SNSが普及し、個人による発信が容易となった時代ですが、数多くのアカウントの中から自分をフォロワーを増やすためには努力と工夫、多少の運が必要となります。
より簡単に、目の前のお客様に自分を知ってもらいたい時、役立つのが名刺です。自己紹介やプロフィールなど基本的な情報が集約された名刺は、自分をアピールできる武器といえます。
そんな名刺ですが、美容師でも持つべきなのでしょうか。
今回の記事では、美容師が名刺を持つことで得られるメリットから、載せるべき情報、具体的な作り方、渡す時の注意点についてまとめました。
目次
美容師に名刺は必要?
名刺といえば、一般的な企業に勤めるビジネスパーソンの必須アイテム、というイメージですが、美容師も持つべきアイテムです。フリーランスの美容師も、店舗や会社に所属する美容師であっても、自分の名刺は持つべきでしょう。
なぜなら「リピートに繋がる」からです。美容室では、お客様にリピートしてもらうことが安定した経営のために大切なことであり、そのためにはお客様から指名してもらう必要があります。
そして、指名してもらうための第一歩となるのが「知ってもらう」「覚えてもらう」ことでしょう。そこで名刺が役に立つのです。
名前や肩書きはもちろん、デザインや得意なことなどの情報が記載されていれば、「知ってもらう」という最初の一歩をクリアしやすくなります。
つまり、美容師にとって名刺は必要なアイテムである、といえるわけです。
美容師が名刺を持つメリット
実際に美容師が名刺を持つと、どのようなメリットがあると考えられるでしょうか。今回は3つの観点からメリットを解説します。
自己紹介に最適
自己紹介するときに名刺があると「印象に残りやすい」「覚えてもらいやすい」「あとで思い出してもらえる」といったメリットがあります。
一般的に、新規のお客様を担当する際、はじめに挨拶するでしょうが、そのときに名前を口頭で伝えるだけでなく、名刺も一緒に渡してみてください。
名刺を渡すことで、よりお客様の印象に残りやすくなるはずです。また、お客様が家に帰ってからも名刺を見て思い出してもらえるため、より記憶に残りやすくなります。そうすると次のカットのタイミングがきたときに、指名をもらえる可能性も増えるでしょう。
名刺はあなたの情報が詰まったツールです。自己紹介の手紙のようなものと考えると、より重要度がわかりやすいのではないでしょうか。
1枚の紙と考えるのではなく、自分は「こういう人間です」ということを伝えてくれるツールと捉えて有効活用しましょう。
自分の得意分野を示してアピールできる
名刺に記載できるのは、名前や役職、店舗情報だけではありません。自分自身の得意分野やジャンルも明記できます。
スタイルに合わせたスタイリングが得意、トレンドを抑えたカラーリング提案が得意、シャンプー時のマッサージが得意、など自信のあるスキルや、強みがあるのならば、名刺に記載してしっかりアピールしましょう。
記載されている情報に対してお客様が興味を持ってオーダーしてくれるかもしれませんし、提案もしやすくなるでしょう。リピート、次回以降の指名をもらうためには、まず覚えてもらうことが大切とするのであれば、名刺をアピールの武器として活用していくべきでしょう。
無機質な情報だけが記載された名刺の場合、印象に残すことは難しいかもしれませんが、アピールポイントが一言添えられていると、より心に残りやすいです。
「得意なのであれば、この人にお願いしてみようかな」と期待感を持ってもらえる可能性も高まるでしょう。
おしゃれな名刺で個性やセンスの良さを出せる
名刺は名前を覚えてもらう、印象に残してもらうためのツールですが、デザインや質感にもこだわると、より印象的になります。ぜひ、センスや個性が光る名刺を作ってみましょう。派手なものを作ればいいとか、高級な紙を使えばいい、というわけではありません。
お店の雰囲気に合わせたデザインやロゴ、個性的なカタチをしているなど、少しの工夫でもいいのです。美容師とはセンスを売る職業でもありますので、名刺の段階で「この人センスいいな」と思ってもらうためには、名刺の仕上がりもとても重要といえます。
見た目の印象を良くすることで、お客様からの反応も変わるでしょう。どうせ名刺を作るのであれば、無機質なものではなく愛着が湧くような、オシャレな、カワイイ、個性のある名刺を作ってみてはいかがでしょうか。
美容師が名刺に載せる情報
では、具体的に名刺にはどのような情報を載せるべきなのでしょうか。今回は最低限必要な項目から、個性を出すための項目など、8つの観点から解説します。もちろん、ここに紹介する項目をすべて記載する必要はありません。お店の雰囲気や、名刺を通して伝えたいことなどを考えながら参考にしてみてください。
