鍼灸院開業の流れを徹底解説!必要な資格や資金調達の方法も紹介

鍼灸院開業の流れを徹底解説!必要な資格や資金調達の方法も紹介
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鍼灸院を開業するときは、何が必要でどのように準備を進めればいいのでしょうか。正しく理解しておかないと、予期せぬ問題が発生して開業できなくなったり、開業にこぎつけても経営がうまくいかなかったりする可能性もあります。

今回は、鍼灸院の開業に関して知っておくべき内容を詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

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鍼灸院の開業に必要な資格

鍼灸院の開業に必要な資格

まず鍼灸院の開業に必要な資格には何があるのかを解説します。

開業には「はり師」「きゅう師」いずれかの資格が必要

鍼灸師と名乗るには「はり師」と「きゅう師」両方の資格が必要ですが、鍼灸院の開業自体はどちらかの資格があれば可能です。

ただし「はり師」の資格のみでは灸治療を提供できず、「きゅう師」の資格のみでは鍼治療を提供できません。そのため、両方の資格を取得してから開業するケースが一般的です。

「はり師」「きゅう師」の取得方法

「はり師」と「きゅう師」はそれぞれ、文部科学大臣の認定した学校、厚生労働大臣の認定した養成施設又は都道府県知事の認定した養成施設で、鍼・灸に必要な技能と知識を3年以上修学することが必要です。

なお、盲学校や視力障害センターなどで学ぶこともできるため、視覚に障害がある人も受験できます。

その後、はり師国家試験ときゅう師国家試験、それぞれの国家試験を受験し、合格すると晴れて資格取得です。

引用元
きゅう師国家試験の施行|厚生労働省
はり師国家試験の施行|厚生労働省
はり師・きゅう師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

保険施術を行うなら施術管理者の資格が必要

鍼灸院で保険施術を行う場合には、施術管理者の資格が必要です。この資格を持つ者がいない場合、健康保険が適用されず、自由診療しか提供できません。

かつて、保険施術を行うために施術管理者の取得が義務付けられていたのは、柔道整復師のみでした。しかし、療養費の不正請求が問題となったため、令和3年1月1日以降に新規で届出をする場合、はり師・きゅう師も施術管理者の取得が求められるようになっています。

施術管理者を取得するための条件

施術管理者の取得には、以下の条件を満たす必要があります。

  • はり師、きゅう師として1年以上の実務経験があること
  • 管理施術者研修を修了していること

このうち、実務経験には細かな規定があります。たとえばはり師・きゅう師の資格取得後の期間のみがカウントされ、資格取得前の期間は算定の対象外です。また施術者として保健所に届出された上で、実務を行った期間のみが実務経験として認められます。

施術管理者の取得条件の詳細については、厚生労働省から発行されている「あはき施術管理者の要件」を確認することをおすすめします。

引用元
20200304-1 【通知】あはき施術管理者の要件

鍼灸院の開業手順

鍼灸院の開業手順

ここからは、鍼灸院を開業するまでに必要な準備や手順を見ていきましょう。

1. 事業計画を立てる

まず、事業計画を立てて創業計画書を作成しましょう。いつ頃開業するのか、どこに開業するのか、どんな機器を使用してどんな施術をするのかなど、開業に関わる計画を明確にして、できるだけ具体的に記す必要があります。さらに、資金計画も練らなければなりません。

創業計画書は公的機関に提出する必要はありませんが、金融機関から融資を受ける場合は提出しなければならないため、必ず作成しましょう。

2.受領委任の申出を行う(保険施術を行う場合)

保険治療を行う予定がある場合、開業する地域を管轄する地方厚生(支)局長及び都道府県知事へ、受領委任の届出を行います。申出の際に必要な書類は以下の通りです。

  • 受領委任の申出書
  • 実務経験期間証明書の写し
  • 施術管理者研修の修了証

申請には審査期間が設けられているため、早めに提出しておくようにしましょう。

引用元
20200304-1 【通知】あはき施術管理者の要件

3.開業資金を準備する

鍼灸院に限らず、新たに事業を開始する際には、開業資金を調達しなければなりません。

鍼灸院は大きな医療機器が必要ないため、比較的開業費用は安価です。しかし、それでも一般的には、物件取得費・内装工事費・施術機器の購入費・広告宣伝費などで300〜600万円程度かかるとされています。

さらに、開業後に経営が軌道に乗るまでの初期運転資金(家賃・光熱費・通信費など)も含めて、余裕をもって資金を用意したほうがよいでしょう。

4. 開業する物件を探す

次に、施術するメニューやターゲット層にあわせて開業する場所を選定し、物件の候補を絞ります。物件が決まったら内装工事をしますが、その際に保健所の構造設備基準を満たさなければなりません。

