まつげのエクステが美容法として定着して10年以上。アイティスト(アイデザイナー)不足が叫ばれています。すでにアイティストとして活躍している方、これからアイティストを目指す方にとって、独立開業はひとつの目標といっていいでしょう。
そこで今回は、まつエクサロンの開業・経営に必要な資金と内訳、行うべき届出、開業の流れなどを解説します。開業の準備を始める前に読み、役立てていただければ幸いです。
※まつエク施術者として「アイリスト」という言葉が普及していますが、「アイリスト」は商標登録されており本来は使えないので、本記事では「アイティスト」という用語を使用します。
目次
独立開業を目指すなら知っておきたいまつエクサロン業界の将来性
まつエクサロン業界は、近年その市場規模が拡大しており、注目すべき分野です。ホットペッパービューティーアカデミーの2024年上期の美容センサスによると、アイビューティーサロン市場は、1,179億円と過去5年間で最高値を記録しました。この成長は男女ともに利用者が増加したことに加え、女性の利用金額や年間利用回数がコロナ禍前からV字回復したことが影響しています。
まつエク以外にもアイブロウの利用率が増加しており、特に40代女性の需要が前年から大きく伸びています。この年齢層の拡大は、安定した顧客基盤を築くための好材料と言えるでしょう。
また、ネット予約や口コミサイトの活用が集客において重要であり、デジタルマーケティング戦略も欠かせません。「初回来店時の重視点」を見てみると、「ネットの口コミが良い」と「ネット予約ができる」の上位2つで50%以上を占めています。
さらに、「サロンの継続理由」でも、「ネット予約ができる」が40%以上を占めているなど、デジタルマーケティングの重要さがうかがえます。
引用元
ホットペッパービューティーアカデミー|【アイビューティーサロン編】美容センサス2024年上期
ホットペッパービューティーアカデミー|美容センサス データブック
ホットペッパービューティーアカデミー|【アイ】利用者増加で市場が拡大!まつげエクステが復活の兆し?単価アップのカギは40代女性|調査・研究
まつエクの市場動向
まつエク市場は、コロナ禍後の回復基調が顕著であり、利用率や利用金額が増加しています。女性の利用率は9.1%と前年から1.9ポイント増加し、男性も4.4%と、伸びは前年から0.9ポイントです。
女性の1回あたりの平均利用金額は5,299円で、年間利用回数は平均5.22回に達しています。一方、男性は1回あたり4,621円で年間利用回数は2.54回と、男女ともに前年を上回る結果となりました。この増加傾向には「時短美容」としてまつエクが注目されていることや、目元美容への関心の高まりが影響していると考えられます。
さらに、40代女性の需要が特に大きく伸びており、単価アップの鍵です。この年齢層は安定した収入を持ち、美容への投資意識が高いことから市場拡大に寄与していると考えられます。
まつエク市場は今後も成長が期待される分野であり、特にターゲット層の拡大やサービスの質向上が重要と言えるでしょう。
引用元
ホットペッパービューティーアカデミー|【アイビューティーサロン編】美容センサス2024年上期
ホットペッパービューティーアカデミー|美容センサス データブック
ホットペッパービューティーアカデミー|【アイ】利用者増加で市場が拡大!まつげエクステが復活の兆し?単価アップのカギは40代女性|調査・研究
まつエクサロンは儲かる?利益率を解説
商売や事業をする以上、いかに利益を上げられるかは非常に重要なポイントです。実は、まつエクに必要な商材は非常に原価が安いため、儲けやすいでしょう。
施術1回あたりの料金はサロンによって異なりますが、1回の施術にかかるコストは、消耗品だけで考えると100~300円程度です。
人件費が必要にはなるものの、原価の低さのおかげで利益率が高く、十分な利益を上げることが見込めます。アイティストの技術向上によって施術料金をさらに高められることも、利益を上げやすいポイントです。
