美容室の経営や事業計画書の作成では、つい売上や利益率に意識がいきがちです。しかし利益率を上げるには、原価率を意識することも重要になってきます。
ただやみくもに経費を削減することは、必ずしも美容室経営にプラスになるとは言い切れません。しかし適切に原価率を設定し、利益率を上げるには、原価率の適正な値を把握し、目標設定をすることも大切です。
そこで、本記事では原価率の重要性や適切な原価率の目安、原価率を下げるためにできることを紹介します。
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目次
原価率の重要性と計算方法
美容室の運営において欠かせない原価率の設定ですが、適切な原価率や計算方法が曖昧では、穴の開いたバケツに水を入れるようなもの。経費の無駄遣いにつながり、経営に影響を与えてしまいかねません。
そこで、原価率とは何か、適切な原価率の導きだし方についてしっかり理解しておきましょう。
原価率とは?原価率の考え方
原価率とは、美容室の売上に対する経費の割合を指します。経費とは、シャンプーなどの材料費や人件費、光熱費などで、かかる経費を削減することで同じ売上でも利益率をアップさせることが可能です。
材料の仕入れにかかるコストや光熱費などを見直し、一回の施術にかかる原価率を抑える工夫をするためにも、どれくらいの原価率が適正かを見極める必要があります。
美容室の原価率の計算方法
原価率の計算方法は以下の式に当てはめます。
たとえば一回あたりの施術に必要な材料費や光熱費・人件費が1,000円と仮定し、売上が1万円だった場合、原価率は10%です。材料費や光熱費などの原価率をコストカットし、800円にすることができれば、原価率が8%となり、その分利益率を上げることができます。
美容室の理想の原価率とは
これから事業計画を立てる段階では、どれくらいの原価率であれば適正なのかわからないかもしれません。そこで、美容室経営の原価率の理想や目安を知っておくことで、無理のない事業計画を立てることができるでしょう。
美容室のコスト削減や利益率を上げる方法は以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
美容室で使用する薬剤の原価の目安
美容室の1回あたりの施術に必要な材料費の原価の目安は、以下のとおりです。
材料費だけでなく、光熱費やカラー・パーマに使用するラップやアルミホイルなども考慮する必要があります。人件費をカットするのはモチベーションや求心力の低下につながるため、おすすめできません。
材料費の仕入れ方法を工夫して、どれだけ安く仕入れることができるかがカギとなるでしょう。
美容室の原価率の理想は10%以下
美容室の原価率の相場は10%ですが、理想はそれ以下に抑えることです。できれば8%程度を目標に設定しましょう。
お店のコンセプトによっては、高級なシャンプーやトリートメントをウリにしていることもあるかもしれません。
しかし原価率を下げるには材料費を抑える工夫をする必要があるため、安くていいものを探したりツテを頼って安く仕入れたりして、少しでも仕入れ値のコスト削減をしていくことが大切です。
事業計画におけるその他の経費
美容室の事業計画を立てる際は、できるだけ正確な売上目標や経費設定をすることが、経営を軌道に乗せられるかどうかのポイントとなります。事業計画で設定すべき経費は原価率だけではありません。
事業計画で考えるべき経費について、詳しく見ていきましょう。
家賃
家賃は毎月かかる固定費として大きなウェイトを占めるもので、この設定を間違うとのちのち経営を圧迫しかねないため、適正な割合で抑えておく必要があります。
美容室の家賃相場は売上の10%程度。固定費を抑えるためにはできるだけ安い物件にしたいところですが、家賃が安い物件は立地が悪条件であることも多く、その場合集客に大きな影響を与えます。また、コンセプトやターゲット層に合わせた立地との兼ね合いも考えなければなりません。
人件費
人件費は売上の40%が相場なので、人を雇う場合は経費のなかでも比重が大きいものとなるでしょう。しかしスタイリストが自分以外にいることで、その分売上を伸ばすことが可能になるというメリットもあります。
人件費を削るとスタッフがついて来なくなり、離職につながったり、モチベーションが低下していい接客ができなくなったりするため、しっかりと確保すべき経費です。
通信費・システム手数料
通信費やシステム手数料は、売上の4%程度が目安です。通信費は電話だけでなくインターネットの契約も必要で、これは今や美容室に欠かせない経費といえるでしょう。
ネット予約が主流となりつつあるため、予約システムの導入もまた必須であり、それに伴うインターネット環境の整備も必要です。また、来店されたお客様に使っていただけるようにWi-Fiを設置することで、新たな客層の開拓につながることも考えられます。
