エステサロンを開業する方は、「経営理念」について考えたことはありますか。たとえ小規模の店舗だとしても経営を長くつづけていくには、経営面での指標が必要になります。そこで掲げるのが「経営理念」です。
今回は、エステサロンの経営理念についてやその考え方・作り方などを紹介していきます。経営理念について今までよく考えたことがなかった方もぜひこの記事を参考に考えてみてくださいね。
目次
エステサロンの経営理念とは
エステサロンを開業するときにこれから業績を上げ、経営を安定させていくために、経営面での指標として定めるのが「経営理念」です。経営理念を定めることで、そのあとの意思決定の場で判断しやすくなります。
たとえば、エステサロンの開業では、場所や内装、エステの施術に必要な道具や化粧品などを準備する必要があります。そのときに、経営理念をもとにしたコンセプトに合っているかを考えることで一貫性のあるお店づくりを行うことができるのです。
なぜ経営理念を考えるの？
経営は、意思決定の連続なので決断するときは必ず判断基準が必要。一貫性や方向性を保つために「経営理念」を考えておく必要があるのです。
内装デザインのような見た目の部分だけでなく、サロンの軸として社員の目指すべき方向性や考え方を指南するものでもあります。
そのため、経営理念を考えておくことで、サロンのスタッフが何か行動をするときに指標となる判断基準に基づいて行動できるようになります。経営者の想いを経営理念として掲げ、スタッフ一人ひとりに考えを伝えていきましょう。
経営理念とコンセプトのちがい
経営理念とコンセプトにはどう違いがあるか解説します。経営理念とは、サロン運営の土台や基本となる軸のことを指しています。サロンがどういう方向性でどうなっていくのかを明確にするものです。
サロンコンセプトは、経営理念の土台のもと、もう少しかみ砕いて考え出されるもの。その理念を叶えていくための構想や手段がサロンコンセプトとなります。経営理念を実現させるために実際に行動でどう動いていけばよいかを表しています。
お客様や内装デザイン、スタッフなどにこう考えてほしいという内容を具現化したものです。
コンセプトより先に企業理念を決める
上での説明でもわかるように、コンセプトは経営理念にもとづいて作られるものです。そのため、考える順番としては、経営理念を先に決めてそのあとにコンセプトを考えるという流れになります。
会社として大きな軸となる、企業理念を先に考えてそのうえでコンセプトを決めることで、考え方にズレのないコンセプトを定められるでしょう。
経営理念やコンセプトが明確に決まっていると、スタッフも一貫性のある考え方で行動できるので、仕事を進めやすくなり、離職率を抑えることにもつながりやすくなります。
経営理念を考える方法
ここからは経営理念を考える方法について説明していきます。まずはじめに考えるのが、サロンの「存在意義」についてです。そのあと、「目標」と「価値観」について考えていきます。このなかでも一番大切なのが「存在意義」に関する内容。
社会的にどのような役割をもつのか、どのような価値があるのかをまずは明確にします。ここを明確にしておくと、サロンの特徴や他店にはない強みなどをしっかりと理解できるようになります。そのうえで、目標や価値観を定めていきましょう。
存在意義（ミッション）とは
ここからは先ほど紹介した3つの考え方について一つひとつ解説します。1つ目の「存在意義」（ミッション）とは、開業したいと考えたときの熱い動機や心に描いた大きな目的のことを指します。
たとえば、「エステで女性として美しくあることに喜びを感じてほしい」や「忙しい女性が自分をいたわる時間としてエステで、リラックスし、優雅に過ごしてもらいたい」など。開業を目指す動機となった想いをそのまま存在意義として掲げましょう。
目標（ビジョン）とは
2つ目の「目標」（ビジョン）とは、先ほど決めた存在意義（ミッション）を叶えていくために、具体的にどのようなサロンを目指していくのかという目標を指しています。目標を具体的に決めることで、それを達成していくにはどう行動すべきかを考えやすくなります。
目標の例としては、「トレンドを押さえたサロンにする」、「競合サロンよりも選ばれるサロンになる」、「商材の品質にこだわりを持ち、お客様に良さを実感してもらえるサロンにする」などです。
価値観（バリュー）とは
3つ目の「価値観」（バリュー）とは、目標よりもさらに細かく、毎日の取り組みとして実践できる行動についてのことを指しています。存在意義や目標を叶えていくために、どれだけ具体的な行動をここで考えられるかが大切なポイントです。
価値観の例としては、「カウンセリングシートの内容をしっかりと聞き込み、お客様の望みを叶える施術を提案する」や「清潔感を出すために、施術室はもちろん毎日トイレ掃除も行う」などが考えられます。自店に合った内容のものを実際に考えてみましょう。
経営理念やコンセプトを決める手順
ここからは、より詳しく経営理念やコンセプトを決める手順について解説していきます。手順を踏んで考えると、今まで難しそうであまり深く考えてなかったという経営者の方でも、かんたんに進めていけるので、ぜひこの機会に考えてみましょう。
まずは一度手順通りに考えてみて、サロンの方向性や理念を明確にしていきます。エステサロンを長く愛されるサロンとして運営していくためにも、具体的に考えていくことをおすすめします。
