エステサロンやリラクゼーションサロン、ネイルサロンなどでは、お客様が美しくなるお手伝いをする反面、直接施術をおこなうため、トラブルと背中合わせともいえる業界でもあります。トラブルやハプニングが生じた際にも、安心して対応するためには、日頃から備えておくことが大切です。
今回は、施術や施設管理などに起因する賠償の補償を受けられるサロン保険とその種類についてご紹介します。
※リザービアでは、保険サービスに関しては取り扱いがありません。サロン保険を検討中の場合は、各保険会社から確認をお願いします。
目次
サロン保険とは?特徴や概要を紹介
エステサロン保険やセラピスト保険とも呼ばれることもあるサロン保険は、「店舗賠償責任保険」または「店舗総合保険」が正式名称です。施術ミスや管理不足などで、お客様にケガや損害を与えてしまった際には、サロンが損害賠償責任を負うことになります。
この損害賠償をおこなう際に、必要な金額が保証されるのが、サロン保険です。
理美容・エステ・マツエク・リラクゼーションサロンなどが対象になる、さまざまなタイプのサロン保険があるので、店舗運営をするうえでのリスク管理に必要となる補償があるかどうかを確認するようにしましょう。
なぜ必要?サロンで保険が必要な事例とは?8つの例を紹介
サロンを運営する際に、なぜサロン保険への加入が必要なのでしょうか。ここでは、補償の種類別にどんな事例でサロン保険が必要になるのかを解説します。
1. 施術中誤ってお客様にケガを負わせてしまった
施術中にお客様にケガを負わせてしまうことは、どんな業種でも起こり得ることです。サロンでも、マッサージの際に肌を傷つけてしまったり、脱毛機器による火傷を負わせてしまったりという事故は、決して少なくありません。
ほかにも、マツエクならお客様の目に薬剤が入ってしまったり、フットケアで角質を削りすぎてしまったりという事例もあり、いずれも通院や治療費を賠償する必要が出てきます。
2. サロンの濡れた床でお客様が滑って転倒、捻挫してしまった
施術以外でも、サロン内でお客様がケガをしてしまうことがあります。雨雪の日には濡れている床でお客様が滑ることもありますし、店内の段差に引っかかって転んだりして捻挫や打撲といったケガをしてしまうこともあるでしょう。
ほかにも、ドアへの指の挟みこみ、お客様の上に物を落としてしまってケガをさせてしまうことも考えられます。とくに床が濡れている、段差があるなど、店舗の設備や環境に原因がある場合には、通院や治療にかかる費用を賠償しなければならなくなるでしょう。
3. お客様からお預かりしたコートを引っかけて破損させてしまった
多くのサロンでは施術をしている間、お客様の荷物やコートなどをお預かりします。お客様からお預かりしたコートを、ほかのお客様のカバンなどの金具に引っかけてほつれができてしまったり、穴が開いてしまったりした際には、修繕するための費用を負担しなければなりません。
また、お客様の衣類や持ち物に汚れをつけてしまった場合はクリーニング費用が必要です。さらに、紛失やクリーニングやお直しでは元に戻せないほど破損したり、汚れたりした場合は弁償費用を求められることもあります。
4. 店販の商品が原因で通院する被害が出た
店販商品として化粧品や健康飲料、ダイエットサプリなどを扱っているサロンでは、化粧品の使用で肌に炎症が起きたり、健康飲料やダイエットサプリで健康被害が出たりするリスクも考慮しておかなければなりません。
さらにお客様が通院する事態になった場合には、通院費や治療費のほかに慰謝料を求められることもあります。そのため、双方が納得できる賠償をおこなうための弁護士費用が必要になることも考えなければなりません。
5. サロンが盗難の被害に遭った
サロンに空き巣が入ったり、サロンに展示している商材やお客様の荷物を盗まれたりする被害も想定されます。
