よもぎ蒸しサロンの開業に興味はあるものの、「本当に儲かるのか」「開業にはどんな準備が必要か」といった不安や疑問から、踏み出せずにいる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、よもぎ蒸しサロンの開業についての具体的な準備や費用の目安、そして「儲かる」と言われる理由や開業後にサロン経営を成功させるためのコツについて解説します。
目次
よもぎ蒸しとは?
よもぎ蒸しは、韓国発祥の民間療法です。
専用の椅子の下によもぎを煎じた鍋を置き、下着を外した状態で専用のガウンを身につけ、その椅子に座ります。ガウンの中によもぎを煎じた蒸気が満たされ、体が芯から温まります。
体を温めることから冷え性の改善、汗をかくことによるデトックス、下腹部を温めることによる生理痛やPMSの緩和、そしてよもぎの香りによるストレスの軽減などの作用が期待できます。
よもぎ蒸しサロンの開業に必要な資格や許可

よもぎ蒸しの提供自体には、必須となる国家資格や民間資格はありません。しかし、開業する地域によっては、公衆浴場法に基づいて、「公衆浴場の営業を行うための許可」が必要となるケースがあります。
公衆浴場法には、下記のように記されています。
業として公衆浴場を経営するものは、都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)の許可を受ける必要がある。
引用元
厚生労働省:公衆浴場法概要
しかし、よもぎ蒸しサロンが公衆浴場に該当するかどうかの判断は、地域によって判断が異なります。
都道府県のホームページに申請が必要である旨を明記している場合もありますが、開業前に開業予定地を管轄する保健所に、許可が必要かどうか確認しましょう。
よもぎ蒸しサロン開業のメリット
数あるサロン開業のなかでも、よもぎ蒸しサロンを選んで開業するメリットを3つ紹介します。
特別な資格を必要としない
よもぎ蒸しサロンを開業するにあたり、特別な資格は必要としません。エステティシャンのように技術を必要とすることもないため、極端な言い方ですが、設備さえ整えれば誰でもよもぎ蒸しサロンの開業は可能です。
ただし、サロンを開業するためには、サロン経営や集客に関する知識は欠かせません。また、よもぎ蒸しは体質などによっては避けた方がいい人もいます。どんな人にはおすすめしないのかなど、きちんと説明できる知識を身につけましょう。
省スペースで開業できる
マッサージベッドやエステマシンのような大きな設備も必要としないため、あまり広くない部屋でも開業できます。
よもぎ蒸し用の椅子を置けるスペースと、着替えのための場所さえ確保できれば問題ありません。
施術時間が有効に活用できる
よもぎ蒸し中は、自分の手で直接施術を行うわけではないため、その場を離れることができます。そのため、お客様がよもぎ蒸しをしている間、他の仕事を進めるなど、時間を有効に活用することも可能です。
よもぎ蒸しのセットを複数用意している場合は、時間差で他のお客様の接客もできます。
ただし、お客様から温度調節などの声がかかることもあるため、完全に手が離れるとは言い難いでしょう。
よもぎ蒸しが「儲かる」と言われる3つの理由
よもぎ蒸しの導入や新たなサロン開業を検討している方にとって、収益性は重要な点のひとつ。よもぎ蒸しが儲かるとされる背景には、複数の要因が存在します。
ここでは、よもぎ蒸しビジネスが収益性の高い選択肢として注目されている、3つの主な理由について詳しく見ていきましょう。
1. 需要が高まり市場が拡大している
フェムケアへの関心と需要の高まりは、よもぎ蒸し市場の拡大に大きく寄与しています。「フェムケア」とは、「Feminine(女性の)」と「Care(ケア)」を組み合わせた言葉で、女性特有の体の悩みやエイジングの問題に対するケアを指します。
女性のライフスタイルの変化や健康意識の向上に伴い、フェムケア市場は年々拡大しており、今後もさらなる成長が見られるでしょう。
特に、女性ホルモンのリズムによる体調の変化や、人には相談しにくい悩みに対するケアの需要が高まっています。
また、近年のサウナブームによって温活の認知度が広がり、それに伴い「よもぎ蒸し」も広く知られるようになってきました。よもぎ蒸しの認知が広がるとともに、こういった悩みに対する解決策として注目を集めています。
矢野経済研究所のデータによると、フェムケア市場は今後も拡大傾向にあると見られ、よもぎ蒸しサロンにとっては追い風となるでしょう。
この市場拡大は、新規顧客の獲得や既存顧客の利用頻度増加につながり、よもぎ蒸しサロンの収益性向上に直接的に寄与すると考えられます。
引用元
