美容師として経験を積み、技術力がついてくると、独立を考える美容師も多いのではないでしょうか。しかし、開業しても1年以内に60%以上、3年以内となると90%は廃業しているといわれているほど、美容室の経営は厳しいものです。
また、美容室の開業当初は1人美容室となってしまうケースも多く、さらに美容師への負担は多くなります。では、このような厳しい状況のなか、美容室の経営を成功させるにはどのようにすればよいでしょうか。
ここでは、美容室の開業を考えている方に、美容室の経営を成功させるためのノウハウを伝授します。
関連記事:美容室の開業・独立を目指している美容師必見! 失敗しない美容室経営をするために準備しておくこととは
目次
美容室の経営者が経営の勉強をするべき理由とは?
美容室を開業して経営するには、カットやシャンプーの高い技術があっても成り立ちません。中期・長期の事業計画を綿密に立て、それらの計画を確実に遂行していくことが美容室の経営成功の近道となります。
しっかりした事業計画を立て、そのとおりに経営していくためには、独立する前から経営の知識を学んで準備しておく必要があります。
美容師として有能でも、経営のスキルはまったくの別物
美容室の経営が失敗するケースとして、経営の知識がないまま美容室の経営を始めてしまうことがあげられます。美容師としての腕がよいばかりに、それでお客様がきてくれると勘違いしてしまうことがよくあるのです。
美容室を継続して経営するためには、経営者としての目線で自分の美容室をみて、何をどのようにしていけばよいかということを組み立てていく必要があります。
有能な美容師であっても、数字が苦手で自分のお店の状態を数字として把握できずに勢いだけで営業してしまい、経営難に陥ってしまうケースは少なくありません。
美容室経営に失敗するオーナーの特徴とは?
オーナーにもさまざまなタイプがいますが、美容室の経営に失敗しがちなオーナーというのはどのようなタイプでしょうか?
経営の知識が不足しているタイプはもちろん、数字に弱いオーナーも経営を継続させるための計算ができないために、経営に失敗しがちです。
ここでは、美容室の経営に失敗しがちなオーナーの特徴について、いくつかのタイプを紹介していきます。
資金繰りの知識がない
美容室の経営において大事なこととして、資金繰りがあげられます。開業のための資金調達はもちろん、資金をどこにどのように使うか、といった準備にかかる資金がどれだけかを計算する必要があります。
また開業時だけでなく、継続して経営していくためには、人件費や消耗品費など月々どの程度経費がかかるのかも把握しておかないといけません。
資金繰りの知識がないと、開業できたとしても、経営のための経費があっという間に底をついてしまい、早々に廃業してしまうことになりかねないのです。
客単価に見合わない高い家賃の物件を選ぶ
月にどれくらいの売り上げを見込んでいるのか、その計画もなく立地だけでお店を構えてしまうと、売上と家賃のバランスが取れなくなってしまうケースがあります。
集客を考えて立地のよい場所となると、どうしても家賃は高くなってしまうものです。それを考慮せずに、売上の見込み額を立ててしまうと、売上と家賃のバランスがちぐはぐになってしまいます。
こうなってしまうと、売上が上がらない状態で家賃だけがかさんでしまい、たちまち経営難に陥ってしまいます。
集客力のあるスタイリストに頼りきり
お店の施術の中心となるスタイリストが入ると、集客にもつながり、お店に活気が出ますよね。お店の売りにもなりますので、とてもありがたい存在です。
しかし、そのような技術力の高い集客力のあるスタイリストに頼ってしまうのは危険です。そのようなスタイリストは独立を考えていることも多く、またほかの美容室からのオファーも多いでしょう。
そのスタイリストに頼りっきりになると、そのスタイリストの独立や退職がきっかけで売上が落ちてしまい、経営難に陥ってしまうことがあります。
開業するだけで使い果たし、広告費が残っていない
美容室を開業するにあたり、自分の理想となる美容室にするために、内装や設備・備品といったものばかりにお金をかけしまうことが多々あります。これは大事なことでもありますが、それらにばかりお金をかけてしまうことは危険です。
よほどの著名なスタイリストでもない限り、開業していきなり繁盛することはなく、お店が開業したことすら知られることはありません。
お店が開業したことを知らせるために広告を出すことは有効ですが、開業準備にお金をかけすぎて広告費がなくなり、オープンしてもお客様が来ずに、経営難に陥ってしまうことがあります。
関連記事:美容室の広告はクーポンサイトだけでは無い!ポータルサイトだけに頼らない集客をしよう!
