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美容室がオンラインショップを作るメリット
これまで対面販売で店の商品を販売していた美容室オーナーの中には「苦労してまでECサイトを立ち上げる必要はあるの?」という疑問を抱く方も多いでしょう。
確かにECサイトを新たに立ち上げるのは少々手間がかかりますが、美容室がECサイトを作成すると以下のようなメリットがあります。
1.機会損失を防げる
美容室で販売する商品というと、シャンプーやコンディショナー、トリートメント、ヘアスタイリング剤などが挙げられますが、これらはいずれも消耗品ですので、なくなったタイミングで購入するのが一般的です。
しかし、美容室を訪れるタイミングと、シャンプーやコンディショナーがなくなるタイミングは必ずしも一致するとは限らず、「美容室に行く前にシャンプーがなくなってしまったから、仕方なくドラッグストアで別の商品を購入した」など、販売するチャンスを逃してしまう可能性があります。
ECサイトで24時間365日いつでも注文できるようにすれば、消耗品がなくなったタイミングに合わせて購入できるので、機会損失を防ぐことができます。
2.販路を拡大できる
対面販売の場合、美容室を利用するお客様にしか商品を販売することができませんが、ECサイトならサロンの利用者以外にも販路を広げられます。
商品を使って気に入ったら、「美容室にも行ってみようかな」と考えるお客様が増える可能性もあり、新規顧客の獲得にもつながって一石二鳥です。
3.商品を詳しくアピールできる
美容室では後の予約が詰まっているので、商品の説明やアピールはもっぱら施術中に行われます。
そのため、商品を説明する時間は自ずと限られてしまい、その特徴や魅力をしっかり伝えきれない場合があります。
ECサイトなら、画像などを掲載しながら商品の特徴・魅力をしっかりテキストで伝えられるので、お客様の購買意欲をより高めることができます。
美容室がECサイトを作る際のデメリット
美容室がECサイトを開設するのにはたくさんのメリットがある反面、いくつか注意しなければならないポイントもあります。サイトを立ち上げてから後悔することのないよう、あらかじめ以下のようなデメリットがあることも念頭に置いておきましょう。
1.ECサイトの構築に手間と時間がかかる
魅力的なECサイトを作るためには、画像の用意や選定、文言の作成、レイアウトの構築など、さまざまな準備を行わなければなりません。
さらに、ECサイトは一度作成したらそれで終わりというわけではなく、定期的に新商品をアップデートしたり、お客様の要望に応じてサイトの使い勝手を見直したりする必要があります。
最近はECサイトを簡単に立ち上げられるサービスも数多くリリースされていますが、管理・運用には相応の知識を持つ人材と、それなりの手間・時間がかかることを覚えておきましょう。
2.梱包・発送という新たな業務が増える
対面販売の場合、その場で簡易的に包装してお渡ししますが、ECサイトでの販売となるときちんと梱包し、宅配業者で発送の手続きを行う必要があります。
発送に関しては集荷手続きを依頼すれば、わざわざ宅配業者まで持ち込む必要はありませんが、梱包作業に関してはスタッフ総出で行わなければならず、本業とは別の業務が増えてしまいます。
3.在庫の管理が複雑になる
対面販売とECサイトでの販売を並行して行う場合、それぞれで在庫管理が必要です。対面販売とECサイトを区別せず、一緒くたに在庫管理していると、「ECサイトで在庫を使い切ってしまい、対面販売できる分がなくなった」などのトラブルが発生する原因となります。
販売チャンスの拡大を目的として立ち上げたECサイトが、新たな機会損失を招いてしまっては本末転倒ですので、在庫管理は店舗とECサイトで分けて行う必要があります。
そのぶん、対面販売のみの場合より在庫管理が複雑になりやすく、オーナーやスタッフの手間が増える点に注意が必要です。
美容室のオンラインショップで売るべき商品とは
美容室の売上アップのために、ECサイトで販売するべき商品を2種類ご紹介します。
1.美容室で使っている商品
美容室のECサイトで販売する商品といえば、やはり店舗で実際に使っているヘアケアアイテムでしょう。
美容室では施術の一環としてシャンプーやトリートメント、スタイリング剤などを使用しますが、仕上がりや使い心地の良さを実感したお客様から「ここで使っているシャンプーが欲しい」と言われることも多く、ECサイトでの高い需要を見込めます。
物品販売の場合、人件費がかかるカットやパーマなどの施術とは異なり、コストはほぼ材料費のみとなるため、ECサイトで商品を販売すれば、効率よく売上を伸ばすことができます。
ただし、メーカーが製造し、美容室向けに販売している商品の多くは、美容室のみで販売することを許された「美容室専売品」となっており、美容室以外の場所で販売することが禁じられています。
