美容クリニックは美容を主目的とした医療サービスを提供するクリニックで、近年人気が高くなっています。
テレビやYouTube、SNSなどの広告でも頻繁に見かける美容クリニックは、さぞかし儲かるのではとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、開業に必要な資格や資金、必要な届出や成功のポイントなどを詳しく解説していきます。開業をお考えの方は、参考にしてみてください。
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目次
美容クリニックの開業に資格は必要?
美容クリニックは自由診療で利益率も高いことから、開業を考えている医師も多いのではないでしょうか。美容クリニックが高い収益性があるのは事実ですが、大手のクリニックが多数あり競争が激しい分野でもあります。
勝ち残るためにはコンセプトをしっかり決めて、商圏の他クリニックと差別化できる経営戦略を立てることが重要です。
医師免許がなくても美容クリニックを開業できる?
医師免許がなくても美容クリニックを開業することは可能です。その方法には、以下の3つがあります。
- MS法人(メディカル・サービス法人)
- 医療法人
- 一般社団法人
つまり法人を立ち上げることで、事実上クリニックの開業ができます。医師を雇う必要があるので人件費はかかりますが、経営に専念できるのがメリットです。
美容クリニック開業におすすめの資格とは?
美容クリニックを開業する際、持っていると役立つ資格でおすすめしたいのは2つです。どちらもクリニックの経営に役立つ資格で、経営に関する知識を身につけることができます。
医療経営士
医療経営士は医療機関のマネジメントに必要な医療と経営の知識が身につく資格です。クリニックの経営にはそれなりの知識と課題解決能力が必要で、医師としてのスキルが高くても経営の知識がなければ行き詰まることも。
医療経営士は医療経営を体系的に理解できる資格で1~3級があり、3級では医療経営の基礎能力、2級では医療経営の体系的な知識、1級では医療経営における課題解決能力や実践能力が求められます。
病院経営管理士
病院経営管理士は病院管理運営を円滑に行うための知識や能力が問われる資格です。医療に関する知識、経営管理や経営手法に関する知識を身につけることで、クリニック内の連携を緊密にし、経営を軌道に乗せることができます。
カリキュラム内容は、病院の施設・設備管理や医療関連法規、医療経済学などの医療関連科目と、マーケティングや財務などの経営管理科目、特別講座、卒論からなる通信講座です。
美容クリニックの開業資金はどれくらい必要?
美容クリニックで使用する美容医療機器は高額なため、他の診療科の開業より高額になることが多いです。目安は5,000万円~1憶円。内訳は以下の表をご覧ください。
先述したとおり美容クリニックでは、特に美容医療機器の導入にもっともコストがかかります。また、大手美容クリニックがひしめく美容医療業界では、それなりに広告宣伝にも資金を投入しなければなりません。
国内未承認の輸入機器やハイフ・レーザーなどの機器は、一体で1,000万円以上することも珍しくなく、どんな美容医療を提供するかによっても必要な資金には差があります。
自己資金は1~2割程度準備しよう
多額の資金を自己資金だけで賄うのは容易ではありません。とはいえ開業資金として元手がなければ、融資を受けることも難しくなることに注意が必要です。
自己資金の目安は開業資金の1~2割程度。残りは銀行からの融資を受けましょう。
開業資金を調達する方法は?融資を受けよう
融資はどこに申し込めばいいのか迷ってしまうかもしれません。融資を受けるには審査もあり、利率によって借入総額も変わってきます。クリニックの開業で融資を申し込む際におすすめの機関は、以下の3つです。それぞれ概要を見ていきましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は国が関わっている事業で、民間の金融機関の役割を補完することを目的としています。比較的審査に通りやすく、民間の金融機関に比べて低金利で貸付が可能です。
日本政策金融公庫では、事業内容や融資を受けるタイミングの事業年数などによって、さまざまなプランが用意されています。一般貸付は事業を営むほとんどの方が利用でき、特別貸付枠の条件に当てはまれば別枠で融資を受けることも可能ですが、貸付金額には上限があるため、すべての資金を賄うことはできないかもしれません。
民間の金融機関