まつエクサロンの、具体的な売上計算例を見ていきましょう。
売上計算例
1回の施術単価を5,000円と仮定し、1日5名の施術を行う場合を考えます。月間営業日数は25日とします。
1日の売上: 5,000円 × 5名 = 2万5,000円
月間売上: 2万5,000円 × 25日 = 62万5,000円
ここから経費を引きます。経費には材料費・光熱費・広告費などが含まれます。材料費は施術1回あたり300円と仮定し、1ヶ月で125回の施術を行うとすると、材料費は3万7,500円となります。光熱費や通信費は約1万円、広告費は約2万円とすると、合計経費は6万7,500円。
純利益を計算すると、月間売上62万5,000円から経費6万7,500円を引き、55万7,500円です。この計算では、月間の利益率は約89%となります。特に自宅サロンの場合、家賃や人件費がかかりません。そのため、さらに利益率が非常に高くなる傾向があります。
ただし、集客力や技術力によって売上は大きく変動します。特に競争が激しいエリアでは、差別化やサービス向上が重要です。また、初期投資や資格取得のコストも考慮する必要があります。
このように、まつエクサロンは低コストで高収益を実現できるビジネスモデルであると言えるでしょう。
まつエクサロンを開業する3つの方法と費用の目安

ここからは、まつエクサロンを開業する3つの方法とそれぞれのメリット、開業資金の目安を紹介します。
1. 自宅開業
1つ目は、自分の家を改装してサロンを開業する方法です。持ち家だけでなく、賃貸物件でも開業が可能な場合があります。
メリットは、持ち家の場合店舗のための家賃がいらないこと。また、賃貸物件であっても、テナントを借りるより費用を抑えられることが大きなメリットといえるでしょう。
ただし、マンションの場合、店舗利用ができないなどの規約が設けられていることもあるため、事前に確認が必要です。
なお、まつエクサロンの開業では、自宅であっても広さや設備など保健所の定めるさまざまな条件をクリアする必要があります(※詳細は後述)。
また、保健所職員による実地検査もあるようです。管轄の保健所によって内容が異なるため、お住まいの地域で保健所に問い合わせましょう。
自宅でまつエクサロンを開業する場合の費用は、150~250万円を目安として考えておくとよいでしょう。
2. 店舗を借りる
2つ目は、店舗を借りて開業する方法です。繁華街や駅の近くなど、集客が見込めそうな立地を探して開業できるのがメリットです。居抜き物件を見つけられれば、開業費用はかなり抑えることができます。
ただし、店舗を借りるための保証金や仲介手数料などに加え、サロンとして開業するための改装が必要な場合はさらに費用がかかるため、多くの元手が必要なことに注意しなければなりません。
店舗を借りる場合の開業資金の目安は、家賃や店の規模などにもよりますが、300万円前後を見ておきましょう。
ちなみに、自分で物件を契約するのではなくレンタルサロンを利用する場合、物件費用が不要な上、必要な設備が揃っているため改装費用もかかりません。そのため、開業資金は50万円前後に抑えられる可能性があります。
3. フランチャイズ
3つ目は、フランチャイズ契約をして開業する方法です。もともと知名度が確立されたブランドの恩恵を受けられる・経営のノウハウを学べるなどのメリットがあり、経験が浅く開業に自信がない方におすすめの方法といえます。
ただし、毎月のロイヤリティや加盟金などの負担がある・本部の方針に従わなければならず自分のイメージする店舗運営ができない可能性があるといった注意点も。
加盟金や保証金だけでも数百万円かかるケースが多いため、フランチャイズを利用する場合の開業資金の目安は、500万~1,000万円前後を覚悟しておきましょう。
まつエクサロンのフランチャイズについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
独立開業とフランチャイズ、どちらがおすすめ?