たとえ美容室が立ち上げたECサイトであっても、既存顧客以外の人に向けてオープンに商品を販売することはできません。
そのため、ECサイトで取り扱う商品については、メーカーとの契約内容をあらかじめ確認しておく必要があります。
なお、既存顧客向けのアプリを通して販売するなど、利用者を限定すれば美容室専売品をネット販売することも可能ですが、より多くの人に商品を販売したいのなら、後述するPB商品の開発を検討することをおすすめします。
2.ギフト券
美容室を利用するお客様の中には、「お気に入りの美容室の利用券を家族や友人にプレゼントしたい!」と希望される方もいます。
そんなお客様向けに、カットやカラー、パーマ、トリートメントなどのサービスをギフト券として販売すれば、親しい人の誕生日や、母の日・父の日などのプレゼントとして活用してもらえるようになります。
ギフト券を使って来店されたお客様に気に入ってもらえれば再来店してもらえる可能性もあるため、新規顧客の獲得やリピーターの確保にも役立ちます。
販売商品を増やすなら!OEMやPB商品の取り扱いも検討すべき
ECサイトでは美容室で実際に使っているアイテムを販売するのが基本と説明しましたが、前述の通り、取り扱っている商品によっては広くネット販売することを禁じられているものもあります。
その場合、ECサイトを立ち上げてもネット販売できる商品が限られてしまい、費用対効果の低いサイトになってしまうおそれがあります。
そこでおすすめしたいのが、PB商品の開発・販売です。PBとはプライベートブランド(PrivateBrand)商品の略称で、企業や店舗が独自に開発したブランドのことです。
美容室の場合、自分の店で考案したヘアケア用品やコスメを、受託会社(OEM)に依頼して製造・使用・販売することになります。
メーカー品に比べると、PB商品は内容物から容器まで自由にデザインできる、販売価格や利益率を任意で設定できる、オリジナルブランドを立ち上げることによってサロンのコンセプトや世界観をアピールできるなど、さまざまなメリットがあります。
また、開発した商品の所有権や販売権は依頼主である美容室側にありますので、販売チャネルや販路の決定も自由。
対面販売だけでなく、ECサイトで不特定多数の人に向けて商品を販売することができるため、より多くのターゲット層を取り込むことができます。ただ、PB商品は一般的に仕入ロットが大きいため、初期投資に多大な費用がかかるほか、大量の在庫を保管しておくスペースも必要になります。
また、名のあるメーカーが開発した商品に比べると、PB商品は知名度や実績が少なく、美容室の既存客以外はなかなか手を出しにくいというのが実状です。
そのため、ECサイトでPB商品を取り扱う場合は、まとまった費用と十分なスペースを確保するのはもちろん、ECサイトへの集客にも工夫を採り入れる必要があります。
ECサイトとPOSで管理している在庫を連動できると管理が楽!
「美容室がECサイトを作る際のデメリット」でも説明しましたが、対面販売とECサイトでの販売を両方行う場合、店舗とECサイトの在庫管理が複雑になりやすい傾向にあります。とくにPB商品を取り扱う場合、大量の在庫が発生するため、手動で在庫管理を行おうとすると、かなりの手間と時間がかかります。
そんなときは、POSシステムを導入して店舗とECサイトの在庫を連動させるのがおすすめです。
POSシステムのPOSとは「Point of Sale(販売時点情報管理)」の略称で、日々の売上を商品ごとに記録・集計・分析することができます。
最も代表的な例がPOSシステムを導入したレジ、いわゆるPOSレジで、精算時に打ち込んだデータ(販売した商品の種類、個数、価格、顧客情報など)をネットワークを介してコンピューターに送信し、自動で記録・集計・分析する仕組みになっています。
POSシステムは在庫管理にもうってつけのサービスで、あらかじめ在庫の数をデータとして登録しておけば、売れた数が自動で反映され、現在どのくらい在庫が残っているかをリアルタイムに把握できるようになります。
POSシステムを利用すれば、実店舗で売れた数と、ECサイトで売れた数が自動で記録・集計・分析されるので、いざというときに在庫が足りない!といったトラブルを未然に防ぐことができます。
また、手作業による在庫管理に比べると売上の集計や分析も楽になるほか、記録ミスなどのヒューマンエラーも発生しにくくなるため、売上や在庫にまつわる業務を効率化できるところも大きなメリットです。
POSシステムの導入には初期費用や維持費がかかりますが、在庫管理や売上の集計・分析などにかかる手間と時間を考えると、導入した場合の費用対効果は非常に大きいため、ECサイトを運用するのなら、POSシステムの導入を検討されることをおすすめします。
関連記事:用途別POSシステムの選び方|POSシステムのメリットとデメリット
商品を探すならネットより美容室専売品がおすすめ