矢野経済研究所|フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する調査を実施(2024年)
一般社団法人よもぎ温熱セラピー協会|[市場調査]女性特有の体の悩みに関する調査(2022年度)
2. 導入・運用コストが低く、利益を出しやすい
多くの美容関連設備とは異なり、よもぎ蒸しに必要な機器は比較的シンプルで、大規模な機器や設備を必要としません。基本的には、よもぎ蒸し専用の椅子やテント、蒸気を発生させる機器などが主な設備です。
また、よもぎ蒸しの導入には大きな工事も必要ありません。既存のサロンスペース内に空きスペースさえあれば、比較的容易に設置することができます。新規開業の場合でも既存サロンへの追加の場合でも、初期投資を抑えられるという大きなメリットとなるでしょう。
さらに、よもぎ蒸しに使用する材料も比較的安価で入手しやすく、ランニングコストも抑えやすいという特徴があります。
3. 他店との差別化になる
よもぎ蒸しの導入は、競争の激しい美容・健康関連のサービス業界において、競合他店との差別化を図る機会となる可能性があります。
よもぎ蒸しを新たなメニューとして追加することで、サロンの魅力を高め、競合他社との明確な違いを生み出すことができるでしょう。オプションやセットメニューとして提示することで、客単価の向上につなげられます。
また、よもぎ蒸しを中心に関連するボディケアやスキンケアのメニューを組み合わせることで、総合的なフェムケアサービスを提供する特色あるサロンというブランディングも可能です。
このような差別化戦略は、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客の満足度向上にも寄与し、結果として安定した収益基盤の構築につながるでしょう。
よもぎ蒸しサロンの開業に必要なもの
まずはよもぎ蒸しを行うために以下の5点が必要です。
- よもぎ蒸し専用の座椅子
- よもぎの蒸気を逃がさないためのマント
- よもぎを煎じるための鍋
- 鍋を加熱するための電気コンロ
- よもぎ蒸しパック(または乾燥よもぎ)
その他、施術前後で必要になる下記のものも用意しましょう。
- スリッパ
- 汗拭きタオル
- カウンセリングする際の椅子やテーブル
- 着替えを入れておくためのカゴやロッカー
- 鏡やヘアドライヤー
など
また、予約や売上の管理用のタブレットまたはパソコン、そして決済手段に合わせたレジも必要になります。
開業費用の目安
よもぎ蒸しサロンの開業費用は、開業場所をどこにするかによって大幅に変わります。
ここでは、テナントを借りるためなど場所の確保以外の初期費用と、ランニングコストについて解説します。
初期費用
よもぎ蒸しサロンを開業するにあたっては、まずサロンの開業に必要な備品を揃えなければなりません。
- タブレットまたはパソコン
- レジ
- ホットキャビ(タオルウォーマー)
- ワゴンもしくは棚
- ロッカーや荷物かご
- スリッパ
- メイク直し用のドレッサーまたは鏡
- (更衣室と施術室が別の場合)ガウン など
ワゴンや棚などは、よもぎ蒸し中に読める雑誌や、水分補給用の飲み物などの置き場所として、用意があると親切かもしれません。よもぎ蒸しパックのストック置き場や、タオルやガウンの置き場所としても必要となるでしょう。
また、物ではありませんが、インターネット環境や予約受付用の電話など、通信環境も整えておきましょう。
そしてよもぎ蒸しを提供するために用意が必要なものが下記となります。
- 専用の座椅子
- マント
- 鍋
- 電気コンロ
- よもぎ蒸しパック(または乾燥よもぎ)
それぞれ単品で買うこともできますし、これらが一式揃ったセットでも販売されています。
この一式を揃える際に、値段を左右するのが座椅子の材質です。
よもぎ蒸し専用の座椅子は、黄土製・木製・プラスチック製の3種類あり、特徴も値段も異なります。座椅子の素材別の特徴とセット価格の目安は下記の通りです。
ランニングコスト
よもぎ蒸しサロンを営業するなかで、消耗品として購入が必要なものが下記となります。
- よもぎ蒸しパック
- マント
- フェイスタオルやバスタオル
- (更衣室と施術室が別の場合)ガウン
煎じるよもぎは、乾燥よもぎやパックに詰められたもの、よもぎ以外のハーブもブレンドされたものなどさまざまです。産地や原料によって値段も異なり、どこから仕入れるかによっても変わってきます。目安としては1回分500〜1,000円ほどです。
マントやタオルはお客様ごとに洗い替えが必要となるため、その分、枚数も必要です。1日にどのくらいのお客様を見込んでいるか、座椅子は何台置いているかなどに合わせて検討しましょう。
