エステサロンでは、カウンセリングシートの存在が欠かせません。そこで、カウンセリングシートにはどのような役割があり、重要であるかを理解しておくことが大切です。あわせて、カウンセリングシートで尋ねるべき内容や、シートの管理方法も解説します。
目次
エステサロンで使われるカウンセリングシートとは
エステサロンのカウンセリングシートとは、お客様の要望や悩みを聞き出すために記入してもらったり、ヒアリングを行いながらサロン側が書き加えたりするものです。カルテとして使用されることもあります。
サロンにとって、カウンセリングシートは、お客様に適切なサービスを提供するために欠かせません。リピート率の向上にも役立つものなので、上手に活用する必要があります。
カウンセリングシートの役割・重要性
エステサロンでカウンセリングシートを使用してカウンセリングの記録を残すことは、アレルギー反応などでお客様に不利益をもたらすことを避けるだけでなく、自店を守るためにもとても重要です。
さらに、カウンセリングの中身を充実させ、お客様の要望に応え、悩みなどを把握した上で施術やメンテナンスの提案に活かせれば、顧客満足度が高まり、リピーターの獲得へとつながっていきます。
エステサロンのカウンセリングのコツやおすすめの方法についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
以下からは、カウンセリングシートの役割や重要性を解説します。
1. お客様のニーズをきちんと把握できる
まず、各質問についてじっくり考えながら回答してもらえるため、正確にお客様のニーズを理解できる点です。口では伝えにくい悩みなども、シートなら伝えやすいというお客様もいるでしょう。
さらに、シートに記入してもらった内容をもとに、実際のカウンセリングでより深い情報を得て追記していけば、そのお客様に合った施術方法なども見えてきます。
2. ニーズをもとに個々のお客様に合ったサービスを提供できる
前項ともつながりますが、お客様ごとに異なるニーズを持っているため、カウンセリングシートの内容からそれぞれのお客様に合う施術を提案・提供できます。
極端な例ですが、肌のシワに悩んでいるお客様に美白ケアを施したとしても、ニーズにかなっているとはいえません。前項のようにしっかりとお悩みや要望を把握した上で、解決に導けるようなサービスを提供することが大切です。
3. コミュニケーションに活用できる
カウンセリングシートの質問項目には、お客様のプライベートに関することもあるため、興味・関心のあるものがわかることで会話の糸口になります。
自分の好きなものについて話を聞いてもらいたいお客様もいるので、相づちを打ったり共感したりすると話が盛り上がり、心地よく過ごしてもらいやすいです。
4. スタッフ間で情報共有しやすい
1人のお客様を毎回同じスタッフが担当するとは限りません。担当者が変わっても、カウンセリングシートがあれば、各お客様のデータを容易に共有できます。なお、お客様から「前回伝えたのに」と思われてしまわないよう、きちんと記録を残しておくことも大切です。
5. 客単価の向上や物販につなげられる
記入内容によってお客様のニーズを把握できると、適切なメニューや追加オプションの提案、ケア用品の紹介などができるため、客単価アップに期待できます。知識が豊富なプロにすすめられると、それだけで「試してみたい」と感じるお客様も多いものです。
また、紹介した商品を気に入ってもらえれば、継続的に購入してもらえる可能性もあります。
エステサロンのカウンセリングシートに入れるべき項目
エステサロンのカウンセリングシートにはどんな内容を盛り込めばいいのか、以下で解説していきます。
個人情報
まずはお客様の基本的な情報が必要です。お名前や住所などは、お客様の間違いなどを防ぐために重要となり、ダイレクトメールやキャンペーン情報の送付などにも役立ちます。
- 名前
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 生年月日
生年月日はお誕生月のキャンペーン案内やクーポンの送付など、来店を促すきっかけを作れるため、ぜひ聞いておきたい項目です。
お肌やボディの状態
エステサロンでは特にしっかりと聞き取りをしておきたい項目です。エステを受けたことでどこがどう変わったのかを実感していただくためにも、はじめの状態を把握しておく必要があります。
また、今のお肌やボディの状態を知ることで満足度の高いコースの提案などにもつなげられます。
[フェイシャル]
- 肌質
乾燥肌/脂性肌/混合肌 - お肌の状態
肌荒れ/乾燥/ニキビ/シミ/ソバカス/シワ/たるみ - 気になる部位
- 日ごろのスキンケア方法
・洗顔方法
・ご使用中の化粧品
[ボディ]
- 体重(kg)
