訪日外国人観光客の増加に伴い、美容室をはじめとする美容サロンへのインバウンド需要も高まっています。一方で、需要に対してどのような対策が必要か悩んでいる人も少なくないでしょう。
本記事では、美容室がインバウンド対策を行うメリットや注意点、美容室におすすめのインバウンド対策や集客方法について解説します。
目次
美容室がインバウンド対策を行うメリット
インバウンド（inbound）は「入ってくる」「到着する」などの意味を持つ英単語ですが、日本では「訪日外国人旅行客」を指して使われるケースが一般的です。そして、これらの訪日外国人旅行客を受け入れるための施策全般をインバウンド対策と呼びます。
近年、日本各地の観光地やさまざまな業種で、インバウンド対策を行う必要性が高まっています。
では実際に、美容室がインバウンド対策を行うことにどのようなメリットがあるかを紹介しましょう。
増加する訪日外国人を集客できる
ホットペッパービューティーアカデミーが2024年に実施した「美容サロンにおけるインバウンド実態調査」によると、訪日外国人の約半数が日本の美容サロンを利用してみたいと回答しています。なかでも美容室は女性を中心に高い人気となっているようです。
近年の訪日外国人数の増加にともない、このように、日本の美容サービスに興味を持っている訪日外国人は、新たな顧客層として集客することが期待できるでしょう。
引用元
ホットペッパービューティーアカデミー：【前編】外国人旅行者の半数に利用意向あり!?日本の美容サロンの魅力とは？
他店との差別化にもつながる
訪日外国人への対応が可能な美容室は、あまり多くはありません。そのため、インバウンド対策を行うことで「外国人対応が可能な美容室」として、他店との差別化につながる可能性があります。
在日外国人の集客にもつながる可能性がある
インバウンド対策を行うことは、訪日外国人だけでなく、日本に在住する外国人の集客にもつながります。
予約システムなどをはじめとする多言語対応や異文化への理解を深めることで、在日外国人にとっても利用しやすい美容室として認知され、リピート利用につながることも期待できます。
補助金でインバウンド対策が行えるケースもある
インバウンド対策にかかる費用について、自治体によっては補助金などの制度を設けているケースがあります。
例えば、2024年に東京都が実施した「多様な体験型観光推進事業補助金」。外国人観光客向けに美容サービスを提供する事業者に対して、多言語対応のための翻訳費用など、経費の一部を補助する制度を設けています。
このような補助金などの制度は年度ごとに内容が更新されることが多いため、自店が立地するエリアの自治体で活用できる制度がないかチェックしてみることをおすすめします。
縮小傾向にある国内消費に依存しなくなる
ホットペッパービューティーアカデミーが行った調査によると、女性の過去1年間における美容室の利用率は、ゆるやかな減少傾向がみられます。一方、男性の利用率は増減を繰り返しているものの、大きな変動は見られない状況です。
このことから、日本国内における美容室の利用率はゆるやかに減少していくことが予想されるでしょう。
そのため、インバウンド対策を行い訪日外国人観光客という新たな顧客層を開拓することで、縮小傾向にある国内消費への依存度を下げることが期待できます。
引用元
ホットペッパービューティーアカデミー：美容センサス2024年上期 <美容室編>
美容室がインバウンド対策を行う際の注意点
インバウンド対策には様々なメリットがありますが、効果的に実施するためにはいくつかの重要な注意点があります。
文化の違いへの配慮
訪日外国人のお客様に快適に施術を受けてもらうためには、コミュニケーションの取り方への配慮だけではなく、文化や習慣の違いへも理解が必要です。
また、髪質や肌の色など、人種による身体的特徴の違いに合わせた施術方法の工夫も必要となります。例えば、日本人とは異なる髪質に対応したカット技術や、肌の色に合わせたヘアカラーの選定など、きめ細かな対応が求められます。
外国人目線での需要への理解が必要！
日本人のお客様からニーズのある施術メニューが、訪日外国人のお客様からも同じようにニーズがあるとは限りません。一方で日本人にとって当たり前のことが、訪日外国人にとっては目新しく映る場合もあります。
その代表例が「ヘッドスパ」です。これは和製英語ですが、海外の検索エンジンで近年急激に上昇するなど、注目を集めています。
このように、どのような施術やサービスが人気となっているかなど、外国人のお客様のニーズや興味を理解した上でのサービス提供が重要です。
既存のお客様への配慮
インバウンド対策に注力するあまり、既存の日本人のお客様へのサービスがおろそかにならないよう配慮しましょう。
既存のお客様が居心地の悪さを感じないよう、予約枠の配分や、スタッフの配置などにおける配慮が必要です。
既存のお客様と訪日外国人のお客様の双方が気分良く利用できる環境作りを心がけましょう。
美容室におすすめのインバウンド対策
ここでは、実際に訪日外国人のお客様を受け入れるために、どのような対策が必要となるのかを紹介します。
ホームページの外国語対応
来日前や滞在中の情報収集源としてホームページを活用する外国人観光客はとても多いです。そのため、美容室の公式ホームページの外国語対応は、訪日外国人のお客様を受け入れる上で基本となる対策です。
SNSや旅行メディアで店舗情報を見て興味を持った人が、より詳しい情報を求めて訪れる可能性が高いため、アクセス方法や施術メニューなどをわかりやすく掲載しましょう。
メニューの外国語対応