東京都を例に、施術所の構造設備基準を見てみましょう。

  • 6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること
  • 3.3平方メートル以上の待合室を有すること
  • 施術室は、室面積の7分の1以上に相当する部分を外気に開放し得ること(ただし、これに代わるべき適当な換気装置があるときはこの限りではない)
  • 施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること

引用元
東京都保健医療局:施術所の構造設備基準等について

このように、施術室や待合室の広さにも規定があるため、内装工事をする前に一度保健所に相談してみるとよいでしょう。

5.鍼灸院の名称を決める

鍼灸院の名称は、開業前に決めておくべき重要な要素です。「氏名+鍼灸院」「地名+鍼灸院」といった組み合わせが一般的ですが、他院と類似した名称になりやすいため、周辺の鍼灸院の名前を事前に調査するとよいでしょう。

また「あはき法」によって、一部のワードが使用できないルールになっているため注意が必要です。具体的には以下の文言が使用できません。

  • 「○○療院」「○○治療所」など、病院や診療所と誤解される名称
  • 「○○科」のように「科」の文字を含む名称
  • 流派や技能経歴を強調する表現

これらのワードを鍼灸院名に含めると、後で名称変更を求められる可能性があります。

引用元
あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等

6.設備・備品を購入し設置する

鍼灸院を開業するには、施術に必要な設備・備品を準備する必要があります。以下に必要なものをリストアップしますので、ご確認ください。

  • 施術器具:消毒用機材・施術台・枕・シーツ・タオルケット
  • 衛生管理:一般廃棄物用ゴミ箱・感染性廃棄物用ゴミ箱
  • 受付関連:受付台・レジ・電話・パソコン・ネット回線
  • 院内環境:カーテン・ブラインド・ソファー・スリッパ
  • 外部設備:看板

代表的なものに絞って紹介したため、実際には他にも必要なものが多くあるでしょう。営業している鍼灸院を見学させてもらい、必要な備品を確認するのも開業準備をスムーズに進める手段の一つです。

7. 集客を行う

開業前から広告宣伝をして顧客を呼び込まなければなりません。自院のターゲットを考えつつ、ホームページやSNSなどでのオンライン集客と、チラシ・地域情報誌・紹介などのオフライン集客の両方を活用しましょう。

広告宣伝の注意点

鍼灸院の広告宣伝に関しては、法律でさまざまな規定が設けられているので遵守しなければなりません。

たとえば、施術者の肩書き(院長など)や写真・似顔絵、資格などは記載OKですが、技能や経歴などはNGとされています。

ほかにも、施術の効果効能の記載や「診療」「治療」という文言は使用不可など、つい謳ってしまいがちな表現も使えないことがあるため、法律に抵触しないよう十分注意しましょう。

関連記事

引用元
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 | e-Gov法令検索
あはき、柔整施術所等の広告に関する実態等|厚生労働省

8. 開設届を提出し、保健所から施設確認を受ける

鍼灸院の開設後10日以内に、保健所へ施術所開設届を提出する必要があります。この手続きは開設後に行う必要があり、期日に猶予が少ないため、速やかに実行しましょう。

手続きの際に提出する書類は以下の通りです。

  • 施術所開設届(2部)
  • 施術所の平面図
  • 施術所の案内図
  • 業務に従事する施術者の資格免許証の写し(原本も持参)
  • 開設者が法人の場合は定款の写し(原本も持参)
  • 運転免許証などの本人確認書類

開設届の提出後、保健所の監視員によって施設確認を行われます。施術所の構造設備要件を満たしているか、法律に基づいた適切な広告が掲示されているかなどをチェックされます。

設備基準に不備がある場合、是正指導が入ることもあるため、事前に保健所へ相談して不備のないように準備しておくことが大切です。

引用元
施術所開設の手引き

9. その他に必要な手続きを行う

鍼灸院を開業する際には、状況に応じて追加の届出が必要になるケースがあります。

鍼灸院を個人で開く場合、開業から一ヶ月以内に税務署へ開業届を提出し、個人事業主としての登録を行いましょう。この手続きは節税効果の高い青色申告を受けるために必要です。

また必要に応じて「労災保険指定医療機関」の手続きも行います。この届出が認められれば、労災適用の患者を治療する際に、保険請求を行えるようになります。

引用元
A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
労災保険指定医療機関になるための手続きについて|厚生労働省

開業資金の調達方法

開業資金の調達方法

鍼灸院の開業資金を調達するには、いくつかの方法があります。代表的な例を紹介します。

自己資金を使う

ひとつめは、自分で開業のための資金を貯めておく方法です。個人の資金なので、使いみちを制限されず、自由に経営することができます。しかし、もしも鍼灸院廃業することになった場合は、資産を失ってしまうというデメリットがあります。