- バスト(cm)
- 二の腕(cm)
- ウエスト(cm)
- ヒップ(cm)
- 太もも(cm)
お肌の状態を知るために、日ごろのスキンケア方法やご使用の化粧品は把握しておきたい項目です。ボディのエステでは、効果を比較するためにもサイズの把握が必要です。施術に必要なことを理解していただけるよう、サイズをお伺いする理由などを丁寧に説明しましょう。
アレルギーの有無なども確認
アレルギーの有無や既往歴、妊娠をしているかなどを含めた健康状態、どこか痛みがある箇所はあるかなどを聞いておき、施術や使用するオイルなどでトラブルが起きないようにしておくことが大切です。
使用するアロマオイルによっては、重篤な症状につながる恐れもあることから、特に気をつけて聞き取りをする必要があります。
悩みや改善したい点
お客様がどのような目的でエステに来られたのかは、とても重要なポイントです。どんな悩みを持ち、どうなりたいかという点をしっかりと把握しましょう。
- ご来店の目的
- 現在のお悩み
- ご予算について
~1万円まで/~3万円まで/~5万円まで/~10万円まで/~30万円まで/30万円以上
お客様がどんな要望をもってエステサロンに足を運ばれたかを知ることが大切です。どんな悩みをもっていて、どう改善したいかなども具体的に聞き取りしていくのが理想です。
さらに料金にも不安を感じるお客様は多いため、あらかじめどれくらいの予算を想定されているかを聞いておけば無駄に不安にさせずにすみ、サロン側もコースの提案がしやすくなります。
エステサロンの利用歴と感想
これまでにエステサロンに行ったことがあるかを尋ね、行ったことがある場合、サロンに行くのをやめたきっかけなども把握できると、お客様がどんなことに不満や不安を感じたのかを理解しやすくなります。
- これまでエステサロンに行ったことはありますか?
- 行ったことがある方は、エステサロン名を教えてください。
一度のカウンセリングだけでお客様の悩みをすべて把握するのは難しいかもしれません。しかし、エステ経験がありながら違う店舗に行くということは、何かしら満足できなかったと考えられます。
そこに気づけければ、お客様の悩みを解決する糸口が見つかる可能性があり、よりお客様の気持ちに寄りそった提案ができるでしょう。
来店のきっかけ
来店のきっかけを知ることは、今後の集客に活かせるためぜひともお聞きしたい項目です。答えやすいように候補を書き出し、チェックや〇をつけるだけにしておくと答えてもらいやすくなります。
- 来店のきっかけ(どこで当店を知りましたか?)
ホームページ/Instagram/ホットペッパービューティ/雑誌の広告/WEB広告/友人の口コミ/その他
どの媒体を見て来店を決めたかがわかれば、今後力を入れる広告媒体を精鋭化させられるため、より効率的な集客ができるようになります。
ライフスタイル
ライフスタイルのカウンセリングも、エステサロンにとって重要なポイントです。お肌の状態や体型など、普段の食事や運動、筋トレの有無に大きく影響されるからです。この情報をもとに、より的確な施術の提案やホームケアの指導ができます。
- 普段の食事
- 好きな食べ物
- タバコは吸いますか?(本/1日)
- お酒は飲みますか?(合/1日)
- 睡眠時間(平均)
- 普段運動はしますか?(時間/平均)
有酸素運動/筋トレ/定期的な運動
喫煙や飲酒の有無は、健康状態や悩みとつながっている可能性もあります。カウンセリングの目的は、お客様の心と体の健康状態を知ることなのでライフスタイルを把握することは欠かせません。
カウンセリングシートを作るときのポイント
ここからは、実際にカウンセリングシートを作るにあたって、押さえておきたいポイントを解説していきます。よりカウンセリングの意味を深めるため、ぜひ実践してみてください。
顔やボディのイラストに書き込めるようにする
言葉だけで正確に部位や状態を伝えようとすると、文面が長くなりがちで、人によっては違う部位と認識してしまうなどのズレが生じる可能性があります。そのため、カウンセリングシートに顔や体の絵を配置し、そこに書き込んでいくようにします。
悩みがある部位に直接お客様に書き込んでいただくのも有効です。気になる部位にチェックを入れてもらい、その後エステティシャンによるヒアリングをすれば、より深い悩みや希望を聞ける可能性が高まります。
テンプレを使う場合は自店用にカスタマイズする
カウンセリングシートのテンプレートは、ネットでダウンロードしたり注文したりできます。ただし、それらを利用する場合、必ず自分の店で使うためのシミュレーションやロールプレイングをやってみてカスタマイズをしましょう。
自店で必要な情報をより深く聞けるように質問の項目を足したり、逆に必要のない部分を削ったりして、カウンセリングの役割をしっかり持たせるようにすることが大切です。
