上場というと大企業のイメージがありますが、美容室を運営している会社で上場している企業はあるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。国内に美容室事業を展開し、上場している企業は存在します。
そもそも上場することのメリットや上場するための条件などをご存じない方もいるかもしれません。そこで、上場のメリットとデメリット、市場の種類や基準などを紹介し、美容室で上場している企業の共通点も解説します。是非参考にしてみてください。
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目次
日本の美容室で上場企業はわずか数社
国内における美容室の上場企業はわずか数社。美容室の数は26万軒以上なので、ほんのひとつまみであることがわかります。
令和5年6月に更新されたデータによると、国内の法人企業数は約178万社ありますが、その中で上場している企業の数は3,800社ほどにとどまっており、「上場企業」は日本の「会社」全体の0.2%しかありません。
このことからも、上場はそう簡単ではないことがわかります。
引用元:
統計表一覧|総務省
令和3年経済センサス‐活動調査|e-Stat
上場会社数・上場株式数|日本取引所グループ
なぜ上場するのか?|上場のメリット
上場を果たすにはさまざまな条件があり、資金も必要なことからそのハードルは高いといえます。では、なぜ企業は上場を目指すのでしょうか?
ここでは企業が上場を目指す理由、また上場することのメリットについて紹介します。
そもそも上場とは?
まず、前提として上場ができるのは「株式会社」です。上場とは、株式市場で自社が発行する株式を売買するための許可を得ることを指します。これによって自社の株を企業や投資家に買ってもらうことが可能に。
上場をすると会社そのものが商品として価値をもち、株を買ってもらうことで「株式会社」として資金を調達することができるようになるという仕組みです。
日本の企業の99%は非上場企業といわれています。
株式会社とは?
株式会社は「株」を発行して自分の事業を応援してくれる人からお金をもらうことができます。株と引き換えに手にした資金は、特別な約束がない限り返済は不要です。
その代わりに会社の「所有権」を支援してくれる人に渡します。つまり会社を共同で所有する形式になります。これが株式会社が「公の会社」「社会の公器」といわれる理由の一つです。
「株式会社」は「株」と「資金」を交換する仕組みなので、上場しなくてもお金を出してくれる人がいれば資金を得ることができます。しかし「上場」は「株」を大勢の人と取引してくれる「取引所」を通じて、より多くの人からの援助で会社を大きくすることができます。
美容室が上場するメリット
上場のメリットはなんといっても資金調達が容易になることでしょう。資金の調達が円滑になることで社会的な信用はさらに高まるため銀行の融資も受けやすくなります。さらに上場することで知名度も上がり、人材の確保も容易になるというメリットも。
また、上場後に株を売却することで得られる利益(キャピタルゲイン)もメリットとして挙げられます。ただし、売却のタイミングによってはインサイダー取引となることもあるため、売却の際は注意が必要です。
上場のデメリット
上場して大企業の仲間入りをすることには大きな責任も伴います。新規に上場をするためには収益の基盤の最低ラインを超えていることや財政状態もクリアしなければなりません。さらに上場を維持する基準もあるため、上場をし続けるには企業の体力が必要です。
社会的な責任が大きくなるため、利益の追及だけでなく社会貢献もしていく必要があり、株主総会で株主から運営に対する要求があるなど、経営の意思決定が複雑になるというデメリットも。
また、株は誰でも購入できるため、株を大量に買われることで買収されてしまうリスクもあります。
美容室が上場するには?