民間の金融機関で融資を申し込む場合、メガバンクや都市銀行より、地方銀行や信用金庫のほうが審査が通りやすい傾向があります。銀行によっては診療所専門の窓口があるケースもあり、医療経営士の資格を持った行員からアドバイスを受けられることも。
まずはクリニック開業への理解があったり、専門の窓口が設けられていたりする金融機関に相談してみるのがおすすめです。
医療信用組合
医師や歯科医師・薬剤師のための医療信用組合は、医療系専門の金融機関です。まさに医師や歯科医師の開業をサポートするための金融商品を取り扱っているため、美容クリニックの開業で融資を受けやすく、有利な条件での貸付をしてもらえるのがメリットになります。
医師会に入会していることが条件で、医師会は入会費や年会費がかかりますが、会員が利用できる保険や年金などの制度もあります。メリットも大きいため検討してみましょう。
開業資金を抑えるポイント
美容クリニックの開業は、多額の資金が必要なため少しでもコストを削減していきたいところです。開業資金を抑え、経営を安定させるためのポイントを紹介します。
スモールスタートを意識する
最初から高額な医療機器を多数導入したり、大人数を収容できる物件を借りたりすると、莫大な費用がかかります。まずはスモールスタートで、対応メニューを絞り込みしっかり集患できるようになってから、徐々にメニューや美容機器を増やしていきましょう。
予約システムや顧客管理はクラウド型のサービスを利用する
美容クリニックでは、カルテや予約管理、会計システムやスタッフの勤怠管理などが必要です。業務効率化のためにはそういったサービスを導入しなければなりません。
しかしそれぞれを別で管理しようとすると、無駄が生じるばかりか、費用もその分かかりがちでミスを誘発する恐れもあります。ひとつのシステムですべてを賄えるか、連携できるものがおすすめです。
また、クリニックを利用する患者の利便性や機会損失を防ぐという観点からも、予約システムを導入することは必須といえるでしょう。
美容クリニック開業で見込める年収は?開業を成功に導くポイント5選
美容クリニックは儲かるイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。実際のところ、経営が軌道に乗れば年収は5,000万円を超えるケースもあり、収益性が高いのは間違いないでしょう。
美容クリニックの開業を成功に導くために必要なポイントは、以下の5つです。
1.アクセスのよい立地で開業する
アクセスのいい立地であることは、集患に有利です。多くの患者を集めるためには、少なくとも都市部に開業すべきでしょう。
来院しやすい表通りやわかりやすい目印があれば、迷うことなくたどり着けるため案内しやすいメリットもあります。ただし好立地であればあるほど物件取得にかかる費用や毎月のコストが高くなることに注意が必要です。
わかりにくい路地やアクセスの悪い場所で開業する場合、駅からの道順をわかりやすく説明する画像や動画を用意して、ホームページやSNSで発信するなどの工夫をしましょう。
2.SNSを最大限活用する
美容クリニックの広告宣伝には、SNSを使った戦略も重要です。美容クリニックを利用するメインターゲットの10~20代は、Instagramを使って情報収集する傾向があります。
SNSでの露出を増やすことで、集患につながる可能性を高めるためにも、内装は写真映えを意識したインテリアにこだわるのもおすすめです。さらにSNSからそのまま予約につながる導線を仕込むことで、予約率を高めることもできるでしょう。
3.Webでの集患戦略に注力する
SNSだけでなく、Webを使った集患戦略も重要です。ホームページやブログを作成したり、リスティング広告を活用したりするなど、Webでの露出を増やすのもよいでしょう。
特にGoogleビジネスプロフィールを使って、Google検索から予約につなげられるようにしておくとブラウザからの流入が見込めるのでおすすめです。
4.機器の導入は相見積もりをする
美容医療機器の価格は、メーカーや取り扱う業者によって変わることがあります。開業費用でもお伝えしたとおり、美容医療機器は開業資金のなかでも多くのウェイトを占めるもので、少しでも抑えたい費用です。
美容医療機器を導入するには相見積もりをとって、適正価格を把握し価格交渉をするなどの工夫をすることで抑えることができる可能性があります。リースか購入でどちらがお得かも考慮し、複数社の見積もりをとるのがおすすめです。
5.余裕のある資金計画を立てる
