかし、そういった事情が特にない場合は、個人事業主として開業し、事業が順調に成長してから法人化を検討することをおすすめします。
個人事業主としての開業と法人として開業する場合の違いについては、下記の記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
エステサロンの経営を成功させるためのポイント
エステサロンは数多くあり、提供する施術レベルの高さだけで経営を成功させるのは難しいでしょう。
ここでは、エステサロン経営を成功させるために必要な6つのポイントを紹介します。
集客導線の確保
エステサロンの集客には、SNSなどを活用したオンライン集客とチラシなどを活用したオフライン集客といった方法があります。しかし、やみくもにすべての方法に手を出しても、効果につながるとは限りません。
効果につながる集客を行うためには、サロンのターゲットを明確にし、ターゲットに合わせた集客手段を選びましょう。
集客のコツについては下記の記事も参考にしてください。
リピーターの獲得
エステサロンの経営を安定させるためには、リピーターの獲得が欠かせません。
新規顧客は、集客の手間や費用などのコストがリピーターに比べ高くつきます。そのため、新規顧客を増やし続けるよりもリピーターを増やす方が、結果的に労力も金銭的なコストも少なく済み、長期的な経営の安定化につながります。
リピート率を上げる具体的な方法については、下記の記事を参考にしてください。
エステサロン経営に必要な知識の習得
サロンを円滑に運営するためには、経営ノウハウ・経営者としての心構え・税金の知識や手続きの方法・関連法規などを学びましょう。
経営についての知識の習得方法や役立つ資格については、下記の記事で詳しく紹介しているので参考にしてください。
他店との違いの明確化
数あるエステサロンのなかから選ばれるためには、他店にはない自店の強みをアピールすることが重要です。
サロンのコンセプトを明確にし、そのコンセプトに沿ったターゲット選定や施術メニュー決定をし、他店との違いを明確にアピールしましょう。
他店との差別化により集客が成功した事例
他店との差別化により集客が成功したエステサロン『レスキューサロン ページボーイ』の田中 美佳様は、インタビューのなかで、ご自身の強みについて次のように答えています。
「エステは民間資格が多く存在しますが、私はプロとして、ディプロマではなく美容師や栄養士の国家資格を持っている点を強みとしています。
資格を持っていることで、ウェットヘッドスパの施術ができたりと、お客様の美を実現するための施術を実施できる点が特徴です。」
スタッフ育成環境の構築
当然ながら、店舗スタッフの質は固定客を獲得するのに大変な影響があります。技術はもちろんですが、接客サービスの質などもお客様がサロンをリピートする重要な要素です。
サロンのコンセプトに合わせたスタッフになってもらえるよう、しっかりと教育の時間を確保していきましょう。優秀なスタッフを育成することが、エステサロン経営を成功させる近道かもしれません。
予約・顧客管理の効率化
予約システムを導入するメリットは、予約状況・顧客情報を簡単な操作で管理できることです。人の手で管理するのではどうしても防げない予約のダブルブッキングを、オンライン上なら大幅に削減できます。
また、顧客情報もカルテで一緒に保存しておけるため、一度来店したお客様へのクーポン配布や新メニューのお知らせを一斉にメールで送付も可能です。
このように、予約管理システムを導入することで業務が効率化でき、円滑なサロン運営にもつながるでしょう。
予約システムにはさまざまな種類があります。エステサロンでの導入におすすめのシステムや選び方のポイントについては、下記の記事をチェックしてみてください。
予約経路を見直して広告費の削減に成功した事例
予約管理システムの導入が、コスト削減につながるケースもあります。
予約システムを導入したことで広告費の削減に成功したフェイシャルエステサロン『Butterfly Maiden【バタフライメイデン】』の波多野 美樹様は、インタビューのなかで、予約経路を変更した経緯について次のように答えています。
「大手クーポンサイトの掲載料金が高く、悩んでいました。
そのため、クーポンサイトの契約を見直すのと並行して、予約システムを探していました。そのなかで、問い合わせた際の電話対応の良さや知っているサロンでも利用していることから、リザービアの契約を決めました。
大手クーポンサイトは今でも掲載していますが、無料プランに変更し、メニューと口コミだけの掲載にしています。
現在では、既存のお客様がリザービアを経由して予約してくださっているため、これまで予約手数料としてかかっていた分の費用がかからなくなりました。
年間を通して、広告費が70万円くらい削減できていると思います。」
閉店してしまうエステサロンによくある特徴
経営が上手くいかずに閉店してしまうエステサロンには、以下のような特徴がみられることが多いです。
- 施術のレベルやサービスの質が低い
- 価格設定が合っていない
- 経営知識が不足している
それぞれの特徴について知った上で避けることは、エステサロンの経営をする上で重要です。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
施術のレベルやサービスの質が低い
施術のレベルやサービスの質にお客様が満足しなければ、リピーターが増えることはありません。その結果、手間や費用などの集客コストをかけて、新規のお客様を呼び込み続けなければならなくなります。
また、クーポンサイトやGoogleの検索結果に表示されるビジネスプロフィールなどに、良い口コミがまったくなければ、新規の集客さえも難しくなるかもしれません。
価格設定が合っていない
施術やサービスの内容と価格のバランスが適切でなければ、経営を成り立たせることは難しいでしょう。
高すぎる価格設定はリピートにつながらない原因になりますが、安すぎても収益が安定しないため、経営を続けることが難しくなってしまう可能性があります。
ターゲットとしている客層と施術内容から、適切な設定価格を見極めましょう。その際、ライバル店が提供しているメニューや価格のリサーチも、欠かさず行うことをおすすめします。
経営知識が不足している
経営知識の不足が、エステサロンの閉店につながる可能性もあります。
損益をきちんと把握できていないと、予約は入って売上はあるのに、経費がかかりすぎて利益がない、といった赤字の状態を招きかねません。
ほかにも、ライバル店との低価格競争に巻き込まれたり、広告の費用対効果を見誤って効果がでないまま出費だけがかさんだりと、さまざまなケースがあります。
開業前にサロン経営の講座を受講するなどして、経営の知識を身に付けておきましょう。
また、さまざまなパターンの失敗例を知っておくだけでも、それを回避するのに役立つかもしれません。
成功ポイントを押さえてエステサロンの経営を軌道に乗せよう
エステサロンは国家資格がなく、美容業界のなかでは開業しやすい職種だと言われています。しかし、経営を軌道に乗せられず廃業になってしまう店舗も少なくありません。エステサロン経営には、施術に関する技術だけでなく、経営の知識や判断力も大変重要です。
まずは基本に忠実に、成功するサロンと閉店するサロンそれぞれの特徴をふまえ、できることからコツコツと積み上げていきましょう。