独立開業とフランチャイズは異なる特徴を持ち、選択する際には慎重な検討が必要です。独立開業とフランチャイズそれぞれのメリットがあるため、両者を把握・比較することでどちらを選ぶべきか理解できるでしょう。
また、自分の性格や目指す経営スタイルに合っているかも考慮しなければいけません。
ここからは、独立開業とフランチャイズ、それぞれのメリットを紹介します。
独立開業のメリット
独立開業には、主に以下の3つのメリットがあります。
- 自由に経営
- ロイヤリティの支払いが不要
- 契約終了後の制約がない
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1. 自由な方針で経営できる
独立開業では、自分自身で経営方針を決定できるため、店舗のコンセプトやメニュー内容などを自由に設定できます。フランチャイズでは本部の指示に従う必要があるため、自分らしい店舗作りには制約があります。
そのため、自分のアイデアを活かしたサービスや店舗を作り、個性的なサロンを展開したい人に向いています。
2. ロイヤリティの支払いが発生しない
フランチャイズでは、本部へのロイヤリティ支払いが義務付けられており、売上から一定額を差し引かれる仕組みです。本部によっては定額ではなく割合が定められていることもあり、売上が大きくなるほど負担が増えてしまうことも。
一方、独立開業ではこうした固定費用が発生しないため、収益性が高くなります。利益をすべて自分で管理できる点は、大きな経済的メリットと言えます。
3. 契約終了後の制限がない
フランチャイズ契約には「競業避止義務」が含まれる場合があります。これは、フランチャイズ契約の終了後、一定期間は同じ業種で新規事業を行うことができない、という制限です。
しかし独立開業ではこうした制約がなく、自身の事業計画に基づいて柔軟に次のステップへ進むことが可能です。
フランチャイズのメリット
一方で、フランチャイズには以下のようなメリットがあります。
- 未経験者でも事業を開始しやすい
- ブランド力・知名度で初期段階から安定しやすい
- 本部の支援で効率的な店舗運営が可能
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
1. 未経験でも参画しやすい
フランチャイズの大きな魅力の一つは、業界未経験者でも安心して事業を始められる点です。本部から提供される運営ノウハウや技術指導は非常に充実しており、専門知識がなくても効率的に事業を立ち上げることができます。
また、フランチャイズ本部は市場調査やマーケティング戦略も行っているため、未経験者が陥りがちな「どこで開業すべきか」「どのようなターゲット層を狙うべきか」といった悩みも解消されるでしょう。
2. ブランド力・知名度を利用できる
本部が持つブランド力と知名度を活用できる、というのも大きなメリットです。
個人でゼロから事業を立ち上げる場合、地域での認知度を高めるためには多額の広告費や長期間の努力が必要になります。しかし、フランチャイズでは既に確立されたブランド名やロゴ・サービス内容があるため、短期間で集客力を高めることが可能です。
また、本部による広告宣伝活動やキャンペーン企画も定期的に行われるため、自分自身でマーケティング戦略を練る手間が省けます。
個人経営よりも効率的かつ安定した売上基盤を築くことができる点は、フランチャイズならではの強みと言えるでしょう。
3. 予算計画が立てやすい
予算計画を立てやすい仕組みが整っている点も魅力です。本部から提供される開業資金や運営コストのモデルケースに基づいて、自分自身の予算計画を具体的に作成しやすいです。
また、フランチャイズ加盟店は社会的信用度が高いため、金融機関から融資を受けやすい傾向があります。
さらに、一部のフランチャイズ本部では加盟店向けに資金調達支援サービスを提供している場合もあり、自己資金不足でも開業できる可能性があります。
ただし、本部から提供される予算計画だけに頼り過ぎず、自身で収支管理を行うことも重要です。
まつエクサロン開業に必要な資格とは?
では、まつエクの自宅サロンを開業するのに必要な資格はあるのでしょうか。
まつエク自宅サロン開業には美容師免許が必要!