回答しやすいよう質問を工夫する
質問の仕方にも工夫が必要です。お客様が答えやすいような尋ね方をしましょう。
たとえば、「どうですか?」と聞かれると答えにくくても、「これですか?」「こうですか?」と聞かれると具体的に説明しやすくなります。
チェック式で記入の負担を減らす
カウンセリングは、お客様によっては、面倒くさい・ わずらわしいと感じてしまいます。そこで、かんたんに答えられるように、選択肢にチェックを入れる形式にし、選択肢の中にない場合だけ記述式にして文字記入を減らすことで、お客様も答えやすくなるでしょう。
また、回答に時間がかかるシートはお客様に負担をかけてしまうため、3~5分くらいで書き終えられる内容にすることも大切です。
要望が明確になるようにする
施術中の希望やNG内容などがわかるようにすることも重要です。たとえば、施術中にたくさん会話をしたいお客様もいれば、静かに集中して施術を受けたいお客様もいます。また、香りやドリンクなどの好み、写真の撮影・掲載の可否なども確認しておきましょう。
カウンセリングシートの管理方法
カウンセリングシートは、個人情報保護の観点からも管理の方法に気を配る必要があります。ここでは、カウンセリングシートの2つの管理方法を紹介します。
紙
シートを表ソフトなどで作成、またはテンプレートをインターネットからダウンロードして印刷し、紙で保管する方法です。
紙のカウンセリングシートのメリットは、お客様に直接記入してもらえる点、視覚的にわかりやすく自由度が高いことです。また、自店オリジナルのテンプレートを作れば、印刷料金のコストだけでずっと使用できます。
ただし、量が増えるとかさばるため、収容できる保管場所を確保しなければなりません。5,000人を超えると個人情報保護法の取扱事業者になり、鍵つきの保管場所で管理者を限定するなどの対応が求められます。
今はまだ顧客数がそこまで多くなく個人情報保護法の対象ではなくても、個人情報をしっかりと守らなければサロンの信用にかかわります。
また、紙で管理すると探すのに時間がかかることや、情報の更新を手書きで行わなければならないなどの点にも注意が必要です。
なお、テンプレートには有料のものもありますが、無料で使えるものもあるので例を挙げます。
Excel(エクセル)
Microsoft社のExcelソフトを使用し、自店が使いやすいような内容で作成する方法です。セルで分けられていて表を作りやすく、文字のフォントや色を変えることもできます。
また、インターネット上に無料で利用できるExcel用のテンプレートも多数あるので、ダウンロードして使いやすくカスタマイズするのもよいでしょう。
Canva(キャンバ)
Canvaは、さまざまなデザインのテンプレートなどが集まっているサービスです。プロがデザインした本格的なテンプレートも、数多く無料で提供されています。
また、有料プランにアップグレードすると、さらに多くのテンプレートを使用できたりストレージの容量が増えたりするので、必要に応じて検討してください。
アプリ・システム
顧客管理ができるアプリやシステムには、カウンセリングシート機能を使えるものもあります。また、システムによっては電子カルテ機能でカウンセリング内容を保存することも可能です。
顧客管理アプリやシステムで管理するメリットは、顧客情報へのアクセスが容易であること、一元管理ができ情報の更新も楽なこと、顧客情報が増えても保管場所に困らない、他のシステムと連携できるなど数多くあります。
ただし、費用がかかるものが多いことや、万が一システムトラブルが起きたとき顧客データにアクセスできなくなることには注意しましょう。
リザービア
顧客管理アプリやシステムにはさまざまな種類がありますが、エステをはじめとした美容サロンには「リザービア」がおすすめです。
リザービアの顧客管理機能では、お客様の個人情報やカウンセリング内容を記録でき、施術前後の写真やメモも残せます。スマホやタブレットでも使えるため、施術中に内容を更新するのもかんたんです。
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エステサロンではカウンセリングシートの活用が重要
エステサロンのカウンセリングシートは、お客様のニーズを正確に把握し、適切なサービスを提供するために非常に重要です。上手に活用できるよう、入れるべき項目や質問の仕方にも気を配る必要があります。
また、カウンセリングシートの管理方法にもさまざまな手段がありますが、かさばらず編集や検索もしやすい、顧客管理アプリやシステムを使うのがおすすめです。興味のある方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。