開業資金の節約やプライベートとの両立などのために、自宅サロンの開業を検討している人のなかには、具体的にどのような確認が準備が必要かわからないという人もいるでしょう。
そこで本記事では、自宅サロンのメリット・デメリット、開業前に必ず確認すべき注意点、そして具体的な開業準備のステップを詳しく解説します。
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目次
自宅サロンとは

自宅にお客様を招いてサロンのサービスを提供することを自宅サロンと呼びます。代表的な例としては、エステサロン、ネイルサロン、リラクゼーションサロン、まつエクサロン、美容室や整体院などが挙げられます。
通勤時間がなく、営業日や時間も自由に設定しやすいため、自分の好きなことを仕事にしながら、育児や介護といったプライベートとの両立を目指す場合に適した働き方と言えるでしょう。
しかし、自宅サロンの開業には、サロン勤務や店舗型での開業にはないメリットがある一方で、特有のデメリットも存在します。
ここでは、自宅サロンを開業するメリットとデメリットを詳しく解説します。
自宅サロンのメリット
自宅サロンには、店舗を構えるケースとは異なる多くの利点があります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
家事・育児との両立しやすい
家事や育児と仕事の両立のしやすさは、自宅サロン最大のメリットと言えるでしょう。職場への通勤時間が一切かからないため、その分の時間を家事や家族との時間にあてることができます。
さらに、完全予約制にすることで、仕事とプライベートのスケジュールが調整しやすくなるでしょう。
開業資金が安くて済む
自宅でサロンを開業する場合、新しく物件を借りる必要がないため、家賃がかかりません。そのため、開業の際に資金の多くを占める敷金・礼金といった物件取得費用がかからず、開業資金を抑えられます。
自宅を綺麗な状態で維持できる
自宅をサロンにすることで、常にお客様を自宅に招くことになるため、誰が来てもいいように家の中を綺麗に維持しようという気持ちを保ちやすくなります。
その結果、サロンスペースだけではなく、生活スペースも含めた自宅全体を綺麗な状態で維持しやすくなるでしょう。
自宅サロンのデメリット
自宅サロンには多くのメリットがある一方、特有のデメリットも存在します。開業してから後悔しないよう、デメリットもしっかりと把握しておくことが重要です。
ここでは主なデメリットを2つ紹介します。
オン・オフの切り替えが難しい
自宅サロンの場合、職場と生活空間が同じ建物内にあるため、「通勤」という物理的な移動による切り替えがありません。そのため、仕事とプライベートの境界線があいまいになりやすく、オンとオフの切り替えが難しくなる可能性があります。
集客が難しい場合がある
自宅の場所が、サロン経営に適した立地とは限りません。駅から遠かったり、道がわかりにくかったりするなど、お客様がアクセスしにくい場合は集客のハードルが上がります。
また、「自宅サロンは怖い」というイメージから、敬遠するお客様も一定数存在します。こうしたお客様の不安を払拭し、安心して来店してもらうための工夫が必要になるでしょう。
自宅サロンを開業する前に必ず確認すべきこと

自宅サロンの開業準備を具体的に始める前に、必ず確認しておくべき重要なことがあります。よく確認せずに進めてしまうと、せっかく開業してもトラブルにつながってしまう可能性もあるため、確認を済ませた上で具体的な準備を始めましょう。
ここでは、特に注意して確認すべき4つのポイントを紹介します。
法律・届け出関連の確認
自宅サロンの開業が違法とならないために、下記の4つの違反について知っておくことが必要です。
- 物件の契約・規約違反
- 建築基準法違反
- 消防法違反
- 納税関連の違反
それぞれ順番に詳しくみていきましょう。
物件の契約・規約違反(賃貸借契約・マンション規約など)
賃貸の戸建てやマンションでの開業を検討する場合、まずは賃貸借契約書の内容をしっかりと確認しましょう。「居住専用」と定められている物件での営業は、契約違反になります。
また、分譲マンションなどの所有物件でも、管理規約で「事業利用不可」と定められているケースがあるため、注意が必要です。
いずれの場合も、具体的な準備を始める前に、大家さんや管理会社に、サロンの開業が可能な物件かどうかを確認しましょう。
建築基準法違反