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自分の美容師としてのキャラを考えてデザインする
名刺を通して、どのようなイメージを持たれたいか、どのようなキャラクターと思われたいかを考える必要があります。
キャラクターというと難しく聞こえるかもしれませんが、「お店の雰囲気」や「お客様の層」に合わせて名刺をデザインしてみるといいでしょう。たとえば、学生などの若い女性が多い店舗で美容師をしているのであれば、フワッとしたかわいらしいデザイン、30代の男性が多い店舗なのであればスタイリッシュなデザイン、といった具合です。
上記にプラスアルファ、自身が好きな色味を加えるなど、工夫するとより個性的なデザインになるでしょう。
名刺を受け取った方がどのようなイメージを持つか、あるいはどのようなイメージを持ってほしいか、を想像しながら全体をデザインしてみましょう。
美容師の名前と美容室の基本情報
最低限必要な基本情報としては、以下が挙げられます。
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美容師個人の氏名
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美容師個人の役職、肩書き
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店舗名
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店舗の住所
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店舗の電話番号orメールアドレス
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店舗のホームページURL
名刺を見れば、ネットで検索しなくても最低限必要な情報がわかる、という状態にしておきましょう。
連絡先も明記しておくと次回の予約が楽ですし、ショップカードと異なり、名刺には担当してくれた美容師の名前が乗っているため、次回以降のリピートにも繋がりやすくなります。
持っている資格
もし美容関連の資格を持っているのであれば、記載しておきましょう。スキルのアピールになりますし、お客様によっては会話のネタとなるかもしれません。
たとえば、美容関連の資格として「カラーコーディネーター」「ビューティーアドバイザー」「コスメ検定」などが挙げられます。
資格を保有していることがわかると、より話や提案に説得力が生まれますし、お客様から専門的な質問やアドバイスを求められることもあるでしょう。そこでさらに信頼を得ることも可能となります。
また、お客様が「実はコスメのことも知りたくて」など、興味があったことや困っていたことなど、新たなニーズを発見する機会となるかもしれません。一方、まだ美容関連の資格が取れていないという場合、美容に関係のない資格であっても記載してみるのもおすすめです。
同じ資格を持っているお客様に出会う可能性もゼロではありませんし、これからその資格を取ろうとしている、という方もいるかもしれません。
いずれにせよ会話のきっかけとなる可能性があるのならば、記載しておいて損はないでしょう。
自分の似顔絵や顔写真
人の脳は、言葉よりも図や写真のほうがイメージとして伝わりやすく、認識されやすい傾向にあるといいます。これを「画像優位性効果」と呼びます。名刺に必要情報を記載し、それでもスペースが余るのであれば「似顔絵」や「顔写真」を載せてみるのも効果的でしょう。
画像優位性効果がはたらき、文字だけしか記載がない名刺よりも、格段に印象に残りやすくなるはずです。
顔と名前をセットで覚えてもらいやすくなるので、スタイリストの多い店舗であれば、よりメリットになるといえるでしょう。写真にするか、似顔絵にするか、好みが別れるところですが、全体のデザインバランスを見て決めてみてください。
あるいは、顔写真を載せるのは恥ずかしいという場合ならば、似顔絵でも問題ありません。ただし、いずれを選ぶにしても中途半端なクオリティのものとならないように注意しなければいけません。
例えば写真にするのであれば、プロに依頼して撮影してもらうなどで、似顔絵も同様です。名刺デザインに溶け込みつつ、印象に残るものにしましょう。
自分の得意分野や主力のメニュー
お店のウリや、自分の得意分野があるのならば、名刺に記載しましょう。「カラーリングが得意」「スタイリングが得意」「天然素材のシャンプー」「最新設備の縮毛矯正」など、具体的に強みが記載されている方が、お客様からの期待値が高まります。