1.経営理念を決める
まずは、「経営理念」を決めていきましょう。経営理念を考える方法はうえで紹介しているので参考にしてみてください。上記の手順を参考にすると、はじめに存在意義を明確にしていきます。
ここでは具体的にお客様にどう喜ばれたいのかを確認してみましょう。そのうえで、目標や価値観を決めて、さらに細かく行動指針を明確にしていきます。大きい枠組みでの考え方から日々の行動指針まで決めることが経営理念を考えるうえで大事なポイントです。
2.サロンのコンセプトを決める
経営理念が決まったら、次はサロンのコンセプトを決めていきましょう。コンセプトは、見た目や施術内容の部分だけでなく、サロンの軸や価値を明確に定めるものです。
経営理念で決めたサロンの方針をコンセプトでも反映させつつ決めていくのがポイント。そのうえで以下の細かい内容の方針を定めていきます。
- サロンの施術内容
- メニュー
- 内装、雰囲気
- テーマとなるイメージ など
他のサロンとの違いがお客様に伝わり、魅力を感じてもらえるようなコンセプトを決めていきましょう。
ターゲット層を絞る
次に「ターゲット層」を明確にしていきましょう。たとえば「美容に敏感な20代の会社員女性」や「40代でより良い品質のものを求めている美容に関心のある女性」などより具体的に考えます。
こうすることで、サロン自体を、気軽に入れる庶民的な雰囲気にするのか、お金のある方に向けた高級感のある雰囲気にするのかなどが明確になります。コンセプトを決めるのと同時進行でターゲット層を考えるとコンセプトも定めやすくなるでしょう。
競合の調査をする
コンセプトやターゲット層を決めるときには、競合の調査を行うとそのデータを参考にすることができます。自店のコンセプトやターゲット層が競合とかぶっていた場合、お客様を取り合うような形になります。
そうなった場合は、他店との差別化を図る何かを取り入れるなど工夫して選ばれるサロンにならなければなりません。競合の価格帯や施術方法、ターゲット層を調べたうえで、どのような方向性にするか考えてみましょう。
エステサロンでの約束事や行動指針を決める
ここまで決めたら、実際にサロンでどう行動していくべきかの行動指針と、約束事を決めていきましょう。サロンに来ることでお客様がどのような感情が得られるかなどの約束事や、スタッフが日々どう行動していくかなどの指針を決めていきます。
サロンが行動していく内容とターゲットとなるお客様が求めているニーズがかみ合ったときにお客様に喜ばれるような魅力的なサロンとなるでしょう。
サロンの強みであるベネフィットを決める
サロンベネフィットとは、お客様がサロンから得られるメリットや良い効果のことです。たとえば、「エステだけでなくネイルも施術可能」や、「夜遅くまで施術ができます」などといったお客様にとってメリットがある内容のものです。
これは、言い換えればお店の強みとして打ち出す内容となります。サロンのコンセプトやターゲット層をもとに決めていくことでよりお客様の心をしっかりとつかめるようなサロンベネフィットを考えられるでしょう。
コンセプトや経営理念を浸透させるには
ここまでで、苦労して考えぬいたコンセプトや経営理念は、その考え方をスタッフやお客様に伝えていかなければなりません。コンセプトや経営理念は、スタッフやお客様に浸透してはじめて作った意味をもち、効果を発揮します。
ここからはコンセプトや経営理念を浸透させるためにスタッフやお客様にどう伝えていけばよいのかについて解説していきます。しっかりと浸透させて、理想のサロンへ一歩ずつ近づけていきましょう。
スタッフに浸透させるにはミーティングや掲示が効果的
スタッフに経営理念やコンセプトを浸透させるためには、日頃から常に意識が向くように働きかける必要があります。
たとえば、経営理念やコンセプトを再確認するためのミーティングを定期的に行ったり、経営理念やコンセプトを書いた掲示物を作成したりするのは効果的でしょう。
スタッフの目や意識に常に入るように心がけることで浸透させることができます。朝の朝礼で毎回経営理念やコンセプトを復唱するというのもよいかもしれませんね。
お客様に浸透させるには自社のホームページ内で伝えていく
お客様に経営理念やコンセプトを浸透させていくには、自社のホームページやSNSを通して伝えていく方法が効果的です。ホームページで経営理念やコンセプトについてしっかりと紹介するページを作成しましょう。
SNSでは、写真などを使ってコンセプトを紹介し、定期的に更新することでお客様の記憶に残りやすくなります。経営理念やコンセプトをSNSに載せることで、それに共感できるお客様が来店してくれるようになるでしょう。
経営理念を決めてエステサロンの方向性を明確にしよう
今回は、エステサロンの経営理念についてや考え方、作り方を紹介してきました。経営理念やコンセプトは難しく考えるとなかなか作るのが大変だと考えがちですが、手順を踏むことでしっかりとしたものを作ることができます。
今まで経営理念やコンセプトを明確に定めていなかった方も、これからエステサロンの開業を考えている方も、経営理念を決めてエステサロンの方向性を明確にし、長く愛されるサロンとして活躍していきましょう。