開業にかかるお金は、上述した内容だけではありません。思わぬことにお金がかかり、想定より大幅にオーバーしてしまうこともあり得ます。
また開業からしばらくは、売上よりランニングコストのほうが高くなってしまうことがあるため、資金は余裕をもって準備することが大切です。看護師などクリニックを支える存在への給料も含めた資金計画を立て、予想外の出費にも対応できるようにしておくことで、安定した経営ができるようになります。
開業までの流れと必要な届出
開業のためには、やらなければならないことが目白押しです。おおまかな開業の流れは以下のとおりです。
- コンセプトの決定
- 商圏の調査
- 物件探し・契約
- 事業計画・資金計画を立てる
- 資金繰り
- 内装工事
- 美容医療機器契約
- 薬品・医療資材納品
- 什器・備品の納品
- チラシ・ホームページ作成
- スタッフ採用
- 届出
開業のための手続きは7カ所で行う
美容クリニックの開業では、7カ所での手続きが必要です。必要な届出について見ていきましょう。
保健所
保健所に診療所の開設届や許可申請を行う必要があります。導入する機器にもよりますが、診療所エックス線装置備届や麻酔管理者・施設者免許申請書、入院施設も兼ね備えるのであれば診療所使用許可申請書の提出も必要です。
診療所使用許可申請書は、医師が開業する場合、開設届と同時に提出しなければなりません。
引用元:
目黒区|診療所使用許可申請書
大阪市|医療・医薬品の手続き
税務署
税務署では開業届や青色申告申請書、減価償却資産の償却方法の届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書などの手続きを行います。
確定申告時に慌てないためにも高額な美容医療機器の減価償却に関する届出などは、忘れないように提出しましょう。
引用元:
国税庁|申告所得税関係
医師会への入会
医師会への入会は任意ですが、医療信用組合からの融資を受けるつもりなら、入会しなければなりません。入会費や会費は地域の組合ごとに違いますので、入会を検討される場合、お近くの医師会へ問い合わせましょう。
引用元:
日本医師会|日本医師会に入会するメリット
防火管理者講習受講
30人以上を収容可能な物件であれば、防火管理者講習受講が必要です。講習はクリニックの延べ床面積によって、甲種か乙種のどちらかの講習を受けることになります。
甲種は防火・防災管理新規講習を2日間受講することで取得できるもので、特定防火対象物が300㎡、収容人員30人以上で必要です。乙種との違いは、避難困難施設が入っている建物かどうかで、乙種の場合講習は1日で修了します。
労働基準監督署とハローワーク
看護師やスタッフを雇う場合に必要です。労働基準監督署では、保険関係成立届や概算保険料申告書、労災保険指定医療機関指定申請書の提出をします。
ハローワークでは、雇用保険適用事業所設置届や雇用保険被保険者資格取得届を申請しましょう。
引用元:
厚生労働省|労働保険の成立手続
厚生労働省|労災保険指定医療機関になるための手続きについて
厚生労働省|雇用保険適用事業所設置届
厚生労働省|雇用保険被保険者資格取得届
地方厚生局
地方厚生局では、保険医療機関指定申請書や診療料の施設基準等に係る届出書の提出が必要です。美容クリニックは基本的に自由診療を行いますが、場合によっては保険適用が可能なケースがあります。
開業にあたって指定医療機関コードを取得しておきましょう。
引用元:
地方厚生局|保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請・届出
地方厚生局|特掲診療料の届出一覧
社会保険事務所
社会保険事務所では、新規適用事業所現況書や健康保険被扶養者(異動)届などの提出が必要です。また、厚生年金保険、および、健康保険の新規適用届や健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届の届出も忘れないようにしましょう。
引用元:
日本年金機構|家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき
日本年金機構|新規適用の手続き
日本年金機構|従業員を採用したとき
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美容クリニック開業で成功するには資金計画と経営戦略が重要
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