水道光熱費
水道光熱費は店舗運営に欠かせない経費ですが、目安は10%程度です。シャンプーやトリートメント・ヘッドスパ・美容機器を使用した施術が増えれば、それに比例して水道や電気の使用料も増えると考えなければいけません。
お客様に対して我慢を強いるような節約の仕方は避けるべきですが、たとえば契約する電気会社を変えたり節水効果のあるシャワーヘッドを使用したりといった工夫で、コスト削減をしましょう。
減価償却費
減価償却費とは、使用年数に応じて価値が目減りする資産の取得費を、耐用年数に応じて経費計上する会計処理のことです。美容室の場合シャンプー台やセット面、内装工事費などがそれに該当し、確定申告の際10万円以上のものを減価償却費として計上できます。
減価償却費は売上の10%程度が目安で、ものによって耐用年数の目安も決められていますので、経費計上の際は国税庁の耐用年数表でチェックしましょう。
広告宣伝費
美容室の認知度を上げ、集客に欠かせない広告宣伝は、開店前から積極的に行う必要があります。ただし、多く費用をかけたからといって必ずしも集客につながるとは限らず、美容室のターゲット層に合わせて効果的な方法で行うことが大切です。
広告宣伝費の相場は売上の10~15%ですが、全体の経費のバランスを見ながらどれくらい費用を投入するのかを決めなければなりません。コストパフォーマンスが比較的高いSNSを活用した集客方法も取り入れるなどの工夫をしましょう。
その他
経費として考えなければならない項目には、損害保険の保険料や消耗品費、税理士を雇う場合は税理士費用も必要です。また、税金の支払にも備えておかなければなりません。
損害保険はもしものトラブルが起きたときに大きな安心材料となりますが、手厚くかけすぎて経費を圧迫してしまうこともあるため、どれくらいの保障が必要かといった見極めも大切です。
サロン保険が必要な事例や美容室におすすめの保険については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
美容室の原価率を抑えるには?
原価率を抑えることができれば、美容室の利益率を上げることができるため、どうやったら原価率を下げることができるのか気になる方も多いのではないでしょうか。そこで、美容室の原価率を抑えるのに有効な方法を紹介します。
翌月の売上予想から原価目標を設定する
まずはしっかり原価率の適正値を把握し、目標を設定することが大切です。現状の原価率と現実的な原価目標を定め、スタッフとも共有しておくといいでしょう。
光熱費や材料費は、一回一回の無駄をなくすことが節約につながります。そのため、スタッフの協力や意識改革が欠かせません。
原価率を下げることが美容室にとってどんな利益をもたらすのかを説明し、その分給料に反映できるかもしれないことを伝え、スタッフ全員で節約に取り組む雰囲気を作りましょう。
資材を安く仕入れる
資材の仕入れ値を安くすることができれば、毎月の原価率を抑えることができます。資材を安く仕入れるには、一度に大量に仕入れることで割引きしてもらうのがオーソドックスな方法です。
しかし個人経営の美容室では、一度に大量注文をするのは難しいケースが多いと考えられます。
その場合は、すでに取引のある業者に交渉して値下げしてもらったり、ひとつの業者に絞り込んで仕入れの総額を上げることで単価を安くしてもらったりといった方法も試してみましょう。
こまめに棚卸をする
棚卸は仕入れと売上が合っているかを調べるために行いますが、仕入れの無駄をなくすためにも有効です。
たとえば店販の商品を売れ行きより多く仕入れている場合、不良在庫となってしまい原価率を上げてしまいます。一方で、売れている商品の仕入れ数が足りずに機会損失になっているケースもあるかもしれません。
こまめに棚卸をすることでこういった無駄がなくなり、結果的に原価率を抑えることにもつながります。週2回程度の頻度で棚卸を行うことで、過不足のない資材の発注ができるのでおすすめです。
薬剤の使用料を記録しておく
美容室の材料のなかでもカラー剤を例にとると、オーダーを受けてから調合するため、必要以上に使ってしまっても戻すことができません。お客様に満足していただく施術に必要なカラー剤やトリートメントなどは、お客様によって変わることもあるでしょう。
そこで、カルテに施術の詳細な記録を残し、どの材料をどのくらい使ったのかをスタッフが把握しやすくしておくと、次回の施術で無駄を少なくすることにつながります。
薬剤の使用料をコントロールする
薬剤の使用料を適切にコントロールすることも、原価率を抑えるために必要です。一回の施術で少しずつ使いすぎてしまうと、積もり積もって原価率が高くなってしまいます。
たとえばカラー剤80gで十分施術可能なお客様に90gを使用し、パーマ液40mlで済むところを50ml使用したとすると、10回、20回と積み重なると大きな差です。