ただし、期待値が高まるため、その期待に応えるためのパフォーマンスやクオリティを担保しないと、満足してもらえません。名刺に記載するのであれば、本当に満足してもらえる強みや得意分野を書くようにしましょう。
個性のあるキャッチコピー
他のスタイリストと差別化を図る意味でも、キャッチコピーを名刺に記載するのは効果的といえるでしょう。キャッチコピーひとつで、どういう想いを持って仕事に取り組んでいるのか、何を大切にしているのか、なども伝わりやすくなります。
あるいは、美容師自身のキャラクターに特化したキャッチコピーも差別化に繋がるので、おすすめです。名刺を見た人が「この美容師はこういうことを大切にしているんだ」と、印象に残る確率が増えるので、記載してみましょう。
簡単な自己紹介
名前と顔を覚えてもらうために顔写真やイラストを加えるのが効果的だと前述しました。より、人となりを知ってもらうために効果的なのが、一言自己紹介の文章を添えることです。
具体的には、趣味や特技、休日の過ごし方などがいいでしょう。
たとえば「キャンプにハマっている」「サウナでととのうのが休日の過ごし方」などです。
なぜ自己紹介文がおすすめなのかというと、まず自分自身の情報を開示することで、相手を安心させ、コミュニケーションを図りやすくする効果も期待できるからです。また、会話のネタにもなりますし、共通の趣味や特技があれば施術中の会話も自然に盛り上がるでしょう。
お客様からしてもリラックスした雰囲気の中で過ごせるようになるため、カットやパーマに満足してもらえたら、よりリピート来店に繋がりやすくなるはずです。
お問い合わせ先
お問い合わせ先を明記する目的は、次回の予約をしやすくするためです。電話番号はもちろん、メールアドレスや、予約専用のURLやQRコードなどがあるようなら、名刺に載せましょう。
予約方法についても簡単に説明できるのであれば、一言添えておくと、より親切です。同時に、店舗のSNS(InstagramやFacebookなど)や、LINE公式アカウント、公式ホームページなど、情報を発信しているメディアの情報も載せておくと、ファン化に繋がるため効果的でしょう。
割引クーポンの発行や、お店についてより知ってもらう機会となり、リピート率アップに繋がるはずです。
名刺の作り方
名刺を作るための具体的な作成方法として、今回は4つのパターンから解説しますので参考にしてください。
印刷会社に依頼する
名刺作成で最もポピュラーな方法です。
印刷会社に入稿する際のデザインには、イラストレーターなどの専門的なソフトは必要なく、数百件のデザインテンプレートから好みのデザインを選択できるところが多くなっています。
印刷会社に依頼するメリットとしては「高品質な印刷で仕上がる」「印刷の手間を省略できる」ということが挙げられます。一方、デメリットとしては、発送代などの費用がかかることです。
コスト面でデメリットと感じる部分はあるかもしれませんが、手間の削減と、一定水準以上のクオリティを求めるのであれば、印刷会社への依頼がいいのではないでしょうか。
名刺制作サービスに依頼する
テンプレートのデザインではなく、いちからオリジナルの名刺を作りたい。しかし、デザインできるほどの知識やスキルはない、という場合は制作サービスへ依頼しましょう。
依頼先としては、デザイン会社などの法人から、個人で活動している人へ依頼する方法もあります。個人への依頼としては、クラウドワークスやランサーズ、ココナラなどのクラウドソーシングサービスを活用してみてください。
上記のサービスには個人で活動しているデザイナーが登録しており、案件の依頼や相談ができるプラットフォームになっています。過去の実績やポートフォリオなどを確認することもできますので、価格を含めて相談してみてはいかがでしょうか。
パソコンソフトのテンプレートで作る
あまり費用をかけたくないので、自分で作ってみたい、というときにはパソコンソフトに入っているテンプレートを使うのもひとつの方法です。
Windowsのパソコンならばワード、MacBookならばPagesにそれぞれ名刺デザインのテンプレートがあるので活用してみましょう。
印刷会社ほどのテンプレートの数はありませんが、シンプルな名刺を作りたい、できるだけコストをかけずに作りたい、パソコン作業が得意、という方々にはおすすめの方法です。
無料の名刺制作アプリを使う
「パソコンがないので、スマホのアプリで作成したい」という方もいらっしゃるでしょう。最近ではスマホで名刺作成できるアプリも増えています。「名刺」「名刺 印刷」といったキーワードで検索してみると、さまざまなアプリがあるので、使い勝手がよいと感じるものを選んでみてください。