まつエクは美容師法に基づく「美容」に該当するため、施術者には美容師の免許が必須です。
なお、美容師免許を取得するには、専門の養成施設で2年以上(通信の場合は3年以上)履修し、筆記と実技の国家試験を受けて合格しなければなりません。合格後に免許の申請をするのも忘れないようにしましょう。
引用元
厚生労働省|まつ毛エクステンションの危害
e-Gov 法令検索|美容師法
理容師美容師試験研修センター|理容師美容師になるためには
厚生労働省|理容師・美容師免許の取得まで
まつエクサロン開業に必要な届け出とは?
まつエクの自宅サロンの開業には、さまざまな届け出が必要です。そこで、東京都を例に紹介します。なお、自治体によって必要なことが違う可能性があるので、必ず自分の自治体の決まりを確認してください。
引用元
東京都西多摩保健所|美容所|生活衛生に関すること
東京都多摩府中保健所|美容所|環境衛生営業施設のご案内(各種申請・届出・各施設の状況)
美容所登録の流れとは?
まつエクサロンのような「美容所」は、設置時に登録が必要です。事前相談→必要書類提出→検査を受ける→開店という流れでオープンします。
美容所の開設にあたっては、法律や条例に基づく構造設備の基準や衛生基準を守らなければならないため、まずは工事着工前に施設の平面図などを持って保健所に相談に行きましょう。
また、書類の提出から実際の開店までには1週間前後かかる可能性があります。特にオープン日が決まっている場合は、期日に余裕を持って届け出を行ってください。
美容所登録に必要な書類と手数料とは?
東京都では、美容所登録に必要な書類は下記のようなものです。
- 開設届
- 構造設備
- 施設の平面図
- 従業者名簿
- 有資格者の免許証(本証提示) など
また、検査手数料もかかります。2024年7月時点では24,000円ですが、変更される可能性もあるため、手続きの際に最新の情報を確認しましょう。
美容所開設の基準とは?
美容所の構造設備の基準には、下記のようなこまごまとした規定があります。
- 1作業室の床面積は13平方メートル以上
- 設置できるいすの数は13平方メートルの場合は6台まで(以降1台増やすごとに追加で3平方メートル以上必要)
- 施術前の客は作業室と明確に分かれた待合場所に待機させる
- 床にはコンクリートやタイルなどの不浸透性材料を使用する
- 施術を行うときの作業面の照度は100ルクス以上 など
自宅サロンの場合でも、この基準に合うようにリフォームや改修などをしなければなりません。
引用元
東京都保健医療局|美容所の開設に関する基準等について
開業時に必要な資金の内訳と相場
前章に関連して、つづいては開業する際に必要な資金の内訳と相場を見ていきましょう。
店舗取得費
自宅開業では必要のない項目です。テナントを借りる場合や賃貸物件で開業を考えている場合、物件を探して契約をしなければなりません。
どの場所に開店するかによって費用は大きく変わりますが、東京の繁華街などでは仲介手数料や保証金だけで250万円~、地方都市の駅に近い物件など集客が見込めそうな場所で50万円~の費用が必要です。
フランチャイズで開業する場合、契約の内容によってフランチャイズの本部が物件を準備してくれる場合と、オーナーが準備しなければならない場合があります。
どちらの契約なのかによって開業資金が数百万円以上変動するため、とても重要なポイントです。さらに、フランチャイズ契約の加盟金や保証金なども用意しなければなりません。
物件の取得にかかる費用相場は、50~250万円。立地にもよりますが、集客との兼ね合いも考える必要があるでしょう。
内装・什器費
店舗開業・自宅開業どちらでも、内装費用はある程度かかることを想定しておきましょう。店舗の場合、居抜き物件を見つけられればかなり抑えることができます。
内装にかかる費用はこだわれば当然高くなるため、どの程度でよしとするのかがポイントです。
- 壁紙張り替え
- 空調設備設置
- 壁・建具設置
- 電気工事
- 給排水工事
