エステサロンはそのサービスの特性上、顧客をリピーターにできるかどうかがサロンの経営を大きく左右しますが、顧客をリピーターにするために役立つのが、回数券です。ただ、回数券を導入することにはメリットもあればデメリットもあるため、今後回数券を採用しようかどうか考えているサロンの方は、メリットおよびデメリットをきちんと把握したうえで、回数券を採用すべきかどうかを判断する必要があります。
本記事では、エステサロンが回数券を採用するメリットやデメリット、回数券の効果を確かめる方法、回数券のプランを作る上で大切なポイントなどについて、説明します。
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目次
エステサロンが回数券を採用する理由
エステサロンが回数券を採用する理由としてはいろいろなことが考えられますが、
「継続しての来店を促すため」
「お得感を持ってもらいたいため」
というのが主な理由でしょう。
回数券を購入したお客様は、たとえば10回分の回数券なのであれば10回来店して回数券を使い切らなければもったいない、という気持ちになるのが自然です。そのため、サロン側が特に案内などを行わずともサロンに足を運んでくれます。
また、サロンでの施術にかかる費用は高額になることも多いですが、回数券を利用することで少し割安で施術を受けることができるので、お客様にお得感を持ってもらうことができます。
このようにエステサロンは、販促活動の一環として回数券を採用していることが多いです。
エステサロンが回数券を採用するメリット
冒頭でも少し触れましたが、エステサロンが回数券を採用するメリットとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 継続しての来店が期待できる
- 安定した売上につながる
- お得感を持ってもらえる
- 施術の計画が立てやすい
- 案内のフックとして利用できる
それぞれのメリットについて、説明します。
継続しての来店が期待できる
自分がエステサロンに通うことをイメージしていただければお分かりになるかと思いますが、1回試してみたものの再来店するつもりのないサロンでは、回数券を購入することはないでしょう。
つまり、「お客様が回数券を購入してくれる=再来店の意思あり」ということなので、継続しての来店が期待できます。
とくにエステサロンは、継続的に通ってもらって施術を繰り返し行うことで、徐々に効果が出るようなケースも多いです。
継続しての来店の見通しが立つということは、サロンにとってもお客様にとってもプラスに働きます。
安定した売上につながる
回数券を購入してもらえれば、その瞬間にまとまった金額の売上ができます。また、再来店時には回数券のメニュー以外のメニューをリクエストされることもあり、その場合はさらに売上が上がることになります。
回数券を購入してもらえるということ自体、
には大きく貢献しているのですが、回数券を購入するということは、お客様がそのサロンを気に入っている、信用しているということを表す行為でもあるのです。そのため、回数券を購入してくれるお客様のLTV(顧客生涯価値)は高くなる傾向にあり、そういった点でも安定した売上を期待できるでしょう。
お得感を持ってもらえる
回数券を利用する際の料金設定は、通常の料金設定よりもお得になっているのが一般的です(全身施術60分18,000円が、10回セットで15万円といったようなイメージ)。そのため、お客様にお得感を持ってもらうことができ、前向きな気持ちで施術を受けてもらうことができます。
また、「お得に施術を受けられている」という気持ちは、追加で施術を頼んだりサロンで販売しているアイテムを購入したり、といった行動につながることもあります。
回数券を販売することで、施術1回あたりの単価は下がってしまっているかもしれませんが、そのほかの部分で補填できると考えれば、回数券の利用はお客様とサロンの双方にとってwin-winと考えてかまわないでしょう。
施術の計画が立てやすい
エステサロンで行われる施術は、1回ですべてが完了することはほぼなく、継続して施術を受けてもらうことが前提になっているケースが多いです。
ただ、今後何回サロンに通ってもらえるかが分からないお客様に対しては、施術に関する今後の計画などを相談しづらいでしょう。
回数券を購入してもらっていれば、回数券の残り回数分は来店してもらえることが(ほぼ)決まっていますから、施術の計画も立てやすいです。
通ってもらっている間の変化を見ながら、施術計画を柔軟に変更することもできるのは、回数券を利用して通ってもらっていることならではのメリットと考えられます。
案内のフックとして利用できる
しばらくお店に来てもらっていないお客様に対して、エステサロン側から案内を行うことがあります。そういったとき、突然案内を行うとお客様も警戒してしまうかもしれません。
しかしお客様の手元にまだ使われていない回数券があれば、「お手持ちの回数券の有効期限がもう少しで切れると思い…」といったように、回数券をフックにする形で自然に案内を行うことができます。
回数券の存在を忘れているお客様もいらっしゃいますが、このように案内してもらうことで回数券の存在を思いだし、サロンに足を運んでくれるかもしれません。
エステサロンが回数券を採用するデメリット
逆に、エステサロンが回数券を採用するデメリットとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 客単価の低下
- スタッフのモチベーションの低下
- 回数券を使い切ったら来店してもらえない可能性がある
- 管理などの手間が増える
それぞれのデメリットについて、説明します。
客単価の低下
回数券を利用してもらうということは、通常よりも割安な単価で施術を受けてもらうことであるということは、先ほど少し触れた通りです。
繰り返し来店して施術を受けてもらう間に、オプションとして別の施術を受けてもらったり、サロンで利用しているオイルを購入してもらったりすることで、下がった単価を補うことは可能です。
ただ、すべてのお客様が追加で施術を受けてくれるとは限らず、回数券の施術のみを受けに来るお客様ももちろんいらっしゃいます。
ほかの施術を提案したり