近年、自分の個性やスキルを活かすために個人事業主として働く「フリーランス」という言葉を耳にする機会が増えました。美容師のなかでも、シェアサロンなどでフリーランス美容師として働く人が増えています。
シェアサロンで仕事をしたい場合、従業員の雇用契約書とは違いお店を使うための契約書を交わしますが、その契約書にはどんな意味があるのでしょうか?
フリーランス美容師のさまざまな働き方や、シェアサロンで働くことがおすすめな人の紹介とあわせて、契約書の役割について紹介します。
- 指名予約を増やしたいスタイリスト
- インスタグラムで集客したい方
- DMでのやりとりが面倒と感じている方
- 予約はリザービアで一元管理
目次
シェアサロンとは?フリーランス美容師の働き方
個人でお店を構えるのは難しい……でも、従業員ではなくフリーランスとして働きたい!という美容師は少なくありません。
そういった美容師に適した働き方ができる方法がシェアサロンを含めいくつかあります。
フリーランスの美容師が活躍する場は、どんなものがあるのかみてみましょう。
シェアサロン
シェアサロンとは、ひとつの美容室を複数のフリーランス美容師が有料でシェアして使うことができる施設です。シェアハウスやシェアオフィスなどをイメージすると分かりやすいですね。
ひとつひとつのスペースがパーテーションで区切られていたり、個室になっていたりします。はじめから貸し出すことが目的である場所なので、道具や設備が整っており、個人で準備するものが少なくて済むことが特徴です。
面貸し(ミラーリング)
面貸しとは、美容室が予約のない時間帯や空いている席を貸し出すことです。ミラーリングとも呼ばれ海外ではメジャーなシステムです。
シェアサロンと違ってすべてのスペースが貸し出される施設というわけではなく、通常の美容室の中で空いている場所を有効活用するために貸し出されています。
これは美容室側にとって、空席であるよりは貸出料によって売り上げがあるほうが助かるからです。また、従業員を新たに雇って教育するよりもフリーランス美容師に場所を提供するほうがコスト面でも抑えることができます。
業務委託
業務委託とは、他の事業の業務委託と同様に、美容室側が美容師に対し業務を委託するものです。個人事業主として働くことに変わりはありません。
シェアサロンや面貸しとは大きく3つの違いがあります。
- カットに専念することが多い
- 料金は自分で決めるのではなく、美容室の料金設定に従う
- 勤務日数の規定や、保証される給与があるなど一定の条件が設けられていることが多い
- 集客や経理業務は美容室が行う
ほかに、求人広告を出していることが多いのも特徴といえます。
シェアサロンはどんな人におすすめ?
フリーランス美容師の働き方はさまざまですが、シェアサロンで仕事をするにあたって一体どんな人におすすめなのでしょうか?シェアサロンならではの特徴と合わせてみてみましょう。
独立したいけど資金を抑えたい人
シェアサロンは、サービスを提供するためのスペースが確保されており、シャンプー台などの設備はもちろんカットやカラーのための道具が整っています。
独立したいけど資金を抑えたい人にとっては、お店を構えるよりも大幅にコストを抑えることができるのでおすすめです。
お店を構えるとなると外装や内装、設備や道具にお金がかかるほか、土地代(賃貸代)や電気代や上下水道代などの月々の支払いも決して少なくありません。
従業員として働くのではなく独立して働きたい人の中には、こういったお金のことが不安で一歩踏み出せないという人もいると思います。
シェアサロンでは開業資金が貯まるまでコツコツ働く人や、開店準備をしている間だけ働く人もいるので、そういった準備期間に利用することもおすすめです。
働き方に自由がほしい人
シェアサロンは場所や設備などを借りるだけで、シフト制だったり勤務体制が固定されたりすることはありません。子育てや趣味の時間を確保したり、自分らしく時間を使いたいといった人におすすめです。
従業員として働くとなかなか自由に休みを取ることが難しかったり、自分の都合だけを考えて仕事をすることはできないですよね。シェアサロンでは、家庭や趣味、他の仕事とのバランスが取れるよう自分で時間を管理することができます。
シフト制や勤務体制が固定化されることがストレスとなって退職を考えている人でも、シェアサロンなら自由に働くことが可能です。ライフスタイルに合わせて自分のスキルを活用することができます。
指名してくれるお客様がたくさんいる人
指名してくれるお客様がたくさんいる人は、月給の担保はないもののバックの歩合で考えると、手取り額は美容室よりも多くなる可能性があります。
すでに指名してくれるお客様が多く、独立したほうが収入の増加が見込める場合は普通のサロンで働くよりもおすすめです。
美容室で正社員として働く場合、一般的に月給+指名売り上げの10〜30%+諸手当などがついた給与がもらえます。
一方フリーランス美容師としてシェアサロンで働く場合、月給や諸手当がもらえることはありませんが、支出がおおよそ月額(時間)料金+売り上げの30%未満で、それ以外の売り上げが収入となります。
すでに指名してくれるお客様が多くいる人は、月々の給与や社会保険料などの金額も含めて、独立したほうが収入の増加が見込めるかどうかよく計算してみるとよいでしょう。
実力を試してみたい人
指名してくれるお客様がいる場合だけでなく、集客活動に力を入れて新しくお客様を獲得したい場合など、自分の力を試したいという人にもおすすめです。
シェアサロンは、お客様が「この人に施術をしてほしい」と考えお店に足を運んできてくれるものです。正社員のような時間的拘束が減る分、技術を磨いたり集客活動を自分で行う時間を作り出すことができれば、自分の実力を試すことができます。
また、集客サポートをしてくれるサービス会社やシェアサロンもあるので、そういった場所を選べばサポートしてもらうことも可能です。
シェアサロンを利用するには契約書が必要?契約書はどう役に立つ?