PCで印刷会社に依頼するときのように、デザインテンプレートから好きなデザインを選んで発注まで完了できるものもあります。また、スマホだけでなくWeb版のアプリ、ブラウザ利用が可能なのもあるので、通勤中にスマホで編集して、最終確認を家で行うといった方法も可能です。
デザインスキルや知識がなくても簡単におしゃれな名刺を作ることができます。ほかに無料で使えるテンプレートを提供しているサイトもありますので、興味がある方は検索してみて気に入ったデザインを探してみてください。
名刺を渡すときの注意点
いかに出来の良い名刺ができあがっても、お客様にお渡ししないと意味がありません。しかし、マナーやタイミングを間違えると印象に残りません。そこで、名刺を渡すときに注意したい点について解説します。
施術の前に渡す
はじめてのお客様の場合、施術前に自己紹介することが一般的ですが、そのときに名刺も一緒に渡してみましょう。名刺が手元にあることでお客様に名前を覚えてもらいやすいですし、デザインや記載された情報から会話のキッカケが生まれることもあるでしょう。
自然に会話が生まれれば、お客様もリラックスして施術を受けられます。そこからプライベートな話題など、より深いコミュニケーションも取りやすくなるはずです。
リピートを生むためにはカットなどの満足度を高めることも重要ですが、同時にリラックスして施術を受けられるかどうか、コミュニケーションが取りやすいかどうかも重要となります。名刺を渡すことで会話のキッカケや信頼関係の構築に繋がりやすいため、施術前に渡すのは効果的でしょう。
帰りの会計のときに渡す
対照的に、帰りのタイミングで渡す場合、手書きで一言メッセージを添えることも可能となるためおすすめです。お礼や、施術中に話したことなどについて触れられていると、より印象に残りやすくなるでしょう。
また、一言でも手書きの部分があると、受け取った名刺をすぐに処分するようなことはしづらいとも考えられます。心のこもった言葉をもらうだけで、ちょっとした特別感も芽生えるため、次もお願いしようかなと思ってもらえる可能性が高くなります。
そういうメリットを考えると、帰りのタイミングで渡すという方法もおすすめといえます。
名刺の汚れに注意する
名刺を渡す際には、汚れや折れ、破れていないかなどを確認してから渡すようにしましょう。自分自身が名刺を受け取る側としてイメージしてみるとわかりやすいはずです。
汚れや折れた名刺を渡されると、悪気が無かったとしても決して気分のいいのものではありませんよね。それどころか「だらしない」「いいかげん」といったネガティブなイメージを持つのではないでしょうか。
小さなことと考えられるかもしれませんが、細部にこだわることが信頼関係の構築へと繋がります。たかが名刺1枚、されど名刺1枚。名刺は、自分自身あるいは、会社の看板を記載していることを忘れずに、丁寧に渡しましょう。
マナーに気を配る
名刺の渡し方ひとつでも印象が変わるだけでなく、気分を悪くされる方もいるかもしれません。とくに普段から名刺のやりとりに慣れているビジネスパーソンのお客様の場合、無意識に名刺の渡し方を見ている可能性がありますので注意が必要です。
もちろんお店の雰囲気などにもよるため、あまりにも堅苦しいとお客様も緊張してしまうかもしれません。しかし、最低限のマナーには気を配りましょう。
まず姿勢について。お客様が立っているなら、目の前に立ち、名刺入れの上に名刺を置いて、少しお辞儀しながら両手で差し出します。渡す際にはポケットから直接名刺を出すのはマナー的にNGです。
お客様が座っているなら、お客様の目線の高さまで上半身を傾け、お客様の胸元の高さに名刺を差し出します。礼儀正しさやマナーは、信頼関係を構築するために最低限必要なことです。小さなことですが気を配りましょう。
まとめ
ビジネスパーソンにとって必携アイテムのひとつである名刺。
自分を知ってもらう、覚えてもらう、いざという時に連絡をもらいやすくする、など利用目的は色々ありますが、自分のビジネスに活かしていくために作るという点ではどの業界、業種でも変わらないでしょう。
美容師業界でも同じです。お客様からリピートをもらう、指名してもらう、カットやパーマをしたい時に思い出してもらう。そのためにも名刺を持つべきです。
本記事では、美容師が名刺を持つメリット、載せるべき情報、具体的な作成方法、渡す時の注意点についてまとめました。
ぜひ参考にして作成していただき、自身のブランディング、来店促進に活かしていってください。