とくにネイルサロンやマツエクサロン、エステサロンなどは、女性だけで運営していることが多く、強盗にも狙われやすいともいわれていますので、盗難補償がついているサロン保険だと安心です。
間口が広く、人の出入りが多い繁華街、逆に入口が人目につきにくい場所にあるサロンでは、空き巣や強盗が侵入しやすくなります。
6. 店舗から出火、火災が発生した
サロンでは、電熱機器やオイルなど出火の原因となりやすいものを多く取り扱います。じゅうぶん気をつけていても、洗濯してあるオイルがしみ込んだタオルなどから出火した事例などもあるからです。
火災を起こしてしまうと、店舗を復旧するための費用など莫大な費用がかかるうえ、休業中の収益はありませんので火災保険を含むサロン保険は必須でしょう。
賃貸物件で営業している場合でも、店の機器がショートして出火した場合などには、失火法が適用されないまま、原状回復をする義務が課せられることもあります。
サロン保険の種類|補償の内容とは
サロン運営で遭遇した思わぬ損失をサロン保険でカバーするなら、保険によって補償される範囲や内容が異なることを理解しておくことが大切です。
ここでは、サロン保険の種類と、どんなハプニングに対応できる保険なのかをくわしくご紹介します。
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損害賠償責任保険
損害賠償責任保険は、サロンの施術中にお客様にケガを負わせてしまった際に生じる賠償を補償する保険です。
お客様の肌に傷をつけてしまったり、火傷をさせてしまったりした際には、通院してもらって、治療にかかる費用を補償しなければなりません。また、傷が残るようであれば、慰謝料などが必要になる場合もあります。
損害賠償責任保険は、施術におけるサロンの賠償責任が生じた事例で補償の費用を確保して、お客様と施術者、そしてサロンを守るための保険です。
施設賠償責任保険
施設賠償責任保険は、サロンの施設などといった店舗管理が不十分で発生したお客様の転倒骨折などの事故を対象とした保険です。お客様のケガだけでなく、お客様の衣類や持ち物などが破損した場合も補償の対象となる場合があるので安心でしょう。
前述した保険が施術中を想定しているものであるのに対し、施設賠償責任保険は施術をしているタイミング以外でも、サロン内の事故や過失に対して、サロンが必要な賠償責任を果たせるように備えておく保険です。
受託者賠償責任保険
サロンでの施術の際に、お客様から預かった手荷物などを汚してしまったり、傷つけてしまったりした、または紛失してしまったなどの過失や盗難を対象とした保険です。破損の修繕費用や汚れのクリーニング費用、場合によっては弁償費用の賠償をおこなう際に補償を受けられます。
手荷物を保管する棚や環境に問題がなくても、お客様の荷物同士が引っかかってしまったり、お渡しする際に落としてしまったりすることもあるので、加入しておくと安心です。
生産物賠償責任保険(PL保険)
生産物賠償責任保険は、サロンで販売したり、提供したりした製品が原因で生じる身体への障害や物への損壊に対する賠償責任を補償する保険です。
いわゆるPL法(製造物責任法)では、商品として引き渡したり、使用したりした製造物の欠陥が原因で被った損失について、サロンに過失がなくても責任が生じてしまいます。
つまり、サロンで販売した美容液でかゆみが起こり、皮膚科に通院した場合、物販品であるシャンプーとかゆみの因果関係が明らかであれば、賠償責任が生じるということです。
事業活動総合保険
火災だけでなく、風水害や落雷などの自然災害、火災、偶発的な事故などで、店舗が損壊するなどして、営業できない状態になった際に補償される保険です。サロンを休業した期間の損失が補償されるので、大規模な修復が必要になった場合でも、事業を再開しやすくなります。
水漏れなどの修繕のための休業から、火災や自然災害で店舗が損壊した際の休業まで幅広く補償される保険もあれば、損失の原因の制約が多い保険もあるので、よく確認して選ぶことが大切です。
