リラクゼーションサロンを開業したい場合、どんなことが必要なのでしょうか。ただ開業したいという気持ちを持つだけでなく、資格や開業にかかる費用、開店までに行う準備について知っておかなければなりません。
開業のメリットやデメリットも解説するので、よく検討して開業を目指しましょう。
まずは資料をご覧ください
目次
リラクゼーションサロンとは
リラクゼーションサロンとは、心身ともに癒やすことを目的に、さまざまなサービスを提供するサロンのことです。サービス内容はサロンによって異なり、もみほぐし・リフレクソロジー・アロマテラピーなど多岐にわたります。
リラクゼーションサロンの営業形態
つづいて、リラクゼーションサロンの4つの形態について特徴とともに紹介します。
テナント
営業するためのテナントを契約して運営する方法です。大通り沿いや大きな駅・建物の近くなど、活気のある場所なら、はじめから集客しやすいといえます。
しかし、立地のよい場所にテナントを借りる場合や広さを求める場合などは、ある程度の資金が必要です。初期費用だけでも100万円前後かかることもあります。
レンタル・出張
レンタルサロンは、使いたいときだけ日時を指定して施術スペースを借りる方法です。テナント出店に比べて費用が抑えられます。
出張サロンは、お客様の自宅など指定された場所に出向いて行う方法です。店舗を構えなくていいぶん、物件には費用がかかりません。ただし、移動に交通費や時間がかかります。
フランチャイズ
大手サロンとフランチャイズ契約する方法もあります。サロンのネームバリューが利用できることと、ノウハウや設備などのサポートを受けることが可能な点がメリットです。
ただし、経営のやり方などは本社の方針に従わなければなりません。また、本部へのロイヤリティの支払いも必要です。
自宅サロン
自宅サロンは、自宅の一部を増改築してサロンを経営する方法です。こだわりすぎなければ、コストを抑えて開業することができます。
難点としては、場所によっては集客しづらいことや、生活感が出てしまう可能性があることが挙げられます。また、借家の場合など、管理会社やオーナーからの許可が必要になる場合もあるため、注意が必要です。
リラクゼーションサロンを開業するメリット
リラクゼーションサロンを新しく開業するとどんなメリットがあるのでしょうか。4つの点を紹介します。
1. 比較的低資金・低リスク
個人サロンの場合、大手に比べて少ない資金で開業できるため、多額の借金を抱えることがなくリスクが低めです。小規模なら家賃も高くなく、毎月の固定費も抑えやすいでしょう。
また、自宅サロンや出張サロンなら、物件の取得や内装工事などが不要、もしくは最小限に抑えられるため、さらに低額で開業・運営できます。
2. 利益が出やすい
少ない費用で経営できるため、手元に利益が残りやすいというメリットもあります。小売店のような在庫を抱えるリスクも少なく、スタッフを雇わなければ人件費も自分の分だけなので、やり方次第で効率よく利益を上げることが可能です。
3. 少人数制でお客様と密にかかわれる
規模の大きいリラクゼーションサロンでは、悩みを話しづらいと感じるお客様もいるようです。しかし、少人数の個人開業サロンなら、マンツーマンで対応できるため親近感がわきやすく、信頼を得ることによりお客様のニーズを引き出しやすくなります。
ていねいなサービスを心がけることによって、より深い要望に応えられるので、サービスの質を高めてお客様満足度につなげましょう。
4. 自分の理想通りの店づくりができる
リラクゼーションサロンを開業する場合、自分がオーナーなので、お店の雰囲気や使用する道具・商材、提供するサービスなど、自分の理想を追求することができます。こだわりやオリジナリティを発揮できる機会です。
利用したお客様から共感を得られれば、リピートや友達紹介にもつながる可能性があるので、イメージやアイデアをどんどん具現化していきましょう。
リラクゼーションサロンの開業におけるデメリット
リラクゼーションサロンの開業を考える場合、メリットとあわせて、デメリット(注意点)も知っておく必要があります。3つの点を押さえましょう。
1. 1日の収益に限界がある
個人サロンでは、1日に対応できるお客様の人数が限られてしまいます。大規模サロンに比べると、現実的に大きな利益を出しにくいです。
また、新規のお客様は高額メニューを選びにくいという傾向があるので、高額メニューを利用してもらって利益を上げるためには、リピーターを増やすことも重要になります。
2. オーナー(自分)の負担が大きい
1人サロンの場合、代役はおらず、施術も事務関係も店舗の運営に関することはすべて自分でやらなければなりません。そのため、オーナーにかかる業務の負担が大きく、お客様が増えすぎると手が回らなくなる可能性があります。
また、もし病気や家庭の事情などで働けなくなってしまったら収入はゼロになってしまうことも注意点です。休業が長引けば廃業のリスクも出てくるので、体調管理などにもしっかり気を配らなければなりません。
3. 競合が多い
リラクゼーションサロンは比較的低額で始められる点がメリットですが、そのぶん参入者も多いことは注意点でもあります。ライバルが多くなりがちなため、独自性を出すなど他店との差別化が重要です。
リラクゼーションサロン開業に資格は必要?
