理容師は独立経営すると、年収が上がると言われています。通常、会社などに勤めている理容師は美容師のように年収に大きな差があるわけではありません。そのため、年収の高さはそこまで期待できません。
しかし、独立経営で自分のお店を持つことで年収1000万円も夢ではなくなるのです。美容師資格と一緒に理容師の資格も取得しダブルライセンスを目指すことでさらに有利になります。
そこでこの記事では、理容師と美容師の違い・年収を上げるためのポイント・ダブルライセンス取得などについて解説していきます。
- サロンのリピート率を増やしたい
- クーポンサイトを脱却したい
- LINEでの予約管理が大変
- 予約はリザービアで一元管理
目次
そもそも「理容室」と「美容室」の違いは何?|資格や業務内容の差
理容室と美容室は似ているように感じますが、取得している免許が違います。法律によって定められており、理容室で業務を行うためには理容師免許が必要なのに対し、美容室で業務を行うためには美容師免許が必要です。
日々行う業務内容にも違いがあるため、年収も変わってきます。そのため、理容室と美容室の違いを理解することが必要です。
理容師と美容師の資格と業務内容の違い
理容師免許は「理容を業とする者」のことを指し、業務内容は以下の通りです。
- ヘアカット
- 短髪の刈り込み
- 染毛
- 顔剃り
厚生省の資料によると「頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えること」を理容としており、染毛なども理容行為としてみなされます。男性を対象とした業務が多く、パーマやウェーブのほか、刃物などの使用も認められています。
美容師免許は「美容を業とする者」のことを指し、業務内容は以下の通りです。
- ヘアカット
- 染毛
- パーマ
- 髪のセット
- 着物の着付けなど
厚生省の資料によると「パーマネントウェーブ・結髪・化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされており、染毛やマツエクなども美容行為に含まれています。美容師は女性向けのサービスが主ですが、理容師のように刃物などの使用は認められていません。
理容師と美容師の年収の違い
理容師と美容師でできる業務内容が違うため、一見似ているように思われる業態でも年収に違いがあります。
美容師の世界は、指名数も増えトップスタイリストになると年収1,000万円なども見えてきます。新人とスタイリスト、トップスタイリストでも年収に大きな違いがあります。その点、理容師は年収が250万円前後から、高くても524万円とその範囲が狭いのも特徴です。
理容師は雇用形態もさまざまですし、勤めている会社の規模が大きいほうが、月収も高くなる傾向があります。また、勤続年数が長いほうが年収も高くなります。
理容室(理容師)の実態
美容室はよく見かけるものの、理容室はほとんど見たことがないという方もいるでしょう。美容室と比較すると、理容室はここ18年間で約2万店も減少していると言われています。実際に働いている理容師の数も、3万人減少しており22万人になりました。
新規で理容師免許を取得する人の割合も、1999年度をピークに減少し、2017年の時点で1,500人弱まで少なくなっています。若い世代の理容師を確保することが難しくなり、なかには美容室と理容室を併設しているサロンなども出てきています。
理容室を利用する人の利用金額も減少傾向にありますが、固定客の多さは美容室よりも高いことで知られています。
理容業界全体の平均年収はどれくらい?
理容師といっても規模や年齢・勤続年数によっても変わってきます。令和2年のデータによると、月収の平均額は27万円前後になり、賞与の平均は6万6,000円となります(いずれも5.2年の勤続年数)指名数などによっても異なりますが、月収と賞与を計算すると年収は330万円前後になります。
美容師の平均年収が311万6,000円~336万600円(規模によって異なる)と考えると、理容師よりも少し高めに設定されています。2021年の正社員の求人は平均368万円と言われているため、美容業界全体が相場よりも少し安い年収であることがわかるでしょう。
美容室の詳細は以下の記事でも紹介しています。
参考記事:
独立経営するとオーナー年収も上がる?|高年収も夢じゃない!
独立し理容室を経営するオーナーとなった場合、年収UPも夢ではありません。独立したオーナーの平均年収は500万円だと言われており、雇われていたときでは実現できない年収を稼ぐこともできます。実際には400万円程度のオーナーさんもいれば、なかには1,000万円を超えるオーナーもいます。
お店に入っている収入は経費を引けば、そのまま利益として入るお金になります。指名も多く、有名店などで実績を積んできた理容師であり評判も良くなれば、年収UPも十分に考えられます。
理容室を独立経営するまでに必要な経費は?
