比較的自由な働き方ができる雇用形態のひとつにパートがあります。
パートは正社員と比べると勤務時間や勤務日数が少ないため、美容室やサロンによっては雇用しにくいというケースもあるでしょう。 最近は美容師としての技術はピカイチでありながら子育てなどの影響でフルタイムで働くのが難しいという方も増えています。 現在、スタッフ不足で悩む美容室やこれから新規スタッフの募集を行うサロンなどは、このような人材をパートとして雇用する方法もおすすめです。
しかし、経営者側がスタッフをパートで雇用するメリットは何なのでしょうか?
今回は美容室やサロンを経営する方に向けて、パート雇用に関するお役立ち情報をまとめましたので徹底解説します。
目次
正社員とパートの違い
では正社員とパートの違いは何なのか?
これは簡単に説明すると、「雇用期間」と「所定労働時間」が異なります。 まずは正社員ですが、こちらは一般的に雇用期間の取り決めがなく、企業が定めた所定労働時間通りに仕事を行う形態を指します。 一方のパートは基本的に雇用期間が定められており、所定労働時間も正社員より短いという特徴があります。 パートには労働基準法とは別に、パートタイム労働法(正式名称:短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)と呼ばれる法律が存在しています。
正社員とパートの法律的な違いは、この所定労働時間と前述の雇用期間の2つのみであり、福利厚生や有給休暇などに関しては、雇用される企業が定める要件を満たせばパートも正社員と同様に利用することが可能です。 また、パートで働く方が気にされる社会保障についてですが、一般的に労働契約を締結すると、以下のような保険制度に加入することができます。
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健康保険
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厚生年金保険
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雇用保険
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労災保険(労働者災害補償保険)
このうちパートで働く方でも加入が義務付けられているのは労災保険のみであり、健康保険、厚生年金保険、労災保険の3種については労働時間や雇用期間など複数の要件を満たすことで加入が可能になります。
「時短勤務」「時短社員」とパートの違い
近年は仕事と育児、家事などを両立させるために「時短勤務」「時短社員」と呼ばれる制度を有効活用している方も増加傾向にあります。
時短勤務、時短社員とは「育児・介護休業法」と呼ばれる法律によって定められている制度のことであり、日常生活で育児や介護などをこなす労働者に対して、企業が時短勤務などの措置を行うことを指します。
具体的には3歳未満の子どもを育てる労働者が短時間勤務の申請をした場合、事業主は1日原則として6時間を含む短時間での労働を設けなければいけません。 一見すると時短社員は所定労働時間よりも短い時間で働くパートと同じ雇用形態です。
しかし、時短社員は文字通り雇用期間の定めがない「社員」に該当するため、長期間での勤務も可能になります。 また時短社員は社員扱いですから、たとえ短時間勤務でも賞与や退職金などを受け取ることも可能です(※前述のようにパートも要件を満たせば同じ待遇を受けることは可能)。
パートを雇用するメリット
スタッフをパートとして雇用するメリットは雇用する側、される側両方にメリットがあります。
まず雇用される側のメリットについてですが、パートやアルバイトは臨時的な雇用形態に該当するため、比較的自分に合った働き方(勤務日数や勤務時間など)がしやすい、融通が効きやすいです。 またパートは基本的に時給制で給与が決定されるため、安定した収入を得やすいという特徴もあります。
一方のサロン側ですが、こちらは社会保障の負担額が減るなどのメリットが期待できます。正社員としてスタッフを雇う場合は、労働時間の関係から厚生年金への加入がほぼ必須となります。 この厚生年金の負担額は給与、賞与などに応じて変化しますが、金額に関係なく社員と企業が折半して支払う必要があります。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.html
一例ですが社員に毎月30万円の報酬(給与)を支払う場合は、企業側も2万7,450円を負担しなければなりません。 厚生年金保険は労働時間が短いパートタイマーには適用されないことも多いため、パートという雇用形態を上手に活用できれば社会保障にかかる支出、負担を軽減することも可能です。
具体的には勤務時間や出勤日の変更が行いやすいため、仮に人員が減ってしまった場合などでも速やかな対処が可能になります。
雇用手順と必要な準備
スタッフを雇用する場合は、正しい手順や必要な準備、手続きなどに関する基礎知識を身に付けておく必要があります。まずスタッフを募集する方法ですが、主に以下の募集方法が一般的です。
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自社サイトでの募集
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求人サイト(広告型)
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求人サイト(人材派遣型)
美容室開業の前に自社でホームページなどを開設している場合は、費用をかけることなく募集を呼び掛けることができます。しかし、当然のことではありますが、自社のホームページを持っていないという美容室も数多くあります。