美容室を経営するために必要なスキルとは?
先でも触れましたが、美容師としてのスキルと経営者としてのスキルは違います。失敗のケースで多いのは、美容師という感覚のまま経営者になってしまうことです。知識も乏しく、経営者目線でお店を見ることができない経営者が多く、短い期間で廃業に追い込まれることも少なくありません。
ここでは、経営者としてどのようなスキルが必要かについて解説していきます。
オーナー不在でも利益を出し続ける仕組みを作る
厳しい美容業界のなかで生き残っていくためには、経営のスキルは必須といえます。経営のスキルと一言にいっても多々ありますが、おもなところでは、営業やマーケティングの知識、財務に関する知識といったところです。
まずは経営とって最低限必要な数値を知ることが大切で、ここから始めるとよいでしょう。経営のスキルを身に付け、美容室経営の基盤をしっかりしておけば、オーナーが不在であっても利益は出続け、継続した美容室経営へとつながります。
美容室の経営に失敗しないために必要なこと
これまで説明したように、美容室の経営は失敗しやすく、その理由として経営に関する知識不足があげられます。それ以外にも開業までに準備しておくことが多くあり、それらの準備や基盤作りに時間を割いてこなかったことも、経営が早々に失敗してしまう要因です。
では、美容室の経営に失敗しないためには、どのようなことが必要なのでしょうか。ここでは、経営に失敗しないために、これから準備しておく必要があることについて説明します。
開業前にしっかりと事業計画を立てる
開業を決めたら、最初にしっかりと事業計画を立てることが大切です。美容室を開業しようと考えた動機から、どのような美容室を作っていきたいのか、といった具体的なイメージをここでしっかりと明確にしましょう。
イメージが明確でないと、コンセプトがはっきりしない美容室となってしまい、お客様も定着しません。
またコンセプトを決め、自分のなかでイメージができたら、中期・長期のビジョンを明確にして、月々のスタッフの人件費や消耗品費といった経費も考慮した収支計画を立てることが大切です。
これにより、つねに自分の行っていることと計画にブレがないかを確認でき、経営失敗を避けることができます。
経営の勉強をして知識を身につける
経営の関する勉強をし、経営に関する知識をつけることも大切になります。経営の知識は一朝一夕で身につくものではないため、開業してから勉強していては遅く、開業することを決めてから、日々コツコツと勉強していくことが大切です。
開業する美容師は、美容師としてもスキルは非常に高いといえますが、経営に関してはまったく別物です。美容師としてのスキルが高いがゆえに、現状で独立しても集客できるだろうと判断して開業してしまい、失敗することが多いのです。
このような失敗を避けるためにも、日々のお店の数字と事業計画を擦り合わせていく経営者としての視点が、経営の勉強によって身につきます。
集客やリピーター獲得の努力を惜しまない
美容師のスキルが高ければ、勝手にお客様が増えていく、ということはありません。美容室のコンセプトとお客様のニーズが合致してはじめて、集客につながり、来店時のサービスなどによってリピーターへとつながっていきます。
このような安定した集客と経営の継続を成り立たせるためには、集客やリピーターの獲得への努力をお店として怠らないことが大切です。
また、集客が安定し、お客様がリピートしてくれるようになると気持ちにもおごりが出始めます。そのようなことがないように、つねに気を引き締め、美容室全体としてお客様の満足のための努力を惜しまない姿勢を忘れないようにしましょう。
開業後の美容室経営に必要なこととは?