実は、リラクゼーションサロンの開業に資格は必須ではありません。ただし、「治療」を謳う場合は、マッサージや鍼など施術ジャンルに関係する国家資格が求められます。詳細を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
提供するメニューに応じた民間資格を持っておくのがおすすめ
治療ではなく心身への癒やしを提供するセラピストでも、必須ではありませんが民間の資格を取得する人は多数います。資格があると知識や技術があることの証明になり、お客様からの信頼も得やすいためです。
そこで、リラクゼーションに関してどのような民間資格があるのか、例を紹介します。興味がある人は、提供するサービスのジャンルに応じた資格を取得してみてはいかがですか。
JREC(日本リフレクソロジスト認定機構)リフレクソロジーマスタークラス
JRECのリフレクソロジーは、医療・看護・介護にも対応するホリスティックケアです。体の仕組みや知識だけでなく、栄養や食生活についても学びます。
マスタークラスは、JRECリフレクソロジーの基本の施術技術を修得した上で、さまざまな知識や技能をもとに、顧客に継続的な健康管理のサポートやアドバイスを行えると認められた人に与えられるライセンスです。
取得することによって「JREC認定リフレクソロジスト」の称号を得られ、独立開業が認められます。
AEAJ(日本アロマ環境協会)アロマセラピスト
AEAJのアロマセラピスト資格は、プロのアロマセラピストとして一般の方にアロマケアを行えることを認定するものです。解剖生理学・皮膚科学・精油の知識・トリートメント技術などを総合的に学び、身につけることができます。
IBAA(インターナショナル美容鍼灸協会)オリエンタルリンパドレナージュ
IBAAでは、人々が持つ「美と健康」に対する願いを叶えることを目的に、西洋医学と中医学を組み合わせたオリジナルの「小泉式美容メソッド」の普及に尽力しています。
「オリエンタルリンパドレナージュ」とは、リンパの流れを整えて体の不調を解消する「リンパドレナージュ」に、中医学の考えを取り入れたもの。ツボとリンパの組み合わせによって、本来の美しさや健康を手に入れることを目指します。
リラクゼーションサロンの開業にかかる費用の目安
リラクゼーションサロンの開業にかかる費用は、業務形態や規模、提供するサービスのジャンル、開業する地域などによって異なります。資金計画を立て、必要に応じて融資なども検討しなければなりません。ここでは、開業に必要な資金の目安をチェックしてみましょう。
物件取得費
自宅サロンの場合は物件取得費は不要ですが、テナントを借りて営業する場合、敷金礼金・保証金などの初期費用が必要です。物件の場所や規模などにもよりますが、状況によっては100~200万円程度かかることもあります。
改装・設備工事費
工事の費用は、規模や程度にもよりますが、50~250万円程度見ておきましょう。壁紙・床の張り替えや、電気・ガス・水道工事などが必要です。
安く抑えたい場合は、以前に似たような店舗が入っていた居抜き物件を利用する・相見積もりを取って安い業者を選ぶなどの方法があります。また、自宅サロンの場合、工夫次第で20~30万円以内に抑えられることもあるので、予算も考慮して工事を行いましょう。
施術道具・備品費
施術用のベッド・枕・カーテン・椅子など、営業に必要な道具や備品にかかる費用は30~120万円程度と考えておきましょう。予約・顧客管理に使うパソコンも必要になります。
必要物品の費用を抑えたい場合、中古品を購入して費用を抑えることも可能です。中古でも状態のいいものもあるので、上手に活用しましょう。
広告宣伝費
集客に費用をかけるなら、広告出稿費やチラシ制作費などで5~50万円を見ておくとよいでしょう。クーポンサイトや情報誌などに載せる場合は掲載料などが必要です。広告宣伝にコストを割けない場合、SNSや無料サイトなどで費用をかけずに集客する方法もあります。
お金をかければかけるほど集客が見込めるわけでもないので、戦略を立て、ターゲットの目に触れやすい場面・心に響きやすい方法で宣伝することも大事です。
開業資金の総額は最大620万円程度
ここまでの内容をまとめると、リラクゼーションサロンの開業にかかる費用は最大でおよそ620万円です。目安額や内訳がわかれば予算も立てやすいので、開業時に役立ててください。
