【美容室の個人経営】オーナーの年収や売り上げを伸ばす方法を解説

【美容室の個人経営】オーナーの年収や売り上げを伸ばす方法を解説
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美容師にとって、美容室のオーナーになることは大きな夢ではないでしょうか。美容室を開業して多くのお客様に来店してもらい、お店を繁盛させたい、そしていまよりも多くの年収を得たい、と切望していることでしょう。

今回は、美容室経営はどれほど儲かるのかを紹介します。間違われやすい言葉として「年収」「年商」の違い、目安にすべき年収のラインなどにも触れているので、最後までぜひチェックしてください。

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美容室の「年収」と「年商」とは

美容室の「年収」と「年商」とは
個人経営をするにあたってまず覚えておきたいこと。それは「年収」と「年商」の違いについてです。似たような意味合いを持つイメージがありますが、実はまったく異なるもの。

年収とは、所得税や住民税などの税金、社会保険料や雇用保険料などの保険料を差し引いた金額のことです。個人経営であれば、さらに経費も発生するため、これらをすべて差し引いた金額が年収になります。これに対して年商は、企業や商店などの1年間の総売上高のことです。

このことから、年収は経費を差し引いた利益のことを、年商は1年間の美容室の総売上高であることを押さえておきましょう。

美容室経営の年収|個人経営の場合

美容室経営の年収|個人経営の場合
個人で美容室を経営したいと思っている方にとって、ほかの個人美容室の状況は気になるもの。しかし、お金のことを同業者に聞くことに抵抗がある人もいるでしょう。

ここからは、年商と年収の違いを押さえた上で、個人経営の美容室の想定される年商と年収について、厚生労働省のデータをもとに紹介します。

美容室オーナーの想定される年商

いささか古いデータではありますが、厚生労働省が公表した「美容業の実態と経営改善の方策(抄)」によると、平成27年度の1日の平均来店客数割合は下表のようになっています。

来店客数 平日 休日
0~4人 56.7% 28.5%
5~9人 21.5% 24.3%
10~14人 7.4% 9.5%
15~19人 3.2% 3.5%
20~24人 1.4% 2.1%
25~29人 1.1% 1.1%
30人以上 0.7% 1.8%
不詳 8.1% 29.2%

引用元
厚生労働省:美容業の実態と経営改善の方策(抄)

先の報告書によると、美容室経営の88.7%が「個人経営」であり、従業者規模も1~3人である美容室が72.9%と多いことがわかります。

また、立地条件別の利用客一人あたりの平均単価を見ると、「商業地区」「住宅地区」「郊外」「その他」の場合で4,000~5,999円が圧倒的に多いです。これらを踏まえ、例を使って年商を算出すると以下のようになります。

・一人経営で8時間労働、かつ顧客一人あたりの施術時間が90分で1回の売上が5,000円の場合
5名×5,000円=25,000円

労働基準法に基づき1日あたり8時間を年間260日で運営する場合、単純計算で年商は650万円となります

美容室オーナーの想定される年収

美容室経営者の年収目安は経費を差し引くことで算出可能です。一般的な経費割合は30〜40%とされることから、先に紹介した650万円が年商の場合、195~260万円が経費となります。年商からこれらを差し引き、残った390~455万円が年収です。

ただし、この数字は一人経営で対応できる人数を最大に設定した場合。先で紹介した厚生労働省のデータからもわかるように、全国の美容室・理容室の半数以上が「平日の集客数」は「0~4人」と回答していることから、現実は200~300万円前後と、もっと少ない年商・年収と想定できるでしょう。

美容室経営の年収|フランチャイズの場合

美容室経営の年収|フランチャイズの場合
美容室を運営している大手企業の売上高を見ていきたいと思います。

  • ヤマノホールディングス:101億6,400万円(2023年3月期)
  • AB&Company:41億9,000万円(2024年10月期)
  • 田谷:43億1,500万円(2024年3月期)

これら3社は、美容室を展開している上場企業です。美容室はもちろんのこと、ヘアケアブランドを立ち上げています。美容室経営を成功させるために、大手企業はとても参考になりますから、勉強の一環として企業ページをチェックしてみるとよいでしょう

引用元
株式会社ヤマノホールディングス:2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社AB&Company:2024年10月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
株式会社 田谷:2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)

フランチャイズオーナーの年収は個人経営のオーナーとさほど変わらない

大手企業の売上高を把握した上で、フランチャイズオーナーの年収との違いについても押さえておきましょう。フランチャイズのオーナーも、一般的には400~500万円程度の年収と言われています。