株式市場は複数あり、どの市場に上場するかで条件は変わります。ここでは世界三大証券取引所のひとつである東京証券取引所の上場基準を紹介していきましょう。
東京証券取引所は規模などによって「東証一部」「東証二部」「JASDAQ」「マザーズ」の4つの区分に分かれていましたが、2022年に再編され、現在は3つの区分になっています。
3つの市場名は「プライム」「スタンダード」「グロース」。それぞれの特徴と上場基準を見ていきましょう。
プライム市場
プライム市場は3つに分かれた市場のうちもっとも上位に位置づけられ、条件も厳しいものとなっています。
プライム市場の企業に求められるのは、投資対象としてふさわしい高い流動性をもつ時価総額や、より高いガバナンスの水準を備えること、持続的な成長と長く存続するための企業価値向上への積極的な取り組みなどが評価対象です。
引用元:プライム市場の上場基準|日本取引所グループ
スタンダード市場
スタンダード市場は再編前の東証二部とJASDAQに該当します。上場企業としてふさわしい流動性の高い時価総額に加え、基本的なガバナンス水準を備えていることや持続的な成長と企業価値を高めていく努力が求められます。
引用元:プライム市場の上場基準|日本取引所グループ
グロース市場
再編前のマザーズとJASDAQの基準をもとに統一された市場で、これから成長が期待される企業向けの市場です。高い成長を実現するための事業計画やその進捗の適切な開示、小規模の上場企業を念頭にした最低限の時価総額などが評価対象となります。
引用元:プライム市場の上場基準|日本取引所グループ
順調に成長を維持する美容系企業の特徴とは
高い基準をクリアして上場を果たした美容系の企業には共通する特徴が見られます。順調に成長を維持している企業はどんな戦略をもっているのでしょうか。
美容室・カットサロンで上場している数社のうち、キュービーネットホールディングス・ヤマノホールディングスと2021年に上場したAB&Companyを例にとって紹介していきます。
1.店舗数が多い
一つめには店舗数が多いことが挙げられます。新店舗を開店し軌道に乗せるノウハウが確立しており、店舗拡大できる「仕組み」を持っているため、順調に店舗数を拡大しています。
2.積極的な事業展開
国内新店舗の出店だけでなく日本の少子高齢化を見据えて、海外にも店舗を出店している、他事業への販路拡大をしているなど積極的に事業展開しているという特徴も。
直営店舗だけでなくフランチャイズの事業を行ったり、美容のノウハウを活かして美容室以外の事業を展開したりと、一つの運営体制に固執せず柔軟な取り組みをしている点も共通しています。
3.独自のブランド価値の提供で差別化
もう一つ、この3つの企業に共通するのは、店舗のターゲットを絞り込んだ特化型の店舗運営です。
カット&スタイリングの専門店やヘアカラー専門店など一つの技術に特化してサービスを提供し、潜在的なニーズとマッチさせる先見の明。ファミリー向け・アンチエイジングなどターゲットを絞り込んだ店舗運営や男性の全身サポートを提案するという新しい価値の提供など、それぞれに思い切った独自のサービスを提供しています。
上場している美容室の企業、成功の事例を紹介
ここからは実際に上場している美容室の事例を紹介していきます。上場を目指さないまでも美容室として成長していくためのヒントが見つかるかもしれません。
キュービーネットホールディングス
QBハウスは、ご存知のように「10分1,000円」でカットハウスを全国に展開しています。この「10分1,000円」というコンセプトで「髪を切ることに時間をかけたくない」という忙しいお客様を惹きつけています。
そのため、店舗は主に「普段忙しい人」が集まる駅や繫華街の中に多く立地しています。QBハウスは、「時間がないからすぐに髪を切りたい」というお客様のニーズと、「なるべく気に入った髪型にしたい」「安くても失敗したくない」というニーズを見事に両立しています。
このように「時間をかけたくない」「でもクオリティは高くしたい」という一見、正反対に見える関係を「トレードオフの関係」といいます。
ヤマノホールディングス
ヤマノホールディングスは高齢化を見据え、店舗内のスロープやトイレの手すりを完備した「いつまでも若々しく」というコンセプトのアンチエイジングサロンを運営しています。
