男性の美意識や健康意識の高まりから、店舗数が増えているメンズエステ。しかし、メンズエステで働くセラピストの中には、確定申告を作成する必要があるのか、どのような項目を売上・経費として計上できるのかわからないという方もいるでしょう。
この記事では、メンズエステのセラピストが確定申告をすべき3つの理由や確定申告の種類、申告する売上・経費の項目、申請の流れなどについて解説します。
メンズエステで個人事業主のセラピストとして働いていて、確定申告の必要性や具体的な作成の手順について知りたい方は、参考にしてみてください。
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目次
メンズエステのセラピストが確定申告をすべき3つの理由
メンズエステのセラピストが確定申告すべき理由は、ペナルティを課されるリスクや脱税疑惑をかけられてしまうリスクがあるためです。しかし、なぜこのようなリスクがあるのでしょうか?この章では、セラピストが確定申告をすべき3つの理由を紹介します。
1.無申告であったり虚偽の申告をするとペナルティを課される
メンズエステのセラピストに限らず、雇用契約を結んでいない個人事業主で、一定以上の年収がある場合は、青色か白色確定申告を出さなければなりません。
そもそも確定申告を提出しなかったり、虚偽の申告を提出したりすると、下記のようなペナルティを課される場合があります。
引用:財務省:加算税の概要
このように、確定申告の無申告や虚偽の申告には、ペナルティが課されてしまうので、メンズエステのセラピストは、確定申告をしっかりと行うべきでしょう。
2.一定以上の収入がある場合は確定申告をすべき
メンズエステのセラピストとして働く中で、1月1日から12月31日までの所得が48万円を超える方は、確定申告をしなければなりません。所得金額は収入から諸経費を引いた後の金額をさし、多くのセラピストはこの基準を満たすことになるでしょう。
副業でセラピストをしている方などで、収入が48万円に満たない場合は問題ありません。
3.現金で報酬をもらうセラピストには脱税問題がつきまとう
現金で報酬をもらうケースも多いセラピスト。銀行などの口座に記録が残らないので、意図的にせよ、意図的ではないにせよ、脱税問題がつきまといやすい業界だといえます。
後述しますが、メンズエステの店舗に抜き打ちで税務調査が入ることもあり、もし脱税が判明してしまうと、ペナルティを受けたり、罪に問われたりすることもあるのです。
「現金で報酬をもらっているから大丈夫」と慢心せずに、年収48万円を超える場合は、きちんと確定申告を行い、国に納税しなければならない点を覚えておきましょう。
確定申告とは?ルールと種類
メンズエステでセラピストをしている方の大半は、確定申告をしなければなりません。この章では、確定申告の提出期限や種類ごとの特徴についてみていきましょう。
確定申告の算出時期と提出期限
確定申告の算出時期は、1月1日から12月31日までの365日間が対象です。その一方で、確定申告の提出期限は、翌年の2月16日から3月15日までの1ヶ月間となっています。
確定申告の提出先は、納税者の住所地にある税務署です。国内に住所地がない場合は、居所(一定期間以上居住してはいるものの、住所地ほどの結びつきはない住所)にある税務署に提出することになります。
確定申告の種類
確定申告には、確定申告書A・Bの2種類があります。副業セラピストはA、本業セラピストはBという書式で、確定申告書を作成しなければなりません。
また、確定申告の区分には青色申告書や白色申告所、雑所得があります。ここでは、青色申告と白色申告の、それぞれの特徴についてみていきましょう。
青色申告の特徴
青色申告をするためには、青色申告承認申請書の提出が必要で、単式簿記の場合は10万円、複式簿記で記載する場合は、65万円の青色申告特別控除を受けられます。
開業してから2ヶ月以内に青色申告承認申請書を提出することで、経費や特別控除が認められ、税金が安くなるというメリットがあります。
ただし、確定申告に売上・経費を項目別に計算して記載する必要があり、誤った情報を記載したりするとペナルティを受けるリスクが存在する点に注意です。
白色申告の特徴
白色申告は、青色申告をしていない方が対象になります。単式簿記のシンプルな申請方法で記載が簡単ですが、経費を計上できず、特別控除されない点が特徴です。
シンプルな申請方法で、早めに確定申告を済ませたい方におすすめだといえます。
メンズエステの確定申告で記載する売上・経費
メンズエステのセラピストとして、売上や経費として勘定できる項目はなんでしょうか?この章では、売上・経費として計上する項目についてみていきましょう。
売上の項目
確定申告時に売上として申告するべき項目の例としては、以下が挙げられます。
- エステの施術代金
- 指名料
- キャンセル料
- 店内販売の売上金
メンズエステの業態や提供するサービスによって、売上に勘定できる項目はさまざまですが、お客様からの報酬を「売上」として計上するのが一般的です。
経費の項目
メンズエステで働くセラピストが経費として計上できるものの例は以下のとおりです。
- 通信費:インターネット料金・電話代など
- 消耗品費:タオルや勤務服、エステオイルなど(10万円未満)
- 新聞図書費:店に置く漫画や雑誌、新聞など
- 減価償却費:パソコンやキャッシャー、エアコンなど(10万円以上)
- 旅費交通費:ガソリン代や公共交通機関の交通費など
- 接待交際費:飲み会や誕生日祝い、お歳暮など
- 雑費:その他の経費
店舗業務でかかる経費についてまとめて、それぞれの項目に沿って申請しましょう。
メンズエステの税務調査はなぜ実施される?