住居をサロンとして使用する場合、建築基準法上の「用途変更」に該当するため、役所などの窓口に「建築確認申請」を行わなければならない場合があります。
申請が必要なのにこれを怠ったり、サロンとして使用する建物としての基準を満たさないまま営業したりすることは、法律違反となる可能性が高いです。そのため、自宅での開業について具体的に準備を進める前に、役所の建築指導課など該当窓口に相談してみるとよいでしょう。
引用元
e-Gov 法令検索|建築基準法 第六条・第八十七条
消防法違反
自宅をサロンとして開業する場合、営業を開始する7日前までに管轄の消防署へ「防火対象物使用開始届出書」の提出が必要です。
また、消火器や火災報知器などの消防設備の設置基準のほか、カーペットやカーテンなどの防炎性能の基準も一般的な住宅とは異なる可能性があります。そのため、内装工事を始める前に管轄の消防署に相談しておくと、安心して準備が進められるでしょう。
納税関連の違反
賃貸物件の契約を「居住用」から「事業用」に切り替えた場合、家賃に消費税が課税されるようになります。課税事業者(インボイス登録事業者など)として開業する場合は、申告・納付を忘れないよう注意しましょう。
また、売上に応じた確定申告を怠ると、脱税や申告漏れとなる可能性があり、追徴課税などのペナルティを受ける可能性があります。
引用元
e-Gov 法令検索|消費税法 別表第二 第十三号
防犯対策の徹底
不特定多数のお客様に自宅の住所や室内の間取りなどを知られることは、空き巣などの犯罪リスクを高める可能性があります。
家族以外が自宅に出入りすることのリスクを認識した上で、防犯カメラの導入や貴重品の管理徹底など、同居する家族と自身の安全を守るために、防犯対策はしっかりと行いましょう。
家族や近隣住民への配慮
自宅に不特定多数のお客様が出入りすることについて、同居する家族の理解を得ることは不可欠です。また、ご近所の方々への配慮も欠かせません。
お客様がいる可能性のある時間を家族がわかるようにしたり、駐車スペースを確保して迷惑駐車を防止したりするなど、周囲に迷惑をかけない運営を心がけましょう。
生活感の排除
生活感とアットホームな雰囲気は別物です。お客様は非日常的な空間や時間を求めてサロンを利用するケースも少なくないため、生活感がにじみ出ないよう配慮しましょう。
生活感のある空間では、サロンに対するお客様の満足度が下がってしまう可能性があります。
自宅サロンの開業準備

自宅サロンを開業する前には、さまざまな準備が必要です。ここでは、自宅サロン開業に必要な準備を5つのステップに分けて解説します。
なお、下記の関連記事では自宅サロン開業を成功させるポイントについて解説しているので、そちらもあわせて参考にしてください。
1.事業計画書の作成
事業計画書とは、事業内容や戦略、どのような収益が見込めるかといったものを説明する書類です。事業計画書を作ることで銀行などから事業資金を調達したり、事業改善したりする際に役立ちます。
事業計画書は作らないといけないわけでもありませんが、サロンのコンセプトやターゲットなどを元に開業に必要な資金や収支のシミュレーションができるため作成するのがおすすめです。
サロンとして目指す規模や目標売上を考えながら、適正な自宅サロンになるよう事業計画を考えてみましょう。
2.開業手続き
自宅サロンを開業するには、いくつかの法的な手続きが必要です。ここでは、物件の契約確認と、開業に必要な申請について解説します。
物件の契約
「法律・届け出関連の確認」の項目でも触れた通り、物件の契約内容は非常に重要です。
特に、サロンを開業しようとしている自宅が賃貸の場合は、事業用としての利用が可能か、契約書を再確認した上で、大家さんや管理会社に必ず許可を得ましょう。無断での開業は重大な契約違反となる可能性があります。
自宅サロン開業に必要な申請
事業を開始するにあたり、管轄の税務署へ「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出します。
さらに、美容室やまつエクサロンなどを開業する場合は、自宅サロンであっても保健所に「美容所」としての開設届を提出し、構造設備などの検査を受ける必要があります。
まつエクや各種マッサージ店の開業の場合、開業に必要な条件(面積や設備など)は地域によって異なるため、必ず管轄の保健所に確認してください。
3.資金の準備
自宅サロンの開業準備において、資金の準備は欠かせません。そこでここでは、自宅サロンの開業に必要な資金について具体的な金額の目安をあげながら、詳しく解説していきます。