また、マントは材質や形状によって価格の幅も広いため、予算とのバランスもみて選ぶ必要があります。価格は1枚2,000円程のお手頃なものから、20,000円近くする高級なものなどさまざまです。
マントもタオルも直接肌に触れるため、傷んでいたり古くなっていたりすると、お客様に不潔な印象を与えかねません。定期的にチェックし、必要に応じて買い換えるようにしましょう。
このほか、通信費や水道光熱費、そして利用がある場合はシステム手数料や広告費なども毎月かかります。
よもぎ蒸しサロン開業の流れ

よもぎ蒸しサロンを開業する際の、一般的な流れは以下の通りです。
- コンセプト・ターゲットの決定:どのようなサロンにし、誰に来てほしいかを明確にする
- 事業計画の作成:開業資金や運転資金、収支の見通しなどを具体的に計画する
- 開業場所の決定:自宅サロンか、テナントを借りるかを決め、物件を探す
- 資金調達:自己資金のほか、必要に応じて融資などを検討する
- 保健所への確認:開業場所の管轄保健所に「公衆浴場の許可」が必要かを確認する
- 内装や備品の準備:必要な備品を揃え、内装を整える
- 各種届出の提出:開業届や青色申告承認申請書などを税務署に提出する
- 集客活動の開始:ホームページやSNS、ポータルサイトなどでサロンの宣伝を開始する
よもぎ蒸しに関する知識や経験が浅い場合は、開業準備と並行して、よもぎ蒸しの効果効能や禁忌事項、衛生管理などの基礎知識を学ぶ講習等を受講することをおすすめします。
よもぎ蒸しサロンの開業に必要な手続き

よもぎサロンの開業について、必要な手続きを紹介します。
従業員を雇ったり、法人として事業を始めたりする場合には、ここで紹介する以外にも「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出などの手続きが必要になります。
今回紹介する内容は、個人で始める場合を想定した手続きです。
「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出
新たに事業を開始する場合、事業開始日から1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出する必要があります。
書面を税務署へ持参または送付して提出できるほか、e-Taxを利用しオンラインで提出することも可能です。
「青色申告承認申請書」の提出
確定申告で青色申告を行う場合、青色申告承認申請手続きが必要です。新規事業開始の場合は、開始から2ヶ月以内に申請しましょう。
青色申告には、「最大65万円の特別控除が受けられる」「赤字を翌年以降に繰り越せる」といったメリットがあります。
引用元
国税庁|はじめてみませんか? – 青 色 申 告
国税庁|所得税の青色申告承認申請手続
よもぎ蒸しサロンで成功するためのコツ
よもぎ蒸しサロンを開業し、安定した経営を続けるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、サロン経営で成功するための5つのコツを紹介します。
ターゲットとコンセプトを明確にする
よもぎ蒸しサロンを成功させるには、「誰の、どんな悩みを解決するサロンなのか」というターゲットとコンセプトを明確にすることが重要です。
ターゲットとコンセプトが明確になれば、集客方法や価格帯の設定などが決めやすくなります。
サロンの内装やBGM、使用するよもぎの種類、提供するドリンクなども、コンセプトに合わせて一貫性を持たせましょう。
値下げをむやみに行わない
集客のために価格を安易に下げてしまうと、利益率が下がり、経営が苦しくなる可能性があります。
安さで勝負するのではなく、よもぎ蒸しの質や接客サービスなど、「価格以上の価値」を提供することで選ばれるサロンを目指しましょう。
ターゲットに合わせた集客方法を選ぶ
サロンの存在を知ってもらわなければ、お客様は来店できません。設定したターゲットに合った集客方法を選ぶことが重要です。
ここでは、よもぎ蒸しサロンの集客におすすめの方法をいくつか紹介します。
なお、サロンの集客方法については、下記の関連記事でも紹介しているので、あわせて参考にしてみてください。
Googleビジネスプロフィール
Googleビジネスプロフィールに登録することで、Google検索やGoogleマップでサロン名や「よもぎ蒸し 〇〇(地域名)」などと検索した際に、サロンの情報を表示できるようになります。
サロンの住所や営業時間などの基本情報に加え、写真や口コミ、最新情報などを無料で掲載できます。