美容室専売品は、メーカーとの取り決めにより、美容室でしか販売できないルールになっていると説明しましたが、実際に大手ECサイトなどをチェックすると、美容室専売品が販売されているケースも少なくありません。
中には美容室で購入するよりも安く販売されているものもあり、「同じものなら少しでも安い方がいい」と大手ECサイトで美容室専売品を購入するお客様も多いようです。確かに同じ商品をより安く購入できるのは大きな魅力ですが、美容室専売品を大手ECサイトなどで購入することには、大きく分けて2つの注意点があります。
使用期限が切れている商品がある
まず1つ目は、使用期限が切れている商品が多く出回っていることです。
そもそも、なぜ美容室専売品が大手ECサイトで販売されているのかというと、余った在庫や、閉店した美容室が保有していた在庫を安値で買い取り、ECサイトで販売している業者がいるためです。
もとが「余りもの」ですので、製造年月日が古くなっているものも多く、未開封のものでも品質が劣化している可能性があります。一般的に、シャンプーの使用期限は開封済みで半年~1年、未開封なら3年程度とされていますが、オーガニック商品など防腐剤フリーのものは使用期限がさらに短く設定されているものもあります。
品質が劣化したシャンプーやコンディショナー、トリートメントなどを使用すると、美容室での使い心地や仕上がりにギャップを感じたり、場合によっては頭皮や髪にトラブルが発生したりするリスクもあります。
自分に合う商品を選ぶのが難しい
2つ目は、自分に合った商品を選ぶのが難しいところです。
美容室では、お客様の頭皮や髪の状態、現在の悩みやニーズなどを総合的に判断し、最も適切と思われる商品を提案します。
たとえば、頭皮の乾燥や髪のパサつきが気になっている方には保湿効果の高いヘアケア用品を、頭皮のベタつきやにおいが気になっている方にはクレンジング力に長けたシャンプーをおすすめするなど、お客様一人ひとりにぴったり合ったアイテムを提供することで、悩みの解消を目指します。
一方、大手ECサイトで適当にシャンプーを選んだ場合、自分の悩みやニーズに必ずしも合致するとは限らず、「値段が高いわりに効果がない」と商品選びに失敗してしまう可能性が高いです。
自分の悩みやニーズに対応していて、かつ安心・安全に使える商品を希望するのなら、ネットよりも美容室専売品を購入した方が使用感・仕上がりともに満足できるでしょう。
美容室のECサイトで商品を購入してもらうためには、まずサイト自体のアクセス数を増やす必要があります。
ここでは、美容室のECサイトのアクセス数を増やすためのコツを3つご紹介します。
1.SEO対策を行う
SEOとはSearch Engine Optimizationの略称で、直訳すると「検索エンジンの最適化」という意味です。
SEO対策を行うと、Googleなどの検索エンジンからの評価が向上し、たとえば「美容室 オンラインショップ」などのキーワードで検索した場合、自分のサイトが上位に表示されやすくなります。
消費者は基本的に検索結果の上位に表示されるサイトを選びやすいため、SEO対策をしっかり実施すれば、ECサイトのアクセス数を伸ばすことができます。
ただ、検索エンジンがサイトを評価するためのアルゴリズムは公開されていませんので、ECサイトを立ち上げる際は、SEO対策に特化した業者に依頼することが大切です。
関連記事:美容室のホームページを見てもらうには?SEO対策のポイントや流れを紹介
2.SNSを活用する
TwitterやInstagramなどのSNSは、個人だけでなく、企業や店舗が自社をアピールする広告宣伝の場として広く活用されています。
SNSは基本的に無料で利用できるため、上手に活用すれば、コストをかけずに美容室ECサイトを幅広い層にアピールすることができます。
(関連記事:
SNSにはECサイトへのリンクなども貼ることができるため、興味・関心を持ったユーザーを直接ECサイトに誘導することも可能です。
既存客向けにECサイトをアピールしたい場合は、LINEで友達登録してもらい、ECサイトのURLを案内する、新商品入荷のお知らせを配信する、といった方法でアピールするのも有効な方法です。
3.店内にECサイト関連のポスターやカードを置く
来店されたお客様の目につくところにECサイトを開設した旨を知らせるポスターを貼り付けたり、レジや施術席の前など、お客様の目に付くところにECサイトにアクセスできるQRコード付きのメッセージボードを置いたりすれば、既存客を相手にECサイトの存在をアピールできます。
会計の際に名刺大のカードを手渡して、「こちらで商品の販売を開始したので、よかったらアクセスしてみてください」と宣伝するのもおすすめです。
oオンラインショップのリピーターを増やすためにするべきこと
ECサイトも美容室と同じく、繰り返し商品を購入してくれるリピーターを確保することが大切です。ここでは、ECサイトでリピーターを増やすために実践すべきことを4つご紹介します。
1.コンテンツを充実させる