などが主な工事ですが、床の張り替えやその他の設備工事が必要なこともあります。まつエクサロンにはそこまで大がかりな設備は必要ないため、内装工事は20万円~と、美容室などの開業と比べると低コストで済むでしょう。
なお、まつエクサロンとして開業できる条件を満たす必要があるため、内装工事の前に必要な改装の内容を保健所に確認し、追加工事などの無駄が発生しないようにしましょう。
さらに、椅子・施術用のベッド・リクライニングチェア・ワゴンなど、揃えなければならない家具や道具もあります。どのランクのものを選ぶかにもよりますが、什器費は10万円~20万円ほどで一通り準備できるでしょう。
備品費
開店前に揃えておくべき備品類には、施術に使用する道具類のほかに以下のようなものがあります。
- タオル
- 消毒用エタノール
- 紫外線消毒器
- 加湿器
- 鏡
- シザー
- スクリューブラシ
- 施術用ライト
まつエクサロンの照明は、施術の際にとても重要なもの。天井の照明だけでは、施術者の頭や手で施術箇所が影になってしまうため、手元や施術箇所を照らすために準備します。
一通り揃えても数万円~の費用で済むことも多く、費用相場は10万円以下と考えていいでしょう。
広告宣伝費
広告宣伝は、開店後にも集客のため定期的に使うべき費用ですが、まずはオープン前にしっかりと自店を周知するために予算を準備しましょう。
自店の存在を多くの人に知ってもらう必要があります。宣伝の方法はいろいろありますが、地域を絞ってチラシを配る・地域雑誌に掲載してもらうなどが有効です。さらに、InstagramやXなどのSNSを使った宣伝も同時にしていくのがおすすめです。
どの方法を使って宣伝するかにもよりますが、SNSであれば無料でも利用可能、チラシを配る場合は一枚約5円~、デザイン費用や使用する素材によってはさらにかかることもあります。
どのような宣伝を行うかによって費用に幅があるため、サロンに合わせて費用対効果の高いものを選ぶとよいでしょう。
まつエクサロンの広告宣伝については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
開業後に必要な資金の内訳と相場
まつエクサロンを開業したのちにもさまざまな費用がかかります。ここからは、開業後に必要な資金の内訳と相場をチェックしましょう。
家賃
テナントや賃貸物件を借りた場合、当然ですが毎月家賃が発生します。集客しやすい立地だと家賃は高くなりますが、家賃が安いところはアクセスが悪く集客に不利な場合があるでしょう。集客のしやすさと現実的な金額のバランスをしっかりと見極めることが重要です。
マンションの一室などを借りて開業する場合、賃貸料は5万円~と安く済むケースが多く、テナントを借りる場合は東京では坪2~3万円からなので、10坪で20~30万円かかります。
また、フランチャイズでは、ロイヤリティの支払いが毎月発生します。契約によって定額の場合と売上に対するパーセンテージで算出する場合がありますが、どちらにしても毎月支払わなければならない固定費です。
人件費
スタッフを雇った場合は、毎月人件費も発生します。一人のスタッフで月20万円ほどが相場です。
当然、自分自身の儲けもしっかり計算する必要があります。売上から借入などの返済・家賃・人件費などの費用を引いたらほとんど残らないようでは、サロンの経営はやっていけません。
経費を把握し、いくらくらい売上が必要なのか、そのためには一日あたりどのくらい集客しなければならないかなどを考えてみましょう。
水道光熱費
施術のための照明や機器などの電気代・水道料金などの費用も、店舗運営で欠かせない経費です。まつエクサロンの場合、店舗の規模や売上によって変わってきますが、2万円~と家庭の光熱費程度の金額で済むことが多いようです。
消耗品費
消耗品費とは、前述した備品とは別に必要な消耗品にかかる費用。具体的には、トイレットペーパー・ティッシュペーパー・コットン・メイク落とし・化粧水などです。