借家人賠償責任保険
民法には、「失火の責任に関する法律」(失火法)があり、過失により火事を起こした場合には損害賠償をしなくてよいと定められています。そのため、サロンの店舗が自分の持ち物であれば失火法が適用され、火災保険に入っておくことで賄うことが可能です。
しかし、賃貸物件では失火法が適用されず広範囲の原状回復義務が発生してしまうことがあります。このことから、貸店舗でサロンの営業をする場合は、水漏れなどの修繕費用も補償される、借家人賠償責任保険に加入しておくと安心です。
サロン業種別、おすすめのサロン向け保険
サロンで起こるトラブルやハプニングは共通しているものもありますが、サロンの業種によっては、内容が異なるものあるようです。ここでは、サロンの業種別におすすめのサロン保険をご紹介します。
エステサロンにおすすめの保険|エステサロン賠償責任保険
この保険は、その店舗で働いているいずれか1人以上のエステティシャンがエステティシャン個人を対象とした「エステシャン賠償責任保険」に加入している場合に、店舗としても加入できる保険です。
施設賠償責任や受託物賠償責任、生産物賠償責任などに対応でき、1店舗あたり年2万4,000円の保険料を一括で支払います。対人賠償は1事故当たり最高1億円、対物賠償は1事故当たり最高500万円が補償され、3万円までは免責となるのが特徴です。
美容室におすすめの保険|サロン向け賠償責任保険
ホットペッパービューティーに掲載し、サロンボードを利用しているサロン向けの賠償責任保険です。施設事故と施術中事故に対応するエコノミーは年1万1,800円の保険料で、店舗の管理では最高1億円が保証され、施術メニューでは最高500万円が保証されます。
さらに、受託物賠償と弁護士対応特約をプラスしたスタンダードプランは、年1万4,400円の保険料を支払うプランです。1年間の保険であり、年途中での加入の場合には日割り計算で保険料が決まります。
ネイルサロンにおすすめの保険|ネイルサロン賠償補償制度
ネイルサロン賠償保障制度は、JNA(日本ネイリスト協会)に加入することで、団体加入できる保険です。
施術中の事故に関する賠償はもちろん、施設賠償や生産物賠償、さらに人格権侵害賠償などの特約もあります。身体障害が1人当たり最高1億円、財物損傷は1人当たり最高1億円で、1万円までは免責となるのが特徴です。
保険料は年間の売り上げと、JNA認定ネイルサロンであるかどうかにより異なります。一例として、年間売り上げ1,600万円であれば、JNA会員認定ネイルサロンが年9,000円、JNA認定ネイルサロンが年7,000円です。
サロン経営にはリザービアの予約システムがおすすめ
サロンを経営する際に気になるのが集客です。リザービアは美容サロンやエステサロン、リラクゼーションサロンなど美容系に特化した予約システムですが、従来のポータルサイトなどと連携したり、SNS連携機能を活用したりすることで集客にも役立ちます。
予約管理については、機器を使う施術のダブルブッキングを防ぐ同時予約制限や指名予約機能もあり、システム上の予約台帳に集約することが可能です。ほかにも、個別のクーポン発行機能やサロンカード機能もあるので、顧客管理にも役立ちます。
サロンを守るために保険は必要!サロン向けの保険でもしもに備えよう
サロンを運営していく際に、予測できない事態にも対応できるように備えておくことは、とても大事なことです。万が一のトラブルがあった際に、お客様と施術者、そしてサロンを守るためにもサロン保険への加入をおすすめします。
※なお、リザービアでは、保険サービスに関しては取り扱いがありません。サロン保険を検討中の場合は、各保険会社から確認をお願いします。
引用元
全日本不動産協会 賃借人の失火と損害賠償義務
日本治療協会 エステティシャン賠償責任保険
株式会社エヌシーアイ ネイルサロン賠償補償保険