フランチャイズの場合、事業収入からブランド本部へ支払うロイヤリティや変動費などを引くことでおおまかな年収を想定できますが、個人経営の場合にかかる初期費用やランニングコストを考えると、開業当初は個人経営のオーナーと相違ありません

フランチャイズのメリットとして大手企業のネームバリューや経営ノウハウの共有など、多角的な面でのサポートが受けられることが挙げられますが、個人経営の年商や年収と差がつき始めるのは、長期的に経営してからと考えられるでしょう。

2022年の理美容市場は2兆900億円

2022年の理美容市場は2兆900億円
矢野経済研究所の調査によると、2022年度の理美容サロン市場における事業者売上高ベースは2兆704億円と推計されました。この売上高は、前年に比べ101.2%も増加しています。

新型コロナウイルス感染が拡大した2020年に比べて、感染対策やワクチン接種などが進んだことが回復傾向の理由とされています。

しかし、物品及びサービス価格や料金が断続的に上昇を続けていることから、低所得層や激減がささやかれる中間所得層などの生活防衛意識の高まりは懸念すべき点です。

新型コロナウイルス感染症流行からの回復も見られる一方でさまざまな懸念もあることから、理美容サロン市場はいまだ回復途上にあり、そのなかで売上向上を図るには、運営方法の重要性が問われるといえるでしょう。

引用元
矢野経済研究所:理美容サロン市場に関する調査を実施(2023年)

美容室を個人経営|目安にすべき年収のライン

美容室を個人経営|目安にすべき年収のライン
美容室の個人経営の年収相場は400~500万円、実際に多い年収は250~300万円前後と開きがあるなかで、開業する場合、どの程度のラインを目指すのがよいのでしょうか。

美容師として技術に自信があったとしても、競合や立地条件、施術メニューによっては経営がうまくいくとも限りません。

開業から最初の半年が勝負と言われることも多いため、開業1年目であれば年収相場の最低ラインである250万円を、2年目は1年目の倍の500万円を年収ラインに設定することをおすすめします

目安にすべき年収ラインを明確にしたあとは、どのように年収を高めるとよいのか、具体的な方法を考えることが重要です。次章では美容室の個人経営で参考にしたい年収を伸ばす方法を紹介します。

美容室の個人経営|年収を伸ばす方法

美容室の個人経営|年収を伸ばす方法
集客はできているけど売上が伸びない、いま以上に売上を伸ばしたいという方は、これから紹介する9つの方法を取り入れてみてください。

  • 経費を削減する
  • 人材育成を行う
  • 美容ディーラーと連携する
  • 集客につなげるマーケティング知識を養う
  • 客単価を上げる
  • 店販の強化
  • 収支を把握する
  • リピート率を上げる
  • 顧客に合わせて柔軟に対応する

これから紹介する方法は決してかんたんではありません。しかし売上を上げるためにはやるべき施策です。まずは、考えてみるところから始めてみましょう。

経費を削減する

美容室の利益を上げるには、不要な経費を洗い出し削減することが大切です。コンセプトに合わない施術や商材を取り入れていないか、広告宣伝費は適切であるかどうかなどを見直しましょう。

オープン当初は、興味本位で訪れるお客様も多いため、数日の間は想像以上の売上を記録することが予想されます。しかし来店したお客様全員が顧客となるかはまた別の話です。

売上を伸ばし、維持し続けることは簡単ではないため、まずは不要な経費を洗い出し、削減することから始めましょう。

人材育成を行う

美容室を個人経営する場合、オーナー一人での働きでは年商・年収共に限界があります。このことから、優秀な人材を育て、年商と年収の双方を上げるよう現場を整えることも大切です。

オーナーと同等の人材を育てられれば、店の回転率が上がります。店の回転率が上がれば多くのお客様を迎えられるので、これまで以上の売上が期待できるでしょう。しかし、最初からすべてできる人はいません。きちんと育てるためには、次に紹介する美容ディーラーとの連携をうまく利用することをおすすめします。

美容ディーラーと連携する

美容ディーラーとは、カラー剤などをはじめとした美容商材や店販商品などの買い付けをする職業のことです。

なかには店舗経営や美容室経営をサポートするコンサルタントとしての役割を持つ人も増えてきており、美容ディーラーとの連携によって運営や経営にまつわる知識を養うこともできます