融資を受ける

ふたつめの方法は、公的機関や金融機関の事業融資を受けることです。銀行などの金融機関の融資は借り入れ可能金額が高額ですが、審査が厳しい傾向にあり、担保や保証人が必要なことも。

公的機関の融資には、日本政策金融公庫の「新規開業資金」、各地方自治体による制度融資などがあります。日本政策金融公庫の「新規開業資金」では、無担保・無保証人で最大7,200万円の融資を受けることが可能です。

なお、融資は借り入れなので、どの融資を利用しても返済の義務を果たさなければなりません。

引用元
新規開業資金|日本政策金融公庫

補助金・助成金を利用する

各省庁や地方自治体、団体などが用意している、助成金や補助金を受給するという方法もあります。助成金や補助金は、制度によって使い道が制限されるものの、返済義務がありません

さまざまな助成金や補助金があるので、住んでいる地域のものを下記ページなどでチェックするほか、自治体に問い合わせると確実です。

ただし、原則として「後払い」で、申請から支給されるまでに長い審査期間を要するため、開業時の資金調達として利用することはできないことに注意しましょう。

引用元
創業者向け補助金・給付金(都道府県別) | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

開業資金を抑えるためのアイデア

開業資金を抑えるためのアイデア

ここでは、開業資金を抑えるためのアイデアを2つ紹介します。

自宅兼施術所として開設する

開業費用を抑える方法の一つとして、「自宅兼施術所」として開業することが挙げられます。改装費用はかかるものの、物件を借りる場合のように家賃の負担がなく、運転資金を抑えられる点がメリットです。

さらに住宅ローンの利息部分や、事業用スペースにかかる固定資産税・光熱費を経費として計上できるため、節税効果も期待できます。運営コストを低く抑えつつ、継続的に経費削減ができる点も魅力です。

ただし施術所と生活空間が一体化することで、プライベートと仕事の境界が曖昧になるデメリットもあります。この点を許容できれば、自宅兼施術所での開業は、費用を抑えつつ運営できる手法としておすすめです。

出張専門の訪問鍼灸として開業する

出張専門で訪問鍼灸を開業すれば、施術は患者の自宅で行うため、施術所にする物件を借りる必要がなく、開業費用を大幅に抑えられます。また業務用とプライベート用を兼ねた自動車を購入する場合、仕事で使用する割合に応じて経費として計上できるため、節税につながる点もメリットです。

ただし、施術所を構えるケースと比べて患者の集客が難しい点には注意が必要です。施術所があれば自然と来院する患者も見込めますが、訪問専門の場合は積極的に広報を行い、顧客を開拓しなければなりません。開業コストを抑えられる一方で、売上を伸ばすための営業力が求められます。

引用元
施術所(あん摩マッサージ指圧・はり・きゆう)開設・出張施術業開始届 | 医務衛生 | 渋谷区ポータル

鍼灸院の開業に失敗しないための注意点

鍼灸院の開業に失敗しないための注意点

鍼灸院の開業に失敗しないために、押さえておくべき注意点を解説します。

資金計画を綿密に立てておく

資金計画をしっかり立てなければ、開業後の経営が不安定になりやすくなります。特に開業直後は集客が思うようにいかず、運転資金が不足すると廃業のリスクが高まります。安定した経営を維持するためにも、開業前に資金計画を明確にすることが重要です。

資金計画をもとに必要な運転資金を算出し、最低でも半年〜1年分の資金を確保しておくとよいでしょう。運転資金として、以下のような費用が発生します。

  • 人件費
  • テナント賃料(自宅開業の場合は不要)
  • 水道光熱費
  • 消耗品費
  • 販促費
  • 通信費

これらを考慮することで、現実的な資金計画を立てられます。また、資金計画を明確にしておくと、融資を受ける際に金融機関の審査が通りやすくなり、必要な資金を確保しやすくなります。開業を成功させるためにも、資金計画を入念に策定しましょう。

開設届提出の前に保健所に相談する

開設届を提出すると、保健所の施設確認が行われます。この検査をクリアしなければ、営業を続けられません。そのため物件選びと並行して保健所へ相談し、必要な要件を確認しておくことが重要です。

後から設備上の不備が発覚すると追加の対応が必要となり、スケジュールの遅れや追加費用の発生につながります。これを防ぐためにも早い段階で保健所に相談し、施設の要件を明確につかんでおく必要があるでしょう。

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鍼灸院の開業には多くのステップがあるため計画的に取り組もう

鍼灸院の開業には多くのステップがあるため計画的に取り組もう

鍼灸院を開業するには、物件探しや資金調達、開設の手続きなど、さまざまな準備が必要です。また施術所の名称や施設構造、広告表現など、法規制に注意を払わねばならない事項もあります。

開業準備から開設直後は多忙になりがちで、やるべきことに抜け漏れが生じることも少なくありません。この記事を参考にして、一つひとつのステップを確実に進めていきましょう。

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