老若男女誰でも利用しやすいサロンをテーマにしたファミリーサロンや子連れで通いやすいサロン、また、独自メニューのオーガニックヘッドスパサロンなど、他の美容室と差別化したサービスを提供。
さらに、美容の知識を活かし和装宝飾事業を展開。教育事業で人材育成にも取り組み、感染症の流行で一時的に減収になるも、美容事業にこだわらない営業スタイルが功を奏し、大幅増益しています。
AB&Company
AB&Companyは「プチプラで良質なサービス」をウリにしたサロンや男性が行きやすい美容室をコンセプトにした男性のためだけの美容室、レトロな雰囲気でどこか懐かしいながらも令和の新しい感覚も取り入れたあえての「理髪店」など、これまでにないサービスが支持されています。
「スタイリストファースト」というミッションを掲げ、スタイリストが働きやすい環境を整えることがお客さまの満足につながり、会社の成長につながると信じてそれを実現させており、さらに優秀な人材が集まるという好循環に。
直営店舗とフランチャイズ事業、インテリアデザイン事業の3つの柱で業績を伸ばしているのが特徴。インテリアデザイン事業は美容室を中心とした店舗デザインや設計・施工という、美容の知識と経験を活かした他事業です。
美容室経営の効率化に便利な予約システムは集客もできるリザービア
複数の店舗を展開していくには、業務の効率化や売上管理、顧客情報の共有などが必須。そのためにはシステムの導入が欠かせません。
そこでおすすめしたいのは、美容業務に特化した予約システムのリザービア。全国4,500店舗のサロン様に導入実績があり、その使いやすさと機能の豊富さはお墨付きです。リザービアの機能の一部を紹介します。
複数店舗でも売上を一元管理できるPOSレジシステム連携
リザービアはPOSレジシステムのA’staff Cloud Smartと連携させることで、複数店舗の運営を円滑にすることが可能です。店舗をまたいで利用されているお客さまの顧客データを含め、全店舗の売り上げを一元管理。
リザービアと一つのソフトのようにシームレスに遷移し、直感的に操作できるわかりやすい管理画面でスムーズに利用できるのがおすすめポイント。また、さまざまな予約経路の予約を一元管理できるため、予約枠の調整や設備管理などの業務を効率化するのに役立ちます。
売上アップに欠かせない詳細なデータ分析
リザービアの顧客情報と紐づけた電子カルテの情報、売上情報を集計し、あらゆる角度から分析できるため、マーケティングの考案、施策に活用できます。
たとえば新メニューの開発や顧客に合わせたDMの送信など、売上を伸ばすためのあらゆる施策に役立てられるでしょう。
集客につながる連携機能が豊富
リザービアは「集客できる予約システム」で、Google検索・マップ検索の検索結果に予約ボタンを表示させるサービスと連携、Instagramの投稿やハッシュタグから予約画面に遷移させられる連携機能などを備えています。
その他LINEと連携させることでLINEを予約アプリとして活用し、リピータ―として囲い込みできる機能も。ポータルサイトからの予約もまとめて一元管理できるため、集客・予約管理・顧客管理が、一つのシステムでかなうのも魅力的です。
- 紙カルテを辞めたい
- 在庫管理を自動化したい
- レジ締めを楽にしたい
- リピート率を上げたい
美容室の上場はハードルが高い。時代のニーズをいち早くつかみ、サービス提供につなげられるかが鍵
企業が上場をするのは社会的な地位の確立や資金調達のしやすさなど、大きなメリットがある一方、上場の基準を満たすのはそう簡単ではないことがわかりました。美容室の上場企業は数社しかなく、どれだけそのハードルが高いかがわかります。
紹介してきたように上場している企業では、時代のニーズをいち早くつかんでサービスに反映させるスピード感や既存の運営スタイルにこだわらず、常にチャレンジを続けるパワフルさが共通点。
事業拡大を目指すオーナー様の参考になれば幸いです。また、多店舗を展開するには業務効率化が欠かせないため、予約システムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。