なお、自宅サロン・出張サロンの場合や中古物品を使用する場合などは、全体を工事したりすべてを新しくしたりするのに比べてコストを抑えられるので、100万円以内でも開業できる可能性があります。
リラクゼーションサロン開業に必要な準備や手続き
開業費用の目安がわかったところで、つづいては、リラクゼーションサロン開業時に行う準備や必要な手続きについてお伝えします。
1. コンセプトを練る
はじめに、店で提供するサービスのジャンルを決め、コンセプトやターゲットを設定しなければなりません。
コンセプトは店の運営の軸となる大切なもの。サロンの雰囲気・内装・メニュー・価格などに関係するほか、従業員のモチベーションや意識にも影響を与えます。
来店したお客様にどのような体験をしてほしいのか、どんな結果を手に入れてもらいたいのかなどを考え、具体的に決めましょう。
さらに、自店を利用してほしい相手の年代・性別・職業・ライフスタイルなど、ターゲットを設定することも大切です。コンセプトともかかわる内容のため、自店のウリや魅力なども考えながら具体的に絞っていきましょう。
明確になるほど精度が増し、実際のターゲットに響きやすくなります。
2. 物件を決める
前述したサロンの営業形態(テナント・レンタルサロンなど)や、1で決めたコンセプトなども考えつつ、店舗を開業する場所を選びます。
店舗の物件も、リラクゼーションサロンの開業において重要な項目の1つ。ターゲットが来店しやすい場所にあるか、周囲の環境や近くに競合店がないかなどのチェックも必要です。
3. 資金を用意する
前述した費用の目安も参考にしながら、資金・事業計画を立てましょう。
リラクゼーションサロンは比較的低額でオープンできるとはいえ、自己資金では不足する可能性もあります。必要に応じて、日本政策金融公庫などから融資を受けるなど、かかる費用に見合う資金集めを行わなければなりません。
4. 工事や物品購入
ここまでの内容が整ったら、つづいては業者に依頼し、内装・外装・設備など必要な部分の工事をしてもらいます。
どんな雰囲気にしたいのか、業務を行うためにはどんな設備が必要なのかなどを考えながら、工事の施工業者と相談して準備を進めましょう。前述したように、居抜き物件や自宅サロンであれば、比較的費用を抑えやすいです。
また、インテリア・タオル・オイル・パソコン・レジ・事務用品など、使用するものを買いそろえることも必要です。サロンで提供するサービスによっても必要物品は異なるため、自店では何を準備しなければならないのか、買うものリストを作るなどして購入しましょう。
5. 集客&予約システムの導入
開業準備と並行して、店のコンセプトやターゲットもふまえ、集客活動を行いましょう。近隣にはチラシのポスティングも有効です。近くに新しいお店ができると、どんな感じなのか行ってみようと考える人も少なくありません。
また、SNSや美容室ポータルサイト(クーポンサイト)などを活用するほか、自動でインターネット予約の受付・管理ができるシステムも導入すると便利です。
6. 税務署に開業届を出す
開業からおおむね1カ月以内に、開業届を税務署に提出することも必要です。書類は税務署にあるほか、国税庁のサイトからもダウンロードできます。開業届とあわせて青色申告も届け出るのがおすすめです。確定申告時に税金の控除を受けられます。
治療院の場合は保健所にも届け出が必要
国家資格が必要な「治療」を行う整骨院や鍼灸院などの場合は、「施設所開設届」という保健所への申請も必要になります。税務署への開業届とあわせて、忘れずに申請を行いましょう。
7. スタッフの採用・教育
スタッフを雇う場合は早めに求人募集をして採用し、オープンするまでにサロン業務の教育・研修も必要です。施術・接客・事務作業など、スタッフの業務範囲によっては覚えてもらう内容や身につけてもらうスキルがたくさんあります。
なお、オーナー(開業者)自身が施術者としてお店に立つのか、サロン業務をスタッフに任せるのかによっても変わります。人件費にもかかわる大事な部分です。
フランチャイズの場合は、スタッフの採用や教育に関して本部のサポートを受けられることが多いため、オーナーの負担を減らせます。
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しっかり準備を進めて、リラクゼーションサロンの開業を成功させよう
リラクゼーションサロンを開業するメリットは多いですが、開店までにやるべきこともたくさんあることがわかりました。
費用のことも考えつつ余裕を持って準備を進め、理想のサロンを実現化させましょう。