消耗されるため発生し続ける費用であり、何をどれくらい準備するかによっても変わってきます。メイク道具一式や、待合中にお出しするお茶・お菓子などの代金も含まれます。
また、領収書や筆記用具、コピー用紙のような、店舗運営に欠かせない事務用品の購入代金も消耗品費です。
使用頻度やどの程度用意するのか、どのランクのものを使用するかなどによって変動しますが、毎月の費用相場として、1~3万円ほどを見ておきましょう。
まつエクサロン開業に利用できる融資・補助金・助成金
自己資金で足りない分は、融資を申し込んだり補助金や助成金を活用したりするのがおすすめです。そこで、まつエクサロンの開業に利用できる可能性が高いものの一部を紹介します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、民間の金融機関の役割を補完する政策金融機関です。セーフティネットとしての役割や地域プロジェクトへの参画などとともに、新たな事業の創設や再生、海外展開などへの企業の取り組みを支援するという目的があります。
なかでも中小企業や小規模事業者を対象とした融資は、無担保・無保証の融資が可能で、創業前や創業初期の融資も受けやすいのが特徴です。さらに、民間の金融機関より金利が低い・返済期間が長いなど、さまざまなメリットがあります。
補助金・助成金
融資の申し込みのほか、国や地域が提供する補助金・助成金も活用できます。まつエクサロンの開業に利用できる補助金や助成金の例は、以下の3つです。また、地域独自の支援が行われている場合もあるため、自分でも調べてみるといいでしょう。
小規模事業者持続化補助金
商工会議所の補助金は、地域の商工会議所の管轄内で事業を営んでいる小規模事業者を対象としたもの。販路拡大や生産性の向上などへの支援を申し込むことができます。
販路開拓や従業員への賃金引上げ、事業拡大などの取り組み枠に対して、50~200万円の補助を受けることが可能。補助の対象となるのは、サロンで使用する機械装置や広告費、ウェブサイトの構築や運用費、販路開拓のための旅費や資料購入費などです。
ぜひ管轄の商工会議所へ問い合わせてみましょう。
引用元
小規模事業者持続化補助金
キャリアアップ助成金
アルバイトや派遣社員、有期雇用労働者など、いわゆる「非正規雇用労働者」のキャリアアップ増進に対する助成制度です。そのため、利用できるのは、すでにパートやアルバイト、派遣社員などを雇っているサロンに限られます。
非正規雇用の従業員の賃金アップや正社員としての再雇用、ボーナスや退職金制度の導入に利用することが可能です。
引用元
厚生労働省|キャリアアップ助成金
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者向けに、労働生産性向上を目的としたITツールの導入を支援する制度です。業務の自動化や効率化、労働時間短縮などに活用できます。
レジやパソコンなどのほか、予約システムの導入にも利用できるため、サロン開業の際はぜひ活用したい補助金です。導入の条件や内容によって、5~450万円までの補助を受けられます。
まつエクサロンの開業の流れ
まつエクサロンの開業資金や必要な申請などがわかったところで、ここからは開業の流れについて解説します。
1. コンセプトや事業計画の立案
まず、サロンでお客様にどんな価値を提供するのか、どんな運営方針にしたいのかといったコンセプトを決めます。売上や利益の具体的な数値など、事業計画もなるべく細かく立てましょう。
さらに、目標を達成するために必要な客数やリピート率を上げるための施策を考えることも大切です。しっかりとした事業計画書を作っておくと、融資や補助金などを申請する際にも役立ちます。
2. 物件を選ぶ
まつエクサロンは、立地が集客を大きく左右することもあります。店舗用の物件を借りる場合は、立地を考慮して慎重に決めなければなりません。周辺の競合の存在やサロンへのアクセスのしやすさなども考え、複数の物件を比較して検討しましょう。
