マツエクのスキルを習得して、自分のサロンを開きたいと考えている方もいるかもしれません。ところで、マツエクサロンを開業する際に、取得しておくべき資格があることをご存知でしょうか。
今回は、マツエクサロンの開業に必要な資格、さらに実際に開業する際に必要な届け出および手順についてご紹介します。
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- 在庫管理を自動化したい
- レジ締めを楽にしたい
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目次
マツエクサロンの開業に必要な資格
自分のマツエクサロンを開業したいと思ったら、まずはどのような資格があればマツエクの施術をおこなえるのかを確認しなければなりません。
まずはマツエクの施術をおこなうために必要な資格と、開業するために必要な資格、それぞれをご紹介します。
美容師免許
マツエクサロンでマツエクの施術をおこなうには、美容師免許が必要です。マツエクはデリケートな目の周辺を触ったり、グルーと呼ばれる接着剤を使って人工まつげを装着したりするため、誤って目にダメージを与えてしまうことがあります。
実際に、マツエクがおこなわれはじめた当初には、グルーが目に入ったことによる視力低下などのトラブルも問題となったことがあったからです。このようなことを踏まえて、厚生労働省はマツエクの施術は、美容師法にもとづく「美容」に該当するとして、施術者に美容師免許が必要となることを決めました。
管理美容師免許
マツエクが美容法にもとづく「美容」と認められたことで、美容師法が適用され、マツエクサロンは美容師法上の「美容所」の扱いになりました。
常時、美容師にあたる従業者の数が2人以上の美容所には、管理美容師を置くという決まりがあります。そのため、マツエクサロンでも美容師が2人以上になると、管理美容師免許を所持する人が1人必要です。
美容師として3年以上の実務経験がある人が、公衆衛生について4時間、美容所の衛生管理について14時間の講習を受けると、管理美容師として認めてもらえます。
その他にあるとよい資格
美容師免許を取得するための美容学校では、カットやパーマだけでなく、マツエクに関する知識や技術も学べます。さらに、マツエクサロンを開業する際には、マツエクの業界団体や民間団体が交付する検定資格や認定資格を取得すると、お客様にも安心してもらえるうえ、自信を持って施術できるようになるでしょう。
いずれにしても、マツエクサロンで働くには、美容師免許を取得していることが必須となります。しかし、それだけでは技術的に不十分なこともあるので、美容学校などでマツエク関連の資格があるとなおよいです。
また、資格によっては、その団体の会員登録をしていることが条件となっている場合もあります。さらにスキルのレベルに応じた検定の段階を設定しているものもありますので、自分に合った資格を探すことが大切です。
マツエクサロンでも必須!美容所登録とは?
経済産業省は2017年の「グレーゾーン解消制度」で、マツエクの施術が「美容」に該当するという見解を示しました。厚生労働所も2004年と2008年に、この通知をおこなっています。
これにより、マツエクをおこなうためには美容師免許が必要になっただけでなく、マツエクサロンを美容所として届け出ることが必須となりました。
つまり、届け出されていない場所ではマツエクの施術はおこなえないということです。美容所として登録するためには、保健所での手続きが必要となります。
美容所登録でチェックされるポイント
美容所登録の際に保健所がチェックするのは、照明や空調、そして水回りなどの衛生管理です。都道府県や保健所のホームページで「美容所登録」で検索すると、くわしいチェックリストなどを確認きます。
東京都の場合、作業面積は13平米(m2)以上、床から天井までの高さが2.1m以上という広さの基準があります。さらに、水道設備と床や壁の防水性や蓋つきのゴミ箱や消毒設備といった衛生面と、採光や照明が100ルクス以上、炭酸ガス濃度0.5%以下に保ち換気を確保することなどをチェックします。
また、施術所の広さに対する施術台の台数もチェックされ、13平米(m2)の施術所では6台までと定められているため、お客様の待合所は施術室と別に設けなければなりません。
美容所登録するときに準備するもの
美容所登録をする際に、どんな準備をすればよいのかわからなかったり、どこから手をつければよいのか悩んだりすることもあるでしょう。
ここでは、美容所登録の手続きを進めていく際に必要な書類や物品、費用などについてご紹介します。
美容所登録に必要な書類
まず、都道府県や保健所のホームページから「美容所開設届」をダウンロードして、必要事項を記入します。
開設者住所と、美容所施設の所在地などを書き込みますが、美容所周辺の簡易地図も必要です。インターネットの地図などをプリントアウトしたものに、サロンの位置を書き込んでおきましょう。
このほかに、美容所の施設の平面図も必要です。施術をおこなう作業場の位置や待合室の位置を書き込みます。従業員名簿と全員の美容師免許、自分以外にも美容師がいる場合には管理美容師終了証を示すことも求められるのが特徴です。
また、従事する美容師に伝染性皮膚疾患などがないかどうかを示す診断書も必要となりますので、届け出をすることが決まったら準備しておきましょう。
法人か個人かでも提出する書類が変わる
マツエクサロンを、個人事業主として開業する場合と、法人として開業する場合では、美容所登録だけでなく、サロンの開業に関わる必要書類も異なります。