シェアサロンは、契約書や利用規約に同意してからの利用となります。内容は非常にこまかい部分にまでルールが書かれており、「こんなことまで決めるの?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし利用する美容師にとってもサロンにとっても、契約書を交わすことはとても大切です。契約書が互いにとってどう役に立つのか詳しくみてみましょう。
お互いのトラブルを避けられる
契約書には、トラブルの原因となりやすい利用料金のシステムや報酬・設備の利用に関することなど詳細が明記されています。これにより、シェアサロン側も利用する美容師も、書かれてあることをしっかりと守ればトラブルは起こりにくいものです。
契約書の内容を正確に把握しておけば、トラブルを避けることができます。
プランによって料金が変わったり、売り上げから何%がシェアサロンに渡るのか、どういった方法で自分の手元にお金が入るのか、手数料の有無なども確認しましょう。
設備においても、薬剤やその他の道具は別途料金がかかる場合もありますのでしっかりと確認しておいたほうがよいでしょう。
お互いが利用規約に理解・納得をして契約ができる
契約書には、料金システムや利用規約・業務をおこなううえでの注意点などが明記されており、理解・納得した人が契約できます。つまり契約書の内容に同意できなければ、契約しなければよいのです。
シェアサロンを利用する前に、契約書の内容に不満や不審に思う点があれば、契約書にサインせず他のサロンを探すことができます。
シェアサロンは、自分以外にもさまざまな美容師が利用します。共有するスペースや設備はみんな平等に気持ちよく利用したいですよね。不適切な利用によって他の美容師やシェアサロンに迷惑をかけないためにも、契約書の内容を確認することはとても大切です.
シェアサロンはお店を貸し出すにあたって、さまざまな美容師が利用することを想定したうえで契約書の内容や利用規約を決めています。利用する美容師に気持ちよく使ってもらいたいですし、不適切な利用をされるのは避けたいものです。
契約書はお互いの合意があってはじめて交わすものですから、契約書を交わすことで気持ちよく利用することができます。
契約内容の確認ができたり、証拠となったりする
適当な口頭説明や口約束でなく、契約書を交わすことで契約内容が明文化されるため、いつでも契約内容を見返すことができます。
口頭で説明された内容は、契約書にも書かれていなくてはなりません。反対に、契約書に書かれている内容はきちんと説明されている必要があります。
口約束では「言った」「聞いてない」といったトラブルにもなりますので、契約書はそういったことを確認できる大切な役割を担っています。
万が一トラブルが起きてしまった場合、契約書の内容が根拠や証拠となり、解決のためにも役立ちます。
契約する際に気を付けたいポイント
契約書を交わすからには、その内容をお互いによく理解し、納得したうえで契約内容を守る必要があります。契約書には、シェアサロンを利用するためのシステムやルールがこまかく明記されており、その内容はシェアサロンによって異なります。
では、実際に契約する際に気を付けたいポイントや、知っておきたいポイントをおさえておきましょう。
契約書の内容をよく確認し、不明な点や不審な点はないかチェックする
契約書の内容に同意して契約を行うので、必ず契約する前に契約書の内容をよく確認する必要があります。
契約書の内容を確認するうえで、シェアサロンのシステムやこまかいルールに不明な点や不審な点がないかよくみておきましょう。また、分からないことがあれば必ずサロンに確認し、誤解のないようにしなければなりません。
シェアサロンによってシステムやルールは異なるため、自分に合った働き方が可能であるか、お金の面でも不審な点はないかしっかりと目を通しておきましょう。
お客様とのトラブルは、自分で責任を取らなくてはならない
お客様と美容師との間で起こったトラブルは、シェアサロン側は介入しないのが基本です。契約書にも書かれていることがほとんどですが、シェアサロンの中でお客様とトラブルが起きてしまったからといって、シェアサロンが間を持ってくれるということはありません。
美容室で従業員として働いている場合のお客様とのトラブルは、オーナーや上司が一緒に対応してくれることもあるかもしれませんが、シェアサロンでは自分で最後までお客様の対応まで行わなくてはならないということを念頭に置いておきましょう。
- サロンのリピート率を増やしたい
- クーポンサイトを脱却したい
- LINEでの予約管理が大変
- 予約はリザービアで一元管理
契約書の内容をよく確認し、自分に合ったシェアサロンで新たな一歩を踏み出そう
自分に合った働き方を手に入れられるフリーランス美容師だからこそ、契約書や利用規約はよく確認することが大切です。契約してから「知らなかった」「見ていなかった」ということは通用しないので注意してください。
とくに、トラブルになりやすいお金のことや設備の利用に関することはしっかりとおさえ、自分に合ったシェアサロンを探してみてください。