物件契約費
現在住んでいる自宅をサロンとして開業する場合は、追加で物件契約費はかかりません。しかし、事業として利用できる物件の契約でなかった場合には、別の場所に物件を借りる必要があります。
自宅とは別で物件を借りる場合は、一般的な住居用賃貸と同じで敷金・礼金などの費用がかかります。敷金・礼金の相場は、かかる家賃の0〜3ヶ月程度必要ですので、仮に家賃が12万円だとしたら大体0〜36万円くらいになると思っておきましょう。
敷金・礼金とは別に、物件によってはその他の費用がかかる場合もあるため、注意してください。
内装費
自宅サロンを開業する際に必要な資金として、内装費もあります。内装は、自宅サロンの印象を決定づける要素として大切なポイントです。
自宅っぽさや生活感が出ないようにリフォームした場合には、一般的に平均20〜30万円程度の内装費がかかります。
しかし自宅サロンの内装工事をする場合には、テナントのように大掛かりなリフォームが必要ないことも多く、自分でできるところはDIYすることで費用を抑えることもできます。内装費で無駄なコストは減らしながら、無理のない範囲で自宅サロンの内装を作り、サロンの雰囲気づくりを行いましょう。
備品購入費
自宅サロンを開業する際には、備品を購入する必要もあります。オシャレな内装ができても、置いてある備品がアットホームなアイテムになってしまうと、雰囲気を損ねてしまうことも。内装に合わせて備品もこだわりをもって選ぶとよいでしょう。
必要な備品(機材含む)として、ベッド(5〜10万円)、エアコンや空気清浄機、ディフューザーなどの家電(0〜20万円)、ソファや棚などの家具(5〜10万円)などが挙げられます。自宅サロンの備品購入代として概算すると合計10〜40万円ほどになります。
備品はこだわるほど高価になる傾向があるため、必要最低限の備品購入にとどめて自宅サロンをスタートするのが良いでしょう。
広告宣伝費
自宅サロンの開業資金として、広告宣伝費も必要です。自宅サロンを開業したら多くのお客さんに知ってもらう必要があります。多くのお客さんに知ってもらう上で効果的な広告宣伝の方法としてホームページや各種広告があげられます。
ホームページの制作費・Googleなどのウェブ広告費・フリーペーパーへの掲載費など広告宣伝費には上限なくかけることができてしまうので、現実的な範囲でかけるようにしましょう。多くのお客さんに自宅サロンを知ってもらうために必要な最低限の広告費は、およそ10〜30万円程度です。
ホームページの製作費やフリーペーパーへの掲載費などの金額は会社によって大きく変わりますので、自分の予算に合った会社に依頼しましょう。
運転資金
自宅サロンを開業することにおいては、運転資金も欠かせません。運転資金とは、経営を続けるために必要になってくるランニングコストのことです。
家賃だけではなく、光熱費や消耗品費なども含みます。サロンの形態や使用する機材・備品の内容によってことなりますが、施術に必要なものを含めても、毎月の消耗品費として5万円程度を目安にするとよいでしょう。
くわえて家賃(10万だった場合)を合わせると、15万円程度が毎月の運転資金です。ここまでの自宅サロンの開業に必要な資金についてまとめると、初期費用が40〜130万円・毎月の運転資金が15万円程度になります。
4.内装工事
自宅サロンの印象として内装はお客さんにとって大切な要素です。そのため、内装工事をする際にはポイントを抑えて内装をデザインすることもポイント。
自分の好みだけでなく、流行や顧客の需要なども考慮しながら自宅サロン全体の雰囲気を作り、こだわりも詰め込みながら、お客さんにリラックスしてもらえる空間を作れると顧客満足度も変わります。そこでここでは、自宅サロンにおける内装工事のポイントについて詳しく解説します。
内装工事で気をつけるべきポイントについては、下記の関連記事も参考にしてください。
雰囲気
自宅サロンの内装において、サロン全体の雰囲気は大切なポイントの1つです。お客さんに満足してもらうためには、非日常的な空間デザインが大切です。
自宅サロンとはいえ、お客さんからすれば日常から解放されて癒しを感じたい人も多いでしょう。そのため内装の外観だけではなく、香り・音・照明などを上手く使いながらお客さんが五感で非日常を感じられる空間になるように、雰囲気を作りましょう。
一貫性のあるデザイン
自宅サロンの内装デザインではサロンのコンセプトに沿った設計が重要です。装飾や備品などの雑貨、家電、家具やBGMに至るまで、こだわりと統一感を持ったデザインで揃えられると、お客さんの印象も良くなりやすいです。
