エステサロンを開業する際の方法には、大きく分けて個人事業主と法人の2パターンがあります。初めて開業する場合、どちらがいいのか悩む人もいるのではないでしょうか。そこで、それぞれの違いと、メリットや注意点を理解することが大切です。
これからエステサロンを開業したいと考えている人は、ぜひ開業時の参考として役立ててください。
- 紙カルテを辞めたい
- 在庫管理を自動化したい
- レジ締めを楽にしたい
- リピート率を上げたい
目次
個人事業主とは
個人事業主とは、会社を興すのではなく、個人で何らかの事業を反復・継続して行う人のこと。「自営業」と同義で、家族や従業員を雇う場合でも会社でなければ個人事業主です。
個人事業主は、税務署に開業届を出せば費用をかけずに誰でもなれます。エステサロン開業時も、小規模であれば個人事業主でよいでしょう。
法人とは
法人とは、法律上、人と同じように権利や義務を認められた組織や団体のこと。株式会社・合同会社・一般社団法人などの「私法人」と、地方公共団体・独立行政法人などの「公法人」があります。
エステサロンで法人化する場合は、私法人の株式会社や合同会社が一般的でしょう。早々に大きな収益が見込める場合や多店舗を開業する場合など、はじめから個人事業主ではなく法人を立ち上げることも可能です。
しかし、個人事業主としてある程度成長してから法人化(「法人成り」)するケースが多いという傾向が見られます。法人化時期の目安は、年間の事業所得が500~600万円くらいになった頃です。
エステサロン開業前に知っておきたい個人事業主と法人の違い
エステサロンを開業する際は、個人事業主と法人の違いを知った上で、どちらにするか検討することが大切です。下記の表にまとめました。
個人事業主と法人は、項目ごとに分けるとおおむねこのような違いがあります。下記でそれぞれの項目について解説します。
引用元
No.2260 所得税の税率|国税庁
地方税制度 個人住民税|法務省
No.5759 法人税の税率|国税庁
No.9000 国税と地方税の種類|国税庁
地方税制度 法人住民税|法務省
地方税制度 法人事業税|法務省
開業方法
開業方法はそれぞれ異なり、所定の方法で行う必要があります。個人事業主は税務署に開業届を出せば完了。一方、法人の場合は定款の作成や法人登記を行わなければならず、法人設立届出書や給与支払事務所等の開設届出書など多数の書類も提出する必要があります。
また、必要に応じて労働基準監督署や年金事務所などへの手続きもしなければなりません。
設立費用
個人事業主は開業届を出すだけなので、費用は基本的に無料です。
一方、法人の場合は、設立に定款の認証手数料や収入印紙代、登記費用(登録免許税)など、さまざまな費用がかかります。そのため、株式会社で25万円前後、合同会社で10万円前後の出費は覚悟しなければなりません。
経理
経理の方法も異なります。個人事業主は、所得から控除分を差し引いて税額を計算し、自分で確定申告を行うことが特徴です。
また、法人の場合は決算が必要。売上・仕入れなどの帳簿のデータを整理し、決算書を作成して、税金の申告や納税を行わなければなりません。日々の売上の管理などをきちんとしておかないと、決算時に苦労するでしょう。
税金|所得税・住民税など
税金は、個人と法人で名称や税率などが異なります。個人の場合、所得税や住民税(都道府県民税・市町村民税)の支払いが必要です。所得税は累進課税のため、所得に応じて税率が変わります。
また、エステサロンにはかかりませんが、美容室や理容室などでは個人事業税(所得の5%)の納税も必要です。
一方、法人は法人税や法人住民税などを納めなければなりません。各種税金の税率や計算方法は複雑なため、詳しい内容は割愛します。
なお、たとえば個人事業主で支払う所得税が大きくて負担を感じる場合、法人化すると、法人税・役員報酬の住民税・所得税に分けて払えるため節税に有効です。
引用元
個人事業税 | 東京都主税局
経費
どちらも経費で落とせるものはたくさんあり、所得から控除できるため節税に有効です。
ただし、個人事業主で自宅サロンを開いている場合は「家事按分」が必要。家全体にかかる費用ではなく、サロンとして使用している部分のみでの家賃・水道光熱費・通信費などを経費として計上します。
法人の場合は個人事業主より経費の範囲が広がり、自分の給料やボーナス、家族社員への給料、社宅の家賃なども経費にできることがメリット。9~10年間もの赤字の繰り越しも可能です。