また、経営していくにあたっては、立地だけでなく賃料も重要なポイントです。物件を決める際は予算も考えながら決める必要があります。
3. 資金を調達する
最初に立てた事業計画をもとに、開業資金を準備します。自己資金では不足することもあるでしょう。その場合、前述した融資や補助金・助成金を活用することをおすすめします。
融資の場合は返済が必要なため、無理なく返済できるように借入金額を考慮することも大切です。
4. 内装や外装の工事を行う
物件が決まったら、専門業者に店舗の内装と外装の工事をしてもらいます。
まつエクサロンは美容所としての登録が必要な店のため、環境や設備は保健所の基準を満たさなければなりません。前でもお伝えしたように、工事をする際は必ず自治体の保健所に確認してから実施してください。
また、工事とあわせて、電気・ガス・水道の使用契約も必要です。
5. 開業に必要なものを揃える
まつエクサロンを開業するために必要な道具や備品、予約システム、決済システムなども準備しましょう。特にクレジットカード決済を導入する場合は、使えるようになるまでに時間がかかるため、早めに申請しておくことがおすすめです。
また、サロンでスタッフを雇用する場合は、オープンの1ヶ月前までに決められるとよいでしょう。
6. 必要な届出を行う
前で解説したように、まつエクサロンの開業では所定の手続きが必要です。美容所開設届はオープンの1~2週間前、開業届は前述の通り開業後1ヶ月以内を目安に提出してください。
7. 集客をする
オープンする前に、開店の告知と集客も必要です。地域情報誌への掲載やチラシの配布、SNSでの宣伝、予約システムの活用など、サロンのターゲット層に合わせた集客を行わなければなりません。
新規集客に力を注ぐだけでなく、キャンペーンを開催するなどリピート率を上げるための施策も重要です。
まつエクサロンの開業を成功させるコツ
まつエクサロンの開業までこぎつけるのも一苦労ですが、そこから店の経営を軌道に乗せて事業を継続することには、また違った苦労があります。
そこで、まつエクサロンを継続して運営していくためのコツを押さえましょう。
1. 競合との差別化を図る
競合との差別化は、利益を上げる上で必要不可欠な要素です。他店には真似できないような高い技術、店全体の雰囲気のよさ、かゆいところに手が届くようなメニュー構成など、いろいろな面で差別化を図れます。
他店とは異なるポイントが強みとしてあると、その点は必ず口コミなどで広がっていくので、お客様がまつエクサロンを選ぶ際の判断材料として役立つでしょう。
ナンバーワンでもオンリーワンでもよいので、他店と明確に違うところを何かひとつ以上掲げることが重要です。
2. 技術力だけでなく接客力や経営力も磨く
息の長いサロンに成長するためには、まつエクの技術がすぐれているのはもちろん、コミュニケーション能力や経営者としての手腕も問われます。
自ら、または雇ったスタッフの施術の腕がいいというだけでなく、心のこもった接客ができるか、マネジメント力を発揮できるかどうかも、まつエクサロンの経営を続けていく上で非常に重要です。
3. 集客・リピーター獲得に力を入れる
開業の流れのなかで集客について触れましたが、新規顧客・リピーターともに増やすために、SNSを活用することを強くおすすめします。サロン探しにSNSを利用する顧客は多く、まつエクサロンのターゲットに効率よくアプローチできるでしょう。
写真や動画も使いながら積極的に情報発信を行い、多くの顧客を取り込みましょう。
4.顧客の利便性を考える|決済・予約システム
お客様の利用しやすさを考慮することも大切です。利便性の一環として、ぜひクレジットカードなどのキャッシュレス決済や予約システムを導入しましょう。
キャッシュレス決済はポイントを貯めるために利用している顧客が多く、喜ばれやすいです。また、現金の授受に比べてお釣りのミスなども減らせるでしょう。
予約システムは、ネット予約を24時間いつでも自動で受け付けられるため、営業時間内に予約できない顧客にとって便利な上、まつエクサロンのターゲットともマッチしやすいです。サロンにとっても管理の手間が省けます。
