エステティシャンとして働いている人のなかには、「いずれは自分のエステサロンを開きたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、いざ開業しようとした際に気になることは「いくらくらい資金を準備すれば足りるのか」「どんな開業方法があるのか」といったことでしょう。
この記事では、開業スタイルごとの費用目安や物件以外に必要となる費用、そして開業資金の集め方について解説します。
本記事は起業コンサルタント®であり、V-Spiritsグループ創業者でもある中野 裕哲様に監修いただきました。ぜひご参考にしてください!
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目次
エステサロンの開業資金とは
エステサロンの開業には、ある程度まとまったお金が必要です。お店の内装を整えたり必要な道具を揃えたりなど、オープン前の準備によってさまざまな費用がかかります。
開業前は必要な資金を把握することで、安心して準備を進めていけるでしょう。
そこでここでは、どのようなことにお金がかかるのか、「自宅の一部」「テナント物件」「賃貸マンション物件」「商業施設のスペース」の4タイプに必要な資金を紹介します。
自宅サロンの場合は30万円~
自宅サロンの開業資金は30万円程度が目安です。自宅をそのまま活用できるので、ほかのタイプに比べて少ない資金で済みます。なお、30万円の内訳は以下4項目です。
- 器具・家具代
- 消耗品代
- 備品代
- 広告宣伝費
内装が生活感にあふれていて内装を変えるときは、追加で内装工事費用がかかります。内装工事費用の坪単価は、工事内容や使用する素材・設備によって異なります。たとえば坪単価20万円が相場であれば10坪で200万円かかる計算です。
すでにある部屋をつかう場合はローコストで開業できるメリットがあるので、初期費用を抑えて開業したい人、まずは1人で開業したい人に向いています。
デメリットは、テナント物件や商業施設のスペースに比べて集客しづらかったり、駐車場の確保が難しかったりすることです。
テナントを借りる場合は400万円~
テナント物件を借りる場合は300〜600万円程度が目安です。テナント物件を借りるには、賃料のほか、保証料や仲介手数料など細かな初期費用がかかります。
テナント物件の1ヶ月の賃料は20万円程度が一般的です。保証金は賃料の6〜12ヶ月分が相場なので、保証金だけを計算しても120〜240万円とまとまった資金が必要になります。
なお、保証金の価格については不動産会社によって異なるので、具体的な数字を知りたいときは問い合わせることをおすすめします。
さらに、スケルトン物件などの場合は、内装・設備もゼロから揃える必要があることから、サロン用の家具や家電などを含めればさらに多くの資金が必要になります。
テナント物件によるサロン開業のメリットには、車の通りが多い路面店だと集客しやすいほか、プライベートと仕事を分けて働けることなどがあります。
しかし、デメリットはまとまった資金を用意しなければならないほか、賃料がかかるなど、自宅サロンに比べて高いランニングコストが発生することが挙げられます。
商業施設に入る場合は30万円~
温泉やジムなどの施設の一角を借りて開業する場合の資金は30万円からが目安です。場所を間借りすることから、テナント物件を借りるよりもリスクや費用を抑えて開業できます。
なお、デパートやショッピングモールなどの商業施設にエステサロンをオープンする場合は、それなりの家賃が毎月発生します。一方、ホテル、温泉の一角を間借りしてエステの施術を行う場合は、金額を抑えられることもあります。
メリットは、集客しやすく認知度を高められることです。しかし、エステのためだけに温泉やジムへ行くという可能性はあまり高くないでしょう。開業場所によっては利用者が限定されてしまうというデメリットが発生する可能性もあります。
マンションを借りる場合は150万円~
マンション物件を借りてエステサロンを開業する場合の資金は150〜200万円です。なお、マンションを商用目的で契約するときもテナント契約同様に保証金を支払う必要があります。
事業所用物件の場合は6~12ヶ月分の賃料を支払うため、賃料から計算する、もしくは不動産会社に問い合わせることをおすすめします。
マンションでエステサロンを開業するメリットには、自宅サロンのように自宅を特定される心配がないことや、同居人に配慮する必要がないことが挙げられます。ただし、毎月の家賃がかかるほか、自由な内外装にできないといったデメリットがあります。