保険|健康保険・社会保険・生命保険
個人事業主は国民健康保険・国民年金のケースが多く、労働者が5人未満なら店側が負担する必要はありません。一方、法人は社会健康保険・厚生年金などに加入する必要があり、会社負担もあります。
生命保険は、個人事業主は控除の対象になり(上限12万円)、法人の場合は経費として計上できます。
引用元
個人事業と法人のどちらがよいか | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
生命保険料控除の限度額計算|国税庁
社会的な信用度
個人事業主では業者などに取引してもらえないケースもあり、社会的な信用度は低めです。
法人の場合、会社名・所在地・役員名・事業目的などが登録され、法務局などで誰でも閲覧できるため、法人のほうが社会的信用は得やすいでしょう。融資や補助金なども、個人経営に比べて受けやすい傾向があります。
また、求人の際も社会保険などの面で好条件を提示できるため、人材が集まりやすいでしょう。
エステサロンを個人事業主として経営するメリット・注意点
個人と法人の違いがわかったところで、ここでは、エステサロンを個人経営するメリットと注意点をお伝えします。
メリット
- 手続きが楽で費用も不要
- 経理が比較的かんたん
- ダブルワークができる
- ライフスタイルが変わっても続けやすい
- 自由度が高く年収も上がる可能性がある など
注意点
- 個人での責任や負担が重い
- 収入が安定しにくい
- 利益が増えるとともに税金の負担も増加する
- 人材を雇うと不利になりやすい など
エステサロンを法人として経営するメリット・注意点
つづいて、エステサロンを法人で経営する場合のメリットと注意点も押さえましょう。
メリット
- 経費や控除の対象が拡大されるため、法人としてもオーナー個人としても節税効果が高い
- 役員報酬の設定が可能(売上に対する所得税や住民税ではなく報酬に対する税金になるため、税負担が減る)
- 新規設立の場合は消費税の免除がある(※条件あり)
- 融資を受けやすく事業の拡大に有利
- 社会保険に加入できる
- 事業を継承しやすい など
引用元
No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき|国税庁
注意点
- 手続きが個人事業主より煩雑で費用と時間がかかる
- 社会保険加入の義務があり従業員の分も会社側の負担が必要
- 赤字でも法人住民税がかかる
- 会計処理や決算が大変 など
個人事業主でも法人でも「リザービア」の導入が便利
個人でも法人でも、エステサロンの開業・経営には、予約システム「リザービア」の導入がおすすめです。
インターネットからの予約を24時間自動で受付管理できるという基礎機能のほか、顧客データの管理・メッセージやクーポンの配信・スタッフのシフト設定などもできます。リザービアには、業務の効率化や顧客との関係性構築などに役立つ機能が満載です。
関連ページ
機能一覧
POSシステムとの連携が可能
リザービアは、会計や集計・分析ができるPOSシステム「A’staff Cloud Smart」と連携させられます。手動で計算したりExcelに入力したりする場合に比べて手間が大幅に削減され、会計処理や売上管理もかんたんです。
リザービアもA’staff Cloud Smartも操作性が高く、直感的にスイスイと操作が可能。オプションで給与ソフトや会計ソフトとも連携できるので、個人事業主も法人も経理負担が非常に楽になるでしょう。
関連ページ
- 紙カルテを辞めたい
- 在庫管理を自動化したい
- レジ締めを楽にしたい
- リピート率を上げたい
エステサロンの開業、悩んでいるならまずは個人事業主から始めてみよう
初めての開業なのでどちらがいいかわからないという人や、資金に余裕がなく小さく始めたいという人も多いはず。エステサロン開業時は、まずは手軽に始めやすい個人事業主で経営をスタートし、軌道に乗ってから法人化を検討するとよいでしょう。
個人事業主と法人では、開業時の費用や経理・経費関係、社会的信用度などに違いがあり、どちらにもメリットと注意点があるので、両方の面を知っておくことも重要です。
開業に合わせてリザービアも導入し、サロン運営に役立つ機能を活用しながらスムーズな経営を目指してください。