さらに、Googleビジネスプロフィールと予約管理システムを連携することで、検索結果やマップからの予約を受け付けることも可能です。
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、お客様のリピートを促進するのに非常に有効なツールです。
友だち登録してくれたお客様に、お得なクーポンやキャンペーン情報、空き状況などを直接配信できます。また、LINEから直接予約を受け付けたり、予約のリマインドメッセージを自動送信したりといった活用も可能です。
Instagramは、写真や動画を使ってサロンの魅力を視覚的に伝えることができるSNSです。
よもぎ蒸し中の様子やサロン内の様子、使用しているよもぎの種類やこだわり、お客様の声などを発信することで、サロンの雰囲気やコンセプトを伝えるのに役立ちます。
ポータルサイト
ポータルサイトへの掲載は、特に開業初期の新規顧客獲得に効果的です。多くのユーザーがサロン検索に利用しているため、掲載することでサロンの認知向上が期待できるでしょう。
ポータルサイトについての詳細は、下記の関連記事を参考にしてください。
地域情報誌への掲載
サロンの周辺地域に住む住民にアプローチしたい場合は、地域情報誌やフリーペーパーへの広告掲載も有効な手段です。
紙媒体で情報を発信することで、インターネットやSNSをあまり利用しない層にもアプローチできるでしょう。
リピートしたくなる仕組みを整える
サロン経営を安定させるためには、新規顧客の獲得と同時に、リピーターを増やすことが重要です。
よもぎ蒸しは、体質改善などの効果を実感するために継続して通うことが推奨されるため、リピートにつながりやすいサービスです。次回の予約を促す仕組みや、ポイントカード・回数券などの特典を用意し、リピーター獲得に努めましょう。
なお、リピーター獲得の重要性については、下記の関連記事で詳しく解説しています。
リピーター獲得には「予約のしやすさ」も重要
お客様にリピートしてもらうためには、予約のしやすさも非常に重要です。思い立った瞬間に行動に移してもらうためにも、24時間いつでもどこからでも予約できるネット予約システムの導入は、必須と言えるでしょう。
また、普段から使い慣れているツールから予約できるなども、お客様の利便性を大きく高めます。
予約システム「リザービア」なら、お客様からの予約をLINEから受け付けられる「LINE連携予約」のほか、ポータルサイトとの連携や顧客管理機能も充実しています。
さらに、来店後のサンキューメッセージ送信や、来店周期に合わせた再来店促進メッセージの自動配信機能なども搭載しており、リピート率向上をサポートします。
LINE連携可能な予約システムについては、下記の関連記事でも紹介しているため、そちらも参考にしてください。
衛生面への配慮を欠かさない
よもぎ蒸しは、下着を外した状態で専用のマントを羽織って蒸気を浴びます。そのため、「清潔感がない」「衛生的に不安」と感じさせてしまうと、リピートにつながらないどころか、悪い口コミが広がる原因にもなりかねません。
マントやタオルは必ずお客様ごとに交換して清潔なものを提供する、座椅子や個室の清掃・消毒を徹底するなど、衛生管理には細心の注意を払いましょう。
よもぎ蒸しサロンの開業についてのよくある質問
ここからは、よもぎ蒸しサロンの開業についてのよくある質問とその回答を紹介します。
Q.よもぎ蒸しサロンは自宅でも開業できますか?
A.自宅での開業は可能です。
開業のために物件を借りる場合に比べて、初期費用や家賃分のランニングコストを抑えられるなどのメリットがあります。
ただし、自宅住所を知られるなどのデメリットも存在します。また、物件によっては「居住専用」となっているケースもあるため、開業前に確認が必要です。
Q.未経験でも開業できますか?
A. はい、よもぎ蒸しサロンの開業に必須の資格はないため、未経験からでも開業自体は可能です。
ただし、お客様に安全によもぎ蒸しを提供するためには、専門的な知識が不可欠です。よもぎ蒸しの効果効能だけでなく、避けるべき禁忌事項などについて、講習やセミナーなどでしっかりと学ぶことを強くおすすめします。
計画的な準備で、よもぎ蒸しサロンの開業を成功させよう

よもぎ蒸しサロンは、特別な資格が不要で、省スペース・低コストでも始められるなど、多くのメリットがあります。フェムケア市場に拡大の傾向が見られることから、今後の需要の高まりも期待できるでしょう。
しかし、開業後も安定した経営を続けるには、ターゲットとコンセプトの明確化、管轄の保健所への事前確認など開業前の準備や計画がとても重要です。準備を万全に整え、よもぎ蒸しサロンの開業を成功させましょう。