これからスタッフを募集し、人材育成も必要になる場合は、人材育成の知識や経験が豊富な美容ディーラーと連携することで、二人三脚で美容室の歩みを進められるでしょう。

集客につなげるマーケティング知識を養う

個人経営で美容室を開く場合、集客につなげるマーケティングについて学ぶことも大切です。先に紹介した美容ディーラーのなかにもマーケティング知識を持つ人が増えていますが、常に美容室にいるわけではないため、自分なりに知識を養う必要があります。

予約システム「リザービア」は、集客効果が期待できる機能が豊富です。24時間365日いつでも予約が受けられるといった予約システムならではの基本性能に加え、LINE・Googleとの連携や、各種SNSからの集客効率を高めることもできます。

さらに大手予約サイトや自社ホームページなど、複数ある予約の窓口を一元管理できる機能も搭載。クラウド上でいつでも好きな時間に確認・管理できるので、施術が丁寧に行え、顧客満足度の向上につながります

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客単価を上げる

売上は客数×客単価で決まります。売上を伸ばすためには、どちらか一方、または両方を増やさなければなりません。集客を増やす方法としては、広告やSNSによる発信が挙げられますが、効果を得るには時間がかかります。

客単価であれば、すぐに既存客へ反映できるため収入を得られるでしょう。しかし、単に料金を上げればいいというわけではありません。その理由は、既存客が離れてしまう可能性があるからです。

離脱を防ぐためにセットメニューを組んだり、割引でお得感を出すなどの工夫が必要です。

なお、むやみに客単価を上げることは客足を遠のけるなど逆効果になるため、競合や市場から適切な施術単価を見極めながら決めることをおすすめします

店販の強化

店販とは、美容室でシャンプーやコンディショナーなどの商品を販売することをいいます。美容室で販売している商品をお客様は買うのかと疑問に思いますよね。全国理美容製造者協会が発表した、「サロンユーザー調査2023年」によると、2023年の店販商品購入率は16.5%でした。

最も購入が多かった商品はシャンプーで、2位はオイル、次いでヘアトリートメントです。

同調査では、ほかにもサロンへの要望や意見の結果をまとめています。「ヘアケアについてアドバイスが欲しい」「ヘアスタイリング・ヘアアレンジについてアドバイスして欲しい」と答えた人は全体で7割もいました。

以上のことから、店販を強化することは売上アップに繋がる施策のひとつといえるでしょう。

引用元
全国理美容製造者協会:サロンユーザー調査 [女性版] 2023年ダイジェスト版

収支を把握する

美容室を廃業させないために資金繰り、つまり収支を把握しなければいけません。収支を把握すれば改善するべき箇所を見つけ出すことができます。例えば、ホームページからの予約が多いのにも関わらず広告に大きな予算を割いている場合、広告費を削減します。

そのほかにも、過剰な仕入れやコストパフォーマンスが悪いメニューを見つけることができます。収支管理は会計ソフトやエクセルなどを用いると効率よくできるので、取り入れてみてください。

リピート率を上げる

リピーターを増やすことは、美容室経営にとって非常に重要なポイントです。その理由は、月の売上予測が立てやすいからです。顧客のデータを記録していれば、年間の利用回数や金額を知ることができます。

リピート率を上げるためには、利用者があなたの美容室に通うメリットを与えなけれなばいけません。お客様とコミュニケーションをとったり、相手の要望に沿った技術の提供、クーポンの配布など、他店ではなくあなたの美容室がいいと思ってもらうことが大切です。

新規リピート率の計算方法

新規リピート率は、新規のお客様が再び美容室へ通う割合のことをいいます。計算式は以下の通りです。

リピート率=(リピーター÷新規客)×100

例えば、6月に来店した新規客10人のうち翌月7月に3人がリピーターとして再来店した場合、計算式は(3÷10)×100=30%になります。美容業界のリピート率平均は、60日で25%~30%と言われています。

新規客を得た際は、このリピート率を活用してみてください。

顧客に合わせて柔軟に対応する

美容室へ通うお客様は悩みの解決、あるいは理想の姿になりたいという目的があります。ひとりひとりによって要望は異なるため、美容師には柔軟さが必要です。自分の要望に沿わない美容室に通うお客様はいません。

相手の要望に応えるためには、きちんとコミュニケーションをとらなければいけません。普段のケアで何に困っているのか、何に悩んでいるのかなど顧客目線に立ちカットをします。そうすれば、お客様は満足して、またあなたの美容室に来店することでしょう。

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