法人としてマツエクサロンを開業する場合の手続きは保健所以外にも労働、税務、法務、社会保険など多岐にわたり、とても複雑ですので、司法書士などに依頼するのがおすすめです。
美容所登録で申請者が法人の場合には、法務局で6カ月以内に発行してもらった「登記事項証明書」の原本が必要となります。
診断書も忘れず準備しよう
従事する美容師全員分の、結核や伝染性皮膚疾患などがないかどうかを示す診断書が必要です。なかには所定の様式がある診断書もありますので、美容所開設届けと一緒にダウンロードするか、診断書を書いてもらう病院に確認してみましょう。
診断書の有効期限は3カ月間ですので、あまり早すぎると無効になってしまいます。また、診断書が発行されるまでに1~2週間かかることもあるので、美容所開設届を提出する日に合わせて計画的に準備しましょう。
診断書は公的医療保険の適用外ですので、病院やクリニックによって発行費用が異なります。診断書のための検査と合わせると、5,000円以上はかかると思ったほうがよいでしょう。診断書のための受診を予約する際には、診断書作成の可否と費用、発効までにかかる期間を確認することが大切です。
書類以外に準備する必要があるもの
美容所の届け出をする際には、保健所がおこなう検査の費用「開設検査手数料」が2万円前後必要です。手数料の金額は、保健所や都道府県によっても異なります。
美容所開設届を提出する段階で、衛生管理や消毒設備が整っていなければなりません。分別できるように蓋つきのゴミ箱を2つと、使用前の消毒済み器具の容器、使用後未消毒器具の容器、洗い終わった器具の容器を用意しておきます。
いずれも、高価なものである必要はありませんが、洗えてカビが生えにくい素材のものを選ぶとよいでしょう。
保健所へ美容所登録をする手順
マツエクサロンを開業するには、保健所で美容所登録をしなければなりません。ここでは、美容所登録のための美容所開設届の準備から、開設届の提出、美容所開設検査、許可証の受け取りまでの手順をご紹介します。
まずは保健所に相談
保健所は美容所登録書を受理して美容所開設検査をおこなうだけでなく、マツエクサロンの開設を計画している段階から、美容所開設検査の視点で相談に乗ってもらえます。
マツエクサロンを開業する物件を選ぶ際に、開設検査の視点から見て問題となる点などを教えてもらえれば、物件を借りてしまったあとで水回りや換気などの問題に頭を悩ませることもありません。
また、美容書登録届出書の記入の仕方や、添付書類についてもわからないことがあれば電話などで聞いて、不明な点をなくして準備することも大切です。保健所に相談に行く際には、必ず事前に連絡をして都合のよい時間帯を聞いてから出向くようにしましょう。
書類を提出
マツエクサロンを開設する7~10日前までには、開設届と必要な書類を揃えて、サロンを開設する地域を管轄する保健所に提出します。
書類を提出する際に開設検査手数料を納めるので、その場で開設検査の日程調整をしてもらえます。開設検査手数料を忘れずに準備することと、スケジュール調整ができるようにして出向きましょう。
マツエクサロンを順調にスタートさせるためにも、十分にゆとりをもって準備した美容所開設届を提出することが大切です。
保健所の人に検査をしてもらう
開設検査はマツエクサロンの内装工事を終えて、営業できる状態にした段階でおこないます。工事が間に合わなかったということがないように、ゆとりをもって計画を立てるとよいでしょう。
保健所職員や監視員が訪問して提出した書類を見ながら、施設の面積や構造が規定を満たしているか、必要な設備が整っているかなどを確認して施設基準に合っているかをチェックします。
開設検査をクリアするためにも、開設届書や添付書類の内容と実際の設備が一致していることを確認して提出することが大切です。
許可証の受け取り
美容所開設検査後、許可証の発行までには数日かかることがあります。美容所開設検査でマツエクサロンが美容所の基準を満たしていることが確認されると、確認書発行ができた旨の連絡が入るので、印鑑を持って保健所に行き、受領印を押して確認書を受け取りましょう。
遅くとも、マツエクサロンを開設する2日前までに検査を受けて、開設日に間に合わせるようにすることが大切です。
税務署へ開業届を出そう
マツエクサロンを開業する場所が決まったら、税務署にも「個人事業の開業届」を出します。こちらは検査があるわけではないので、サロンの住所が決まっていれば、準備の段階からおこなえるのが特徴です。
また、自宅の住所を納税地にして開業するのであれば、サロンの住所が決まっていなくても届けを出せます。ただ、事業開始の実態があってから、1か月以内には提出しなければなりません。
開業届を出す際には青色申告を希望できるので、必要な場合は「所得税の青色申告承認申請書」を提出しましょう。期限は申告をしようとしている年の3月15日まで、1月16日以降に開業した場合は事業を開始した日から2か月以内です。
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- 在庫管理を自動化したい
- レジ締めを楽にしたい
- リピート率を上げたい
マツエクサロンを開業するときは忘れずに届け出をしよう
マツエクサロンを開業する際には、美容師免許の取得と保健所への美容所登録が必要となります。
また、美容所登録に必要な要件を確認して、不明な点などは保健所に相談しながら美容所開設届と必要書類を準備して、オープンに間に合わせることが大切です。
さらに税務署への開業届も忘れずに届け出をして、マツエクサロンの開業準備をしていきましょう。