顧客の毛量や髪形によって適切な使用料は異なるため、ちょうどいい量でおさめるには経験によるコツをつかむ必要がありますが、原価率に対する意識の有無によっても違ってくるでしょう。
電子化でコスト削減
消耗品のコストカットにも意識を向ける必要があります。消耗品のなかには、カルテや伝票、スタンプカードなどを紙からデジタルに移行するだけで大幅に削減できるものも多くあります。
電子カルテにすれば、顧客情報の修正や追加が簡単にできるというメリットも。スタンプカードやクーポン発行は、LINEを活用するのがおすすめです。
広告宣伝費用を適切に設定する
広告宣伝の方法は、チラシや情報誌への掲載、ネット広告の出稿だけではありません。ホームページを作成したりInstagramなどのSNSを活用すれば、コストをかけずに集客することも可能です。
SNSを利用する場合、アカウントのフォロワーを増やしたりハッシュタグを効果的に使うことで、予算をかけずに集客につなげることができます。広告宣伝費に無駄がないかの見直しをし、適切に予算を設定しましょう。
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予約システムの導入でコスト削減、業務効率化をしよう
カルテや予約台帳の電子化や、SNSを使った集客の導線をスムーズにするなど、美容室の業務効率化には予約システムの導入が欠かせません。
なかでも美容系サロンに特化したリザービアは、全国5,000店以上で導入実績があり、美容室に便利な機能を豊富に搭載しているためおすすめです。
リザービアの機能のなかでも、特に美容室に便利な機能を紹介します。
顧客管理機能でカルテ管理
予約システムの基本機能である顧客管理機能ですが、リザービアのシステムでは顧客情報に施術写真やメモを添付することができるため、より詳細な記録を残すことができます。
蓄積された顧客データをもとにニーズの把握や適切な施術の提案を行い、顧客満足度を高めたり信頼関係の構築に役立てることで、リピータ―の獲得にもつながるでしょう。
POSシステムとの連携でさらに詳細なカルテ機能が使える
リザービアはPOSシステムのA’staff Cloud Smartと連携することで、顧客情報と会計情報を紐づけた電子カルテ機能を使って、よりパーソナライズされた情報管理が可能です。
予約システムとPOSシステムの連携で、直感的に操作しやすい電子カルテの利用や売上情報をもとにした集計・分析機能で、店舗運営の改善点の洗い出しなどにも活用できます。
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A’staff Cloud Smart
Googleで予約
Googleで予約とは、無料のサービス「Googleビジネスプロフィール」からの集客を確実に予約へとつなげることができる連携機能です。
Googleビジネスプロフィールに登録することで、Googleの検索やマップ検索結果に店舗情報を上位表示させることができるもの。その店舗情報に「予約」アイコンを表示させ、そこから直接予約へと誘導できます。
会員登録が不要で、予約にかかるお客様の手間を最小にすることで、予約完了率を高められるというメリットも。Googleで予約を利用したことで、1店舗あたりの平均予約数が半年で226%増加したというデータもあります。
リザービアご契約者様なら無料で利用できるので、ぜひ集客に活用しましょう。
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LINE連携予約
月間ユーザー数が9,500万人ともいわれるLINEアプリとの連携機能で、LINEを予約アプリとして活用できます。
LINE公式アカウントをすでに運用している美容室も多いかもしれません。LINE公式アカウントから予約を受け付けたり、クーポンやスタンプカードを発行したり、リマインダー通知、口コミや店舗からのお知らせなどの機能が利用できます。
上述したGoogleやポータルサイト・ホームページ・LINEなど、さまざまな予約窓口からの予約受付を一元管理できる機能もあり、自動で予約枠を調整、予約台帳へ反映されるためダブルブッキングの心配もなく、予約管理の負担を大幅に削減することも可能です。
原価率の目標を定めて利益率を上げよう
原価率は売上をもとに計算するもので、美容室では10%以下に抑えるのが理想です。原価率を下げることで、利益率アップを狙うことができます。コツコツと節約をしたりスタッフと意識の共有をしたり、仕入れ値を下げたりといった工夫が功を奏すでしょう。
広告費削減や業務効率化も原価率を下げるために必要な施策。外部サービスとの連携機能が豊富な予約システム「リザービア」の導入は、集客のコストを抑えたり業務効率化をしたりするのにも役立ちます。