まつエクサロンの開業にあわせて予約システムも導入を!必要性やメリットとは
まつエクサロンの運営では、顧客とサロンの両者の利便性を高めるために、予約システムを導入することがおすすめです。予約システムが便利である理由を紹介するので、参考にしながら導入を検討してみてください。
いつでも予約を受け付けられる
予約システムを導入すると、24時間365日、営業時間外や店休日でも予約を受け付けられます。スタッフは電話応対の手間が減って施術に集中でき、お客様にとっても時間を気にせず予約できることは便利です。
営業時間内に予約の電話ができないなどの理由による、予約の取りこぼしも防げるでしょう。
予約管理の手間やミスが減る
予約システムは、予約が入るたびに自動で予約情報を反映してくれます。複数の予約窓口を持っている場合は、ひとつの予約台帳でまとめて一元管理できるシステムもあるので活用してみましょう。
予約を転記する手間が軽減されるほか、ダブルブッキングや予約の記載し忘れ・間違いといった、人の手によるミスも減らせます。
顧客情報を集めて集客に活用できる
予約システムには、予約時に入力してもらうお客様の名前や連絡先のほか、予約履歴などを自動で記録できるものもあります。手書きのカルテを作成しなくても、システム内で効率よく顧客情報の管理ができて便利でしょう。
さらに、システム経由でお客様にメッセージやクーポンを送ったり、集めた顧客情報を分析したりして集客に活用することも可能です。リピーター施策に役立て、優良顧客の育成を図りましょう。
まつエクサロンの予約システムには集客にも強い「リザービア」がぴったり
世の中に予約システムが多数存在するなかで、まつエクサロンにおすすめのシステムが「リザービア」です。美容サロンを中心に、全国で5,000件以上の導入実績があります。
ここでは、まつエクサロンの運営に役立つリザービアの機能の例を見ていきましょう。
予約情報を一元管理して業務を効率化
リザービアの予約台帳は、見やすいシンプルなデザインで、直感的にかんたんに操作できることが特徴です。空席状況なども一目でパッとわかります。
また、BMS(予約の一元管理)オプションを利用することで、ホームページ・SNS・クーポンサイトなど、複数の窓口からの予約を一元管理できるのも便利です。個別に管理する手間が省け、ダブルブッキング対策としても役立ちます。
Google検索からスムーズに予約へ誘導
リザービアには、Googleと連携して予約受付につなげられる「Googleで予約」という機能もあります。自店のGoogleビジネスプロフィールに、リザービアとリンクさせた予約ボタンを設置できる機能です。
Googleのキーワード検索やGoogleマップ検索で自店に興味を持ってくれたお客様を、スムーズに予約画面へ誘導できます。
LINEを活用してリピート率をアップ
リピーター育成には、「LINE連携予約」オプションが便利です。自店のLINE公式アカウントを友だちとして登録してくれたお客様から、LINEを通じて予約を受け付けられます。
新たにアプリをインストールする必要がないことに加え、リマインド通知によって予約忘れを防げたり、限定クーポンの配信などでリピート率向上につなげられたりする点がメリットです。
多くの顧客に愛されるまつエクサロンを開業しよう
施術に美容師資格が必須になり、アイティストが不足しているまつエク業界。しかし、少ないコストで儲けが大きいため、まつエクサロンの開業は集客さえしっかりできれば安定した経営が期待できます。
開業資金の目安や内訳も解説したので、自分にとって無理のない方法で開業を目指しましょう。また、せっかく開業するので、長く経営を続けるためのコツもぜひ参考にしてください。
また、まつエクサロンの業務効率化に役立つ予約システムの導入に使える補助金もあるので、リザービアの導入も検討してみてはいかがでしょうか。サロンにとって重要なデータの管理が楽に行えるほか、集客ツールとしても活用できます。