開業前には、しっかりした事業計画や基盤作りが必要となりますが、それだけで経営が失敗しないというわけではありません。開業後も、美容室の経営を安定させていくには必要なことが多くあります。
ここでは、開業後の美容室経営にとって必要なことを解説します。
売上や経費など、自店の数字を正確に把握する
美容室の経営において、自分のお店の数字を把握しておくことは非常に重要です。数字にお店の状況が正確に現れているといっても過言ではありません。
1日の売上や月間の売上、客数や客単価など、経営者が最低限知っておくべき数字がいくつかあり、それらの数字を見て日々お店の状況を分析することで、次に打つ手が見えてきます。
一般的に売上は「顧客数×客単価×来店回数」で算出され、それぞれの数字に対して対策を施すことで数字は上がり、売上につながります。数字に不慣れな経営者であっても、わかるところ少しずつ理解していき、売上アップに努めましょう。
美容室を経営している人のアドバイスをきく
はじめて開業する場合は、すべてのことが初めてで右も左も分からない状態です。そのような場合は、経験者に相談することが一番の近道です。
経験者であれば、どのようなことでつまずき乗り越えてきたかなど、さまざまな失敗のリスクから回復する方法や成功のノウハウを持っています。また、経営初心者が気づいていないことにも敏感に気づき、教えてくれるでしょう。
美容室経営の本やセミナーなどでつねに勉強する
経営者としての視点を養い、知識を習得するなら、美容室経営に関する本やセミナーを受講するのもよいでしょう。
この際、美容室経営だけにとどまらず、ほかの業界を含めた経営全般に関する知識にも目を向けることが、ありふれた美容室から一歩脱却する秘訣です。
コンサルタントなど、経営のプロに相談する
コンサルタントといった経営のプロに相談することも非常に有効です。コンサルタントはプロの視点から、お店のよい点や悪い点を洗い出し、改善へのアドバイスをくれます。また、多くのクライアントの相談を聞いている点から、美容室やサロンについての豊富な知識と経験を蓄えているため、有効なアドバイスをもらえるでしょう。
ただしコンサルタントへの相談は無料ではなく、費用がかかります。しかし、自分の美容室の経営に行き詰まりを感じているなら、一度相談してみることで解決の糸口が見えるかもしれません。
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予約管理システムのリザービアでは、経営者向けのセミナーを定期的に開催しています
予約管理システムを提供しているリザービアは、予約管理という機能だけにとどまらず、美容室の経営全般のサポートをする機能を展開しています。また、集客や広告の活用といった、美容室の経営に関するノウハウや事例など、聞いておいて損はないセミナーが多数開催し、美容室の経営をサポート。
たとえば、Googleビジネスを活用した最新の集客や、InstagramといったSNSを利用した集客など、実用的なセミナーが目白押しです。
このようなセミナーやイベントでノウハウと習得するだけでなく、これらを通して他店舗の経営者とも交流することでき、成功への新たな一歩が踏み出せるでしょう。
経営の知識をつねにインプットしながら、長く愛されるお店を目指そう
美容室を経営するということはカンタンではありませんが、お客様に喜んでもらうためにできることは多くあり、やりがいがある仕事でもあります。
経営を継続するためには、知識を習得することが基盤にあります。経営の知識がないと、集客に結びつかない、資金が足りなくなる、といったことが起こるのです。
開業する前にから綿密に事業計画を立てる、経営の知識を学ぶといった、日々の努力が経営の成功に結びつきます。
これは美容室の経営に限らず、どのような経営にもいえることです。問題に真摯に向き合うことが、失敗のない経営とお客様から愛されるよいお店へとつながるでしょう。