ECサイトは商品を販売するだけでなく、記事やコンテンツを発信する場としても活用できます。
悩み別のヘアケア方法や、頭皮を健やかに保つ方法など、美容室ならではのお得な情報を定期的に更新すれば、ECサイトとしての魅力が向上し、リピーターの増加につながります。
記事やコンテンツの質が良ければ、そこで販売されている商品へのイメージや信頼性も高まり、購入までのハードルも低くなるでしょう。
2.見やすく使いやすいサイトにする
商品説明の文章が読みにくい、目当ての商品が探しにくいなど、使い勝手に難のあるサイトは早期離脱されやすい傾向にあります。
お客様目線で、「どのようにデザインすれば読みやすいか」「どういう機能があれば使いやすいか」などを考え、必要に応じて適宜改善を加えましょう。
3.クーポンやポイントサービスを導入する
次回のお買い物で使えるクーポンやポイントを付与すると、お得感がアップし、繰り返し利用するきっかけになります。
クーポンやポイント付与の条件をサイト会員のみに限定すれば、面倒で敬遠されがちな会員登録への誘導もスムーズになり、より多くの顧客情報を取得できるというメリットもあります。
4.購入後のアフターフォローを行う
ECサイトを通じて商品を購入してくれたお客様にサンクスメールを送信したり、商品にお礼状を同封したりすると、ECサイトへの好感度が上がってリピーターが増えるきっかけになります。
商品を使うときのワンポイントアドバイスなども提供すると、より印象が良くなり、美容室やECサイトのファンになってくれる確率がアップします。
低価格でECサイトを作る方法
ECサイトを構築するには、それなりの費用が発生します。
ECサイトの売上よりも、サイトの運営費・維持費がかさむようでは意味がありませんので、ECサイトはなるべくコストをかけずに作成するのが理想です。
ここでは、低価格でECサイトを作る方法を2つご紹介します。
1.モール型のECサイトを構築する
モール型とは、複数の企業が出店する商店街(モール)のような様相の大型ECサイトのことです。
知名度・集客力ともに高いため、新規顧客を獲得しやすいところが特徴です。
月額利用料や販売手数料はかかりますが、初期費用0円から始められるサイトもあり、低価格でECサイトを立ち上げることができます。
2.無料ASP型のECサイトを構築する
ASPとはApplication Service Providerの略称で、サイトを構築するために必要な機能をクラウド上で提供するサービスのことです。
自分でサイトの構築手段やサーバーなどを準備する必要がなく、Webに関する知識や経験がなくても開設・運用できるところが利点です。
ASPには無料型と有料型の2種類があり、前者を利用すれば初期費用や月額費用なしでECサイトを開設できます。ただ、搭載できる機能やデザインがあらかじめ決まっていること、売上に対して数%の販売手数料が発生することに注意が必要です。
ECサイトを作るなら!予約システムも一緒に導入するメリット
美容室でECサイトを作成するのなら、予約の受付・管理を自動で行える予約システムも一緒に導入するのがおすすめです。
予約システムを利用すると、予約業務にかかる手間と時間を省けるのはもちろん、システムを通じて取得した顧客情報をデータベースとして登録することで、ECサイトへの案内やおすすめ商品の情報などを配信できるようになります。
予約システムの機能はサービスごとに異なりますが、新規集客ならユーザー率の高いGoogleやInstagramを利用すると、より多くのターゲット層に美容室やECサイトの情報をアピールすることができます。
一方、一度来店された方とはLINEの公式アカウントでつながり、お客様の利用状況に合わせてメッセージやクーポンを送ったり、ECサイトの更新情報を通知したりすれば、再来店&再利用を促すことができます。
美容室のECサイトは売上アップに役立つ!コツをつかんで上手に運用しよう
かつての美容室は、施術・商品の販売ともに店で行うのが主流でしたが、現代ではECサイトを立ち上げ、オンライン上で手広く物品販売を行うサロンが増えてきています。
美容室専売品はメーカーとの取り決めにより、ネット販売は禁じられているケースが多いですが、OEMに依頼したPB商品なら自由にネット販売することが可能ですので、売上アップや美容室のブランド力アップを目指すのなら、ECサイトの立ち上げを検討してみてはいかがでしょうか。
なお、ECサイトを作成するときは、便利な予約システムも一緒に導入すると業務の効率化につながります。リザービアの予約システムなら、公式LINEやGoogle、Instagramなどから受け付けた予約を簡単に一元管理することが可能です。
さらに、「A’Staff Cloud」との正式連携により実現した「A’Staff Cloud Smart」により、POSレジとの会計連携や顧客情報の管理なども行うことができます。
「ECサイト運用と相性のよい予約システムが欲しい!」とお考えの方は、ぜひリザービアの導入をご検討ください。