賃料・保証金以外に必要な費用
エステサロンの開業には、物件の取得費用の他にもいくつか必要な費用があります。そのうち内装工事・消耗品や備品購入・エステ機器の購入やリースの費用について解説します。
内装工事
内装工事の金額は、工事の範囲や手を加えるところが少なければ10万円ほどで済む場合もありますが、全体的に工事が必要な場合は数百万円を超えることも少なくありません。
内装工事の金額に幅があるのは、どのくらい手を加えるかによって金額が大幅に変わってくるためです。何もない状態から始める「スケルトン物件」と、前の利用者が使っていた内装を引き継ぐ「居抜き物件」とでは、工事の範囲が変わってきます。
内装工事で主に手を加える部分は壁・床・トイレなどですが、物件によっては空調設備・照明・電気や水道などの工事が必要な場合もあり、その分かかる費用も増えます。
一方、自宅の場合は内装工事費があまりかからない場合が多いです。しかしサロンの雰囲気にあわせて壁や床のリフォームを行ったり、トイレや洗面台などを新しくする場合はその分、費用がかかります。
内装工事費用は、物件の広さや使用する材質によるでしょう。また、依頼する業者によっても異なるため、複数の業者に見積もりを取ってから依頼先を決めることをおすすめします。
消耗品や備品購入
まずはサロンの備品として、次の物が必要です。
- 施術用のベッド
- ホットキャビ(タオルウォーマー)
- ロッカーもしくは荷物かご
- タブレットまたはパソコン
- レジ
消耗品は下記のようなものが必要となります。
- タオル
- シーツ
- ガウン
- ペーパーショーツ・ペーパーブラ
- アメニティ
そのほか、行う施術の内容によって、マッサージオイルやマシンを使用する際のジェルなどが必要になります。
消耗品はすべて揃えても数万円ほどが目安です。しかし備品は、施術用のベッドの金額によって変わります。折り畳み可能な軽量ベッドは約1万円ほどから買えますが、電動で高さ調節ができるものは50万円を超えるものもあります。
行う施術の内容や予算とあわせて導入する備品を決めましょう。
エステ機器の購入やリース
エステマシンの購入費用は、サロンを開業する際の初期費用としても大きな割合を占めます。性能などによって価格の幅は広くなりますが、目安となる価格は下記の通りです。
- 痩身機器 約150~380万円
- 美顔器 約130~480万円
- 脱毛機器 約20~280万円
単一の機能を持ったマシンだけではなく、美顔と痩身の両方に使える複合機や、痩身でも複数の機能を兼ね備えたマシンもあります。開業するサロンをどのようなサロンにしたいか、目的に合わせて機能を選びましょう。
初期費用を抑えるために、はじめはレンタルやリースを活用したり、中古機器を購入したりするといった方法もあります。
エステ開業後にかかる費用
自宅・テナント物件・マンション物件でそれぞれ毎月かかる費用が異なります。しかしどの経営スタイルであっても、軌道に乗るまでは最初に用意した運転資金でやりくりしながら営業し続けなければなりません。
最低でも6ヶ月分の運転資金を用意できれば、売上のない期間も不安なく営業できるでしょう。
毎月かかる費用としては、次のようなものがあります。
- 水道光熱費
- 消耗品費
- システム利用料(予約管理など)
サロンを運営するにあたって、予約の受付や、受け付けた内容の管理のために予約管理システムを導入するサロンも少なくないでしょう。無料で利用できるシステムもありますが、使用料が発生する場合は、その分も毎月かかる費用となります。
また、サロンによっては下記の費用も毎月発生します。
- 賃料
- 人件費
- 広告宣伝費
従業員を雇用する場合は、当然ながら人件費がかかります。給料として従業員に支払う以外に、保険料などのサロン負担分もあることを、忘れてはいけません。給与額にもよりますが、1人あたりの人件費として少なくとも月30万円ほどは見込んでおきましょう。
また、サロンを知ってもらうために、SNSなどで発信する場合は費用がかかりませんが、クーポンサイトなどに掲載する場合は費用が発生します。
費用内訳の目安
エステサロンはその規模や施術内容によって、かかる費用がさまざまです。そのため、金額で目安を示すことが難しくもあります。その一方で、売上に対して理想的とされている比率があるため、それを目安に運営していくことが可能です。
売上に対して理想的な費用の比率は、下記の通りです。
固定費を削減することで利益を上げることにつながるため、消耗品費など改善できる項目はないか、開業後も見直すことをおすすめします。
開業資金はどこから集める?