白を基調とした北欧系のデザインはオシャレで清潔感のある雰囲気を感じやすいですし、シンプルでナチュラルなデザインは色の統一感が出しやすいのも特徴。また、子育て中の人でも利用できるよう、キッズスペースを設けるのも良いかもしれません。
このように自宅サロンの内装デザインにおいては、サロンのコンセプトをもとにした一貫性のあるデザインにすることで、お客さんの印象に大きな影響をあたえます。
サービスの質を高めるレイアウト
サービスの質を高める上では、レイアウトも大切な内装要素の1つです。自宅サロンにおけるレイアウトでは、お客さんに圧迫感を感じさせることなく、限られた空間に工夫を凝らして、広く、オシャレに効率的な動線を作ることが重要です。
足を運んでくれているお客さんにとって何が快適で心地良いかという点を重視しながら、自宅サロンのレイアウトを考えましょう。お客さんにとって印象の良いレイアウトとスタッフとして動きやすい動線をレイアウトで作り上げることが、サービスの質にもつながります。
5.集客
自宅サロンの開業準備では、集客戦略を考えることも重要です。集客戦略を考えるためには、競合他社の調査などに基づいて計画を立て、どのような収入や集客が見込めるかという具体的な数字に落とし込むことで、どのように収益を上げるのか見通しを立てられます。
ここでは、自宅サロンの集客戦略について、具体的な方法を交えながら詳しく紹介します。
オンライン媒体による集客
自宅サロンを開業したら、まずは見込み客に自宅サロンの存在を知ってもらう必要があります。見込み客となるお客さんにサロンの存在を知ってもらうためには、SNSやブログなどのオンライン媒体を活用するとよいでしょう。
閉鎖的なイメージになりがちな自宅サロンをSNSなどのオンライン媒体で積極的に発信することで、オーナーの人柄や施術の様子を広く知ってもらうことにつながります。
また、具体的にどういった施術などをしているのか、店舗の様子はどのようになっているのかなどを写真なども活用することで、来店したことがないお客様にも安心感を与えやすいでしょう。
ただし、SNS等で興味を持ってもらっても、受け皿となる予約体制が整っていなければ、せっかくの集客効果がムダになってしまう可能性があります。
美容サロンに特化した予約管理システム「リザービア」なら、シンプルな予約フォームやLINEとの連携により、お客様がいつでも簡単に予約できる環境を整えられるでしょう。
オフライン媒体による集客
自宅サロンを知ってもらうための集客方法には、オフライン媒体を活用するという方法もあります。オフライン媒体にはチラシやショップカード、フライヤーなどがあげられます。
知り合いなどであれば気軽にチラシやショップカードなどを渡しやすく、近隣の店舗を構えているお店であればオーナー同士で話をしながら身近な印象を持ってもらい、お店のフライヤーをおいてもらうこともできます。集合住宅などにチラシやショップカードを投函するのも効果的な方法です。
サロンの周辺の住民からの口コミが増えれば、口コミで自宅サロンへの集客にも繋がりやすく、地元から愛されるサロンにもなれるでしょう。
自宅サロン開業についてのよくある質問
ここからは、自宅サロンの開業についてのよくある質問と回答を紹介します。
自宅サロンはどれくらい稼げる?
自宅サロンの収入は、業種、施術単価、営業日数、稼働時間によって大きく変動します。
扶養内で働くことを目指す人もいれば、月100万円以上を売り上げる人もおり、一概に「いくら」と金額を言うことは難しいです。
業種ごとの年収目安については、下記の関連記事で紹介しているため、そちらを参考にしてみてください。
自宅サロンの開業に資格は必要?
自宅サロンを開業すること自体に、必須の資格はありません。
ただし、まつエク施術の場合は美容師免許が必須になるなど、提供する施術内容によっては法律で定められた国家資格が必須となるケースがあります。
まずは資料をご覧ください

自宅サロンの注意点をしっかりおさえて開業準備をすすめよう

コストを抑えながらプライベートを守り、やりたいことを仕事にできる、自宅サロンには魅力もあればデメリットになることもあります。
自宅サロンの開業には初期投資がかかりますが、テナントを借りるよりもコストを削減しやすいですし、私生活も充実させながら仕事をすることができます。
仕事とプライベートの両立を図れる自宅サロンにするためにも、事業計画もしっかりと立てながら開業の準備をして自宅サロンを経営しましょう。