メンズエステの税務調査が実施される理由はなんでしょうか?この章では、税務調査が入る理由について詳しくみていきましょう。
税務調査は不定期で申告漏れなどが原因
メンズエステに限らず、国税庁は脱税や申告漏れなどがないかを税務調査をします。税務調査は不定期に実施され、税務調査の対象に決まりはありません。
ただし、メンズエステの店舗の申告漏れや虚偽申告などの疑いが強まると、税務調査が入るリスクも上がるといわれています。
税務調査の対象事業者に対しては、事前に郵送で調査に関する通知が届きます。税務調査を拒否することはできません。
領収書やレシート、確定申告書など、調査に必要な書類を準備しておく必要があります。普段から記載ミスのない資料を作成し、しっかりと保管しておけば問題はありません。
専業と副業で申告しなければいけない収入金額が異なる
確定申告が必要な年間所得のボーダーラインは、個人事業主・フリーランスなどの専業か、会社員・パートとして働きながらの副業かどうかで変わってきます。
具体的には、専業の方には基礎控除額の48万円が適応され、年間所得が48万円以下であれば確定申告は不要です。他方で、副業の方は副業で得た年間所得が20万円以下なら確定申告は不要となっています。
ボーダーライン以上の所得がある方に関しては、確定申告が必要です。
所得は収入から経費や控除を差し引いた金額なので、売上が上記のボーダーラインを越えても、経費や適用できる控除によって確定申告が必要かどうかは変わります。
専業か副業かで確定申告が必要となる所得金額は異なることを知って、所定のボーダーラインを超えたら、必ず確定申告書を提出するようにしましょう。そうすれば、メンズエステが税務調査を受けても問題ありません。
メンズエステのセラピストが確定申告をするまでの流れ
メンズエステのセラピストが確定申告をする際の流れは、下記のとおりです。
- 必要な書類・帳簿を準備する
- 帳簿を整理する
- 確定申告書を作成する
それぞれの手順をおさえて、確定申告に備えておきましょう。
1.必要な書類・帳簿を準備する
まずは、確定申告に必要な書類を準備することからはじめます。
- 確定申告書
- 収支内訳書
- 青色申告決算書
これらは、国税庁のWebサイトや税務署、お住まいの市区町村の窓口でも入手可能です。また、確定申告ソフトや国税電子申告・納税システム「e-Tax」でも申告できます。
申請に必要なものは、以下のとおりです。
【必ず用意するもの】
- 口座情報
- 帳簿・領収書・レシート
【必要な場合があるもの】
- 医療費控除の明細書
- 社会保険料控除証明書
還付金を受け取るための口座情報や帳簿の記載に必要なレシートは、それぞれ準備しておく必要があります。医療費や社会保険料の控除を受ける場合には、別途でそれぞれの明細書も用意しましょう。
2.帳簿を整理する
確定申告に必要な書類をそろえたら、今度は帳簿を整理して、確定申告書に記載していく売上と経費の内容について確認していきます。
1年間の売上と経費をまとめあげるには、相当な時間と労力がかかるので、1ヶ月に1回は、売上と経費に関する情報をまとめて整理しておくのがおすすめです。
3.確定申告書を作成する
必要書類を集めて帳簿を整理したら、1年間の収支を確定申告書に記載します。確定申告へ記載するには、手書きや確定申告ソフト、税理士に頼むといった方法があります。
負担やミスが少ない方法を検討して、確定申告を行っていきましょう。
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メンズエステのセラピストは確定申告して、脱税リスクをへらそう
メンズエステのセラピストは、現金で報酬を受け取ることも多く、確定申告を忘れてしまうこともあります。しかし、税務調査が入れば、店舗で働く業務委託のセラピストの納税状況についても調査され、申告漏れが見つかると、ペナルティを受けてしまうことも。
脱税リスクを回避するために、確定申告はしっかりと行いましょう。
引用元
財務省:加算税の概要
国税庁:確定申告が必要な方
国税庁:副収入がある方の確定申告
国税庁:令和4年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ
国税庁:確定申告書の提出先(納税地)
国税庁:青色申告特別控除
国税電子申告・納税システム e-Tax:公式ホームページ
国税庁:確定申告を忘れたとき
国税庁:法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
国税庁:No.1199 基礎控除