求人サイトには主に広告型、人材派遣型の2種類があります。 広告型は定められた費用(掲載料)を支払うことで、一定期間募集を行うことが可能です。 一方の人材派遣型。人材派遣型は成果報酬型とも呼ばれており、採用成功1名あたりに対して所定の費用を支払うことになります。 広告型、人材派遣型のメリットとデメリットについては、以下の表を参考にしてください。
以下にスタッフを雇用する際に必要になる書類や手続きをまとめましたのでご覧ください。
働きやすい職場づくり
特に技術力が高いスタッフが離職してしまうと、売上にも直結してしまうことがあるでしょう。
仮にスタッフ離職の原因がサロン側にある場合は、早めに改善しなければ人材不足や売上低迷が進行してしまいます。 そのため、スタッフが現在の職場環境に納得していないといったケースが発生した場合は、一度労働環境の見直しなどを行ってみましょう。離職の原因は人それぞれですが、主には以下のようなものがあります。
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人間関係
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労働条件、労働環境への不満
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賃金、給与への不満
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キャリアアップのための転職
スタッフがさらなる技術力などのアップを目指して行う転職は、直接サロンに不満があるわけではないため、特に問題視する必要はありません。
しかし、人間関係のトラブルや労働条件、賃金などの不満は経営者側にも責任がある問題です。
このような不満を抱えたスタッフが蔓延している場合は、一度1人、1人とコミュニケーションを図るなどして何かしらの対策を講じるようにしましょう。
一例ですが、子育てと仕事の両立で悩みを抱えるスタッフが多い場合は、育休や産休制度を導入したり、時短勤務制度を取り入れたりするといった解決策があります。 また賃金や報酬面に関する不満が多いケースでは、リピーター率の高いスタッフには歩合給を多めに支給するといった制度を取り入れるのもおすすめです。
そのため、日頃からスタッフとコミュニケーションを図り、現場で働く人間が快適だと感じられるような環境を少しずつ整えていくことが大切です。
オススメの求人媒体
最後にスタッフ募集を行うことができるオススメ求人媒体を3つご紹介します。それぞれ特徴や掲載費用などが異なるため、電話やメールで担当者に相談しながら自社に合った媒体を探していきましょう。
リジョブ
登録会員数が55万人を突破したリジョブ(2022年4月時点)。掲載求人数や訪問者数が最も多いといわれており、今では美容専門の求人サイトとして大手と呼ばれる存在です。 またリジョブは1店舗~3店舗の小規模な美容室、サロンの求人掲載率も高く、採用実績も豊富です。そのため、これから美容室を開業する方も効率的にスタッフを雇用することができるでしょう。 リジョブの掲載料金は採用が決まったときに発生する「成果報酬」と、初回時に支払う「システム利用料金(掲載費用)」の2種類で構成されています。 採用人数1人ごとに料金を支払う必要がありますので、掲載費用に該当するシステム利用料金はリーズナブルな価格に設定されているのが特徴です。
美プロ
全研本社株式会社が運営する美プロ。女性のための美容求人、転職サイトとして10年以上の実績がある老舗サービスです。エステサロン、美容室、ネイルサロンなど1万6,000社以上の掲載実績があります。 会員登録している美容師やエステティシャンのプロフィール(匿名)を閲覧でき、気になる人材にはスカウトやオファーなどのアプローチをかけることも可能です。 美プロは初回に定められた費用を支払う広告型の求人サイトであり、何名採用しても成功報酬0円です。そのため、多くの人材を必要とする美容室やサロンにはおすすめの求人媒体といえるでしょう。
掲載費用目安は1ヶ月3万円からとなっています。
詳細は公式サイトの問い合わせフォームから確認するようにしてください。
リクエストQJ
リクエストQJは美容師、美容室専門の求人サイトであり、全国6,000以上の美容院が掲載されています。
採用者には就職お祝い金をプレゼントしているため、登録者人数や利用者も多いのが特徴です。 もちろん経営者側は気になる経歴、プロフィールを持つ登録者をスカウトすることもできますので、非常にマッチング率が高い求人サイトといえるでしょう。
また、リクエストQJは求人掲載以外にも、人材紹介や人材派遣といったサービスも提供しています。これら充実した機能があることで、人手不足が慢性的に続く美容室やサロンの悩みも解消することが可能です。 リクエストQJの料金体系は定額料金制度を採用していますので、何名採用しても追加費用が発生することはありません。
自社の店舗数や採用予定人数に合わせて、適切なプランを選択できると対費用効果も高い求人を掲載することができるでしょう。
今回は働きやすいサロンづくりに欠かすことができないパート雇用に関するお役立ち情報を解説しました。
近年は正社員以外の雇用形態で働く美容師も多くなっていますが、全体的にみると働き方の多様化はまだまだ発展途上です。
パートという雇用形態は勤務時間や勤務日数が限られているため、経営者側としては雇用しにくいという見方もできるでしょう。
しかし、パートやアルバイトは正社員よりも小回りが利きやすい(勤務時間や出勤日の変更など)、人件費にかかるコストを抑えやすいといった利点があります。 そのため、美容室側が上手にパートやアルバイトといった雇用形態を取り入れることができれば、人材不足などの悩みも解消できる可能性が高くなります。
スタッフとしっかりとコミュニケーションを取りながら各自が「働きやすい!」と思えるような美容室、サロンにしていきましょう。
いかがだったでしょうか。
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