理容室を独立開業するためには必要な経費があります。売上そのままが手元に入るわけではなく、経費を差し引いた金額が売上になります。独立開業するまでにどの程度の経費がかかるのかによっても、独立するべきかどうかが決まってきます。
- テナント料
- 材料費(消耗品も含む)
- 人件費
- 水道光熱費
- 通信費
- 税金各種
これらは必ずかかる経費です。他にも広告や宣伝費用などがかかります。人件費は理容室にどのくらいの人数を雇うのかによっても変わってきます。
1人で理容室を経営する場合
理容室を1人で経営する場合、取り分の目安は55%前後と言われており、開業で融資を受けている場合は、その返済分も余裕を持つ必要があります。毎月の営業日を25日で換算すると、1人のお客さんで6,000円使用してもらい、1日5人以上の来店が必要になります。
1日辺り3万円からとなり、月75万円の収入が見込める計算になります。オーナーの取り分は55%と考えると維持できる金額です。いかに客単価を上げるかによっても、売上は変わってきます。
スタッフを雇って少人数で経営する場合
少人数のスタッフを雇い、経営する場合、スタッフ分の人件費がかかり、売上から経費(人件費も含む)経費を差し引き、20%がオーナーの取り分になります。年収をどの程度にするのかによっても変わりますが、客単価6,000円であれば、1日30人程度の来客が必要になります。
1日あたり18万円になり25日の営業で450万円の売上です。客単価が10,000円に上がれば1日30万円となり、750万円の売上になります。客単価を安くすればその分、来客数も増やさなくてはいけないのでスタッフの人数も多く必要です。
理容室を安定して経営していくには?|年収を上げるためのポイント4点
理容室を経営するうえで、オーナーの年収を上げるためにはどうしたらいいのでしょうか。かかる経費などを考えると、来客を増やして客単価なども考えていかなくてはいけません。安定した経営を考えるうえでも売上を上げ、年収を上げることは必要です。そのためのポイントについて、わかりやすく解説していきます。
1)独立経営前に経験と努力を積み重ねる
理容師として独立開業する前に、まずはキャリアを重ねて確かなスキルを磨く必要があります。例えば有名店になるとレベルの高い施術が求められますが、厳しい分学べることもたくさんあります。技術や知識はもちろん、指名の取り方なども先輩の理容師から学ぶことができるのです。
経験を通して成長したいと思える環境にあえて身をおくことで、独立してからは得られない貴重な経験にもなるでしょう。また、独立すると自分の力でお店の経営を考えていかなくてはいけないので、経験は確かな自信にも繋がります。
2)独立経営前にスキルを磨き上げて指名を増やしておく
美容業界では「指名料」も重要になります。独立開業する前にどうしたら指名をとれるのかを分析して、指名数を増やす努力をしておきましょう。あなたを目当てに来店してくれるお客さんを増やしておくことで、独立開業後に来店してもらえる可能性があります。
指名をもらうためには、他の理容師よりも優れたスキルが求められます。指名の数をいかに増やしていくのかを考えて技術を高めていきましょう。独立後も指名料がポケットマネーとして収入にもなります。
3)他社サロンとの差をつけるためのオリジナルメニューを取り入れる
他のサロンとの差をつけるためにも、オリジナルメニューは必要です。理容室になると美容室とも客層が変わってくるため、メニューなども限定されてしまいます。理容室では、カラー剤やパーマ剤の質にこだわる身だしなみコースとして、シャンプー・トリートメント・シェービング・眉カットなどをセットにしたコースなどもおすすめです。
理容室のなかにはハンドケアなどを行っているところもあるように、いかに他店との差をつけていくのかが重要になってきます。
4)マーケティングの知識を徹底的に身につける
理容室を独立開業するうえで、マーケティングの知識も必要です。理容室の経営では、新規の集客はもちろんリピート顧客の数も増やしていかなくてはいけません。マーケティングの知識がないオーナーだと、お客数が安定せず売上にばらつきが出てしまい利益が安定しません。
マーケティングを熟知しているオーナーであれば、サイトやSNSの運用で集客にも繋げていけるので、自然と顧客の数も増えていきます。マーケティングの知識は知っておいて損はありませんので、徹底的に学んでおきましょう。
理容師資格と美容師資格のダブルライセンス取得は有利?
近頃注目されているのが、理容師と美容師の資格を取得する「ダブルライセンス」です。美容師だけだと店舗数も多く、 競合もたくさんいます。年収アップのためにも、ダブルライセンスで対応できる範囲を広げていきましょう。
ダブルライセンス取得のメリット
理容師と美容師のダブルライセンスを取得すると、以下のようなメリットがあります。
- 施術範囲が増えて売上UPに繋げやすい
- 理容師と美容師の両方の知識と技術が取得できる
- 閉店したときに再就職などの選択がしやすい
- 理容師は病院や福祉施設などで働くこともできる
- 経験豊富なスタイリストとして指名を取りやすくなる
- 男性、女性両方のお客さんの技術を磨ける
- ダブルライセンスが確かな自信に繋がる
理容師としてはもちろん、美容師としても経験を積んでスキルを磨けるのもダブルライセンスならではのメリットです。活躍の幅も広いのでやりがいがありますね。
ダブルライセンス取得のデメリット
ダブルライセンスを取得するデメリットは以下の通りです。
- 両方の資格を取得するのに時間がかかる
- 働きながら資格を取得する必要がある(理容師で働きながら美容師資格を取るなど)
- 費用面の負担が大きく初期費用がかかる
- スタッフ全員がダブルライセンスでないと施術の範囲が狭くなる
- 条件が厳しいのでダブルライセンスで経営している理容・美容室が少ない
美容業界の法律は常に変わっています。そのため、すでに理美容の資格のいずれかを所有している場合、専門学校で履修する期間は1年などの条件も変更になっています。以前よりも時間がかからずに、両方の資格を取得できるようになりました。
- サロンのリピート率を増やしたい
- クーポンサイトを脱却したい
- LINEでの予約管理が大変
- 予約はリザービアで一元管理
理容室を経営する前に年収のシミュレーションが大切!
理容室の独立開業を考えるためには、いかに経営を安定させ集客に繋げていくかが重要になってきます。独立する前に、まずは有名店や歩合制などで経験を積み、スキルを磨きながら指名を増やしていくように努力しましょう。
理容師と美容師の両方の資格を取得するためには、学ぶことも多く費用面なども含め大変なこともたくさんあります。しかし、独立したあとにメニューや仕事の範囲を広げるうえでも、ダブルライセンスは役に立つ部分も多く、取得して損はありませんので、ダブルライセンス取得についてもご検討ください。
引用元
理容師法の概要|厚生労働省
美容師法の概要|厚生労働省
理容・美容のページ|厚生労働省
理容師・美容師制度の概要等について|厚生労働省
収益力の向上に向けた取組みのヒント|厚生労働省
理容業の平均経営モデルについて|厚生労働省