施術メニューや料金表の外国語対応は、コミュニケーションを円滑に進める上でとても重要な対策です。施術メニューの名称や価格だけでなく、所要時間や具体的な施術内容も翻訳して記載しておきましょう。
また、メニュー内容をより分かりやすく伝えるために、写真やイラストを活用するのも効果的です。スタイル写真や施術のイメージ画像があれば、お客様の希望するスタイルや仕上がりのイメージを共有しやすくなります。
予約システムの外国語対応
SNSなどを通じて美容室に関心を持っても、予約ページが日本語だけの対応だったり、予約手順が煩雑だったりすると、途中で諦めてしまうケースが少なくありません。
このような機会損失を防ぐためには、多言語対応の予約システムを導入することが効果的です。システムを選ぶ際は、ターゲットとなる訪日外国人の主な使用言語と、美容室の運営スタイルに合ったものを選択することをおすすめします。
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外国語対応していることの周知
さまざまなインバウンドの対策を行っても、それを訪日外国人のお客様に知ってもらわなければ来店にはつながりません。インバウンド対応可能な美容室として認知を広げるためには、そのための行動が必要です。
具体的には、美容室の看板やウィンドウに外国語対応していることを示すステッカーを貼る、公式ホームページやSNSで外国語での情報発信を行うなどの取り組みがおすすめです。
キャッシュレス決済への対応
クレジットカードやQR決済に対応していることで、現金をあまり持ち歩かない外国人観光客にも対応できるようになります。
ただし、決済方法によって手数料率が異なるため、その点も加味した上で導入する決済方法を選ぶことをおすすめします。
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インターネット（Wi-Fi）環境の整備
自国では無料Wi-Fiサービスが一般的な国から来たお客様にとって、インターネット環境が整っていないことは不便に感じる要因となります。
お客様が安心して施術を受けられるよう、店内でWi-Fiが利用できる環境を整備しておくことをおすすめします。
外国語対応が可能なスタッフの採用
外国語が話せるスタッフがいることで、訪日外国人のお客様とのコミュニケーションがよりスムーズになるでしょう。特に、お客様の要望を詳しく聞き取る必要がある美容室では、外国語対応可能なスタッフの存在は大きな強みとなります。
ただし、外国語対応可能なスタッフの採用は簡単ではなく、人材の確保が難しい場合も多いでしょう。
また、外国語対応可能なスタッフが不在となった際の対応についても、準備しておく必要があります。
英語版接客マニュアルの作成
基本的な接客ができるよう、英語版のマニュアルを作成しておくと安心です。カットやカラーなど、施術の際によく使う単語や接客フレーズをまとめておくことで、外国語対応可能なスタッフが不在の際も、基本的な対応が可能になります。
また、マニュアルには一般的な接客用語だけでなく、美容室特有の専門用語や施術の説明なども含めておくと、より充実した接客に役立つでしょう。
翻訳ツールやアプリの導入
マニュアルに記載した以上の詳しい説明が必要になったり、予期せぬ質問を受けたりした際には、翻訳ツールやアプリが役立ちます。
翻訳ツールがあることで、柔軟なコミュニケーションが可能になる上、スタッフも落ち着いて対応できるため、接客の質の向上にもつながるでしょう。
美容室におすすめのインバウンド集客方法
インバウンドのための集客方法は、日本人のお客様を対象としたものとは異なる施策が必要となります。
ここでは、訪日外国人のお客様を集客するために、効果的な方法を見ていきましょう。
SNSの活用
観光庁のインバウンド消費動向調査によると、訪日前の情報収集源としてSNSの利用率が高いことがわかっています。自店のサービスやスタイル写真を投稿する際に、英語でのタグ付けや説明文を加えることで、訪日外国人への認知度を高めることにつながるでしょう。
また、施術のビフォーアフター写真や店内の雰囲気が伝わる動画など、視覚的なコンテンツを投稿することで、言語の壁を超えて自店の魅力を伝えることができます。
口コミを集める
旅行サイトやGoogleビジネスプロフィールへの、実際に利用したお客様からの口コミは、美容室の利用を検討している訪日外国人のお客様にとって重要な判断基準となります。
そのため、訪日外国人のお客様の集客を伸ばすためには、この口コミを増やしていくことが大切です。
外国語での口コミを増やすために、会計の際に一声かけたり、レジ付近に口コミ投稿への特典や投稿先QRコードを記したポップを設置したりすると良いでしょう。
特にポップの設置は、スタッフが直接お願いすることなく自然に口コミの投稿を促すことができるため、コミュニケーションに不安がある場合におすすめです。
インバウンド対策を行って美容室に訪日外国人を集客しよう！
インバウンド対策は増加する訪日外国人を集客するための重要な取り組みです。しかし、せっかくの対策も予約方法が複雑だと、実際の来店につながりにくくなってしまいます。
そのため、多言語対応の予約システムの導入は特に重要です。なかでも、美容サロンの予約管理に特化したシステム「リザービア」なら、多言語対応の機能を備えており、訪日外国人のお客様の予約をスムーズに受け付けることができます。
インバウンド対策は一度にすべてを実施するのは難しいかもしれませんが、予約システムの導入など、できるところから順次取り組んでいきましょう。