サロンの開業には、ある程度まとまったお金が必要であることがわかりました。では、開業資金はいったいどこから集めたらよいのでしょうか。
オープンするにあたり、どのような費用の捻出方法があるかについて紹介していきます。自分自身の状況に合わせて費用の集め方について考えてみましょう。
自己資金で捻出する
スタンダードな方法としては、貯金などからお金を出す方法です。この場合は、利子などもなく、一番安心感を持ってスタートできます。
デメリットとしては、そもそも一定金額の貯金がないとこの方法ができません。自分の貯金額も減ってしまうため、今後の生活費なども考慮して貯金から出しても大丈夫かどうかを考えましょう。
融資を受ける
融資を受ける際は、主に日本政策金融公庫と民間の金融機関からの借入れなどが考えられます。
日本政策金融公庫は、100%政府が出資する政府系金融機関で、事業をはじめる人を積極的に支援をしています。
また、返済方法も長期で行うことができ、固定金利のため、比較的負担が少なく借りることができます。
民間の金融機関の場合は、開業間もない時期は信用力がないため、信用保証協会の保証を付保することで金融機関から融資を受けやすくなります。金融機関と信用保証協会それぞれの審査がありますので、融資を受けられるまで約2ヶ月程度かかります。
融資を受ける場合には、返済計画を充分に立ててから借りることが大原則です。
クラウドファンディングを利用する
クラウドファンディングを利用して、資金を集めるのも方法のひとつです。クラウドファンディングは6種類あり、特徴もそれぞれで異なります。
なお、エステサロンのように美容サロンを開業するときは、購入型のクラウドファンディングがおすすめです。支援を募るときは、クラウドファンディングサイトでエステサロン開業におけるコンセプトやターゲット、リターンやこれらに適した金額を設定します。
プロジェクトやリターンに共感した人が多いほど、目標資金を集められるでしょう。エステサロンがクラウドファンディングで資金を集める際、リターンとしては施術の提供やホームケア用品の提供などがあるようです。
引用元:
CAMPFIREアカデミー:クラウドファンディングとは?:種類やメリット・デメリットなど基礎知識を一挙にご紹介
補助金・助成金を利用する
各自治体による補助金・助成金を利用する方法もあります。インボイス制度開始にともない、会計ソフトなどの導入に対する補助金として注目された「IT導入補助金」という言葉を見聞きしたことがあるでしょう。
エステ開業においても、条件次第でさまざまな補助金・助成金を利用できます。
エステ開業に利用できる助成金と補助金
エステ開業にまとまった資金が必要なときは、補助金や助成金を利用しましょう。なお、補助金とは、支給元が経済産業省であることが一般的な支援金のことです。
事業経費に関する技術開発の促進・支援など、事業全体を支援するものを指します。返済不要の制度で、期間内に応募して受かれば支給されます。支給にあたっては事業計画書などをもとに審査され、受けられるかどうかが判断されます。
一方、助成金は支給元が厚生労働省であることが一般的な制度で、人材育成費用の助成や労働環境の改善などにかかる費用が助成されます。
返済不要で一定の条件を満たし、正確に書類を整備・提出できればほぼ支給されます。条件を満たしていればもらえることが多く、種類も豊富で1年のうちに複数の受給が可能です。
ここではエステ開業に有効な補助金・助成金を紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や生産性向上に必要な経費の一部を商工会議所が支援する制度です。サービス業だと従業員数が5名以下でないと申請ができない上に、特定創業支援制度を活用していると補助金額が上がります。広告費や機械費用などに手厚い補助が出るため、開業したばかりの方々に人気の補助金です。
補助を受ける際も、商工会議所にサポートを受けながら必要な資料を集めることができます。申請の内容によって上限が異なりますが、申請した経費の3分の2から4分の3が補助されます。
地域雇用開発助成金
地域の雇用拡大のための助成金で、対象の地域に開業した場合に受けられる制度です。ハローワークの紹介で労働者を雇ったり、日々の経理や労働環境を整えたりする必要があります。支給金額は、雇用する人数や助成金を必要とする費用によって異なります。
厚生労働省のホームページを確認して、対象の地域かどうか確認してみてください。
引用元:
厚生労働省:令和6年度 雇用・労働分野の 助成金のご案内 (簡略版)
両立支援等助成金
両立支援助成金は、仕事と家庭の両立を支援している事業主に対して支払われる助成金です。具体的には、従業員に対して、仕事と育児や介護の両立を支える制度に取り組んでいたり、女性が活躍できるための支援を行っていたりする事業主が対象です。
エステサロンは女性を雇っていることが多いため、このような取り組みを行ない職場環境をよくしていくことも大切です。支給金額は状況によって異なります。
引用元:
厚生労働省:令和6年度両立支援等助成金
自治体による独自の助成金
自治体によって、独自の助成金を取り入れている場合もあるので、そこも調べておきましょう。過疎化が進む地域などでは、起業を支援する補助金があったりします。また、フレックスタイムや短時間勤務制度を取り入れることで対象となる地域もあります。
それぞれ申請条件や助成金の金額が異なるため、各自治体の情報を事前に調べることが大切です。
IT導入補助金
予約システムを導入する店舗も多く、その顧客管理POSシステムが補助金の対象になったという例があります。
補助対象について細かく要件があるので、ホームページで確認した上で登録したいツールが登録されているかを確認しましょう。登録されている場合は、そのツールを扱っている支援事業者に連絡をとって、申請してみましょう。
エステ開業に便利な機能が満載!予約システム「リザービア」とは?
個人でエステサロンを開業する場合、集客について学び、実践していくことが大切です。とはいえ、集客の知識がほとんどないまま開業してしまえば、競合に打ち勝つことができず、早期撤退するおそれがあります。
それを防ぐ方法のひとつとして、予約システム「リザービア」の導入をおすすめします。
システム導入後も、使い方だけではなく、集客方法についてのサポートもあるため、安心して導入いただけるでしょう。また、予約管理や顧客管理といった、エステの施術以外の業務負担を減らすサポートとなる機能も数多く搭載しています。
ここでは、エステサロンの開業になぜリザービアがおすすめなのか、特徴と理由を解説します。
SNSやクーポンサイトなどの予約はBMSで簡単一元管理
著名人がエステサロンを開業する場合でない限り、毎日安定したお客様がきてくれることは少ないでしょう。毎日少しでもお客様の来店につなげたいなら、リザービアの外部連携機能が有効です。
リザービアは、利用者数の多いLINEと連携でき、LINEならトーク画面から、すぐに予約できます。
スタッフごとの予約ページも作れるので、アカウント別にURLを貼り付ければ、すぐに指名予約まで完結。
リザービアにはBMS(ビューティーマネジメントシステム)が搭載されているので、LINEはもちろん、クーポンサイトや自サロンのホームページなどの予約も一元管理できます。
さらに、検索エンジンとしても利用することの多いGoogleが展開する「Googleで予約」にも対応。検索エンジンやGoogleマップなどでサロン名と地域を入力すれば、すぐにサロン情報が表示され、その場で予約可能です。
営業時間外や定休日、施術中などでも予約を受けられるので、機会損失を防ぎながら上手に集客・予約管理できます。
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メッセージ自動配信機能でリピート率アップ
リザービアなら、しばらく来店されていないお客様を掘り起こし、リピート率向上につなげることも可能。リザービアのメッセージ自動配信機能は、施術日から60日以内のお客様であれば、配信数を気にすることなくメッセージを送信できます。
さらに、施術を担当したスタッフや、メニュー別にわけられるので、お客様のニーズにあわせたメッセージも配信可能です。
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メッセージ自動配信
エステの開業資金は物件によって異なる
エステサロンの開業資金は、物件や費目、スタッフ数などによって大きく変動します。開業準備を進める際は、サロンのコンセプトやターゲットに合わせた選択と、費用とのバランスを見極めることが重要です。
さらに、開業直後から予約管理や集客を円滑に行うためには、予約システムの導入がおすすめです。なかでも、美容関連に特化した予約システム「リザービア」は、エステサロンの経営に役立つ機能を豊富に備えています。
リザービアの機能を活用し、エステサロンの開業を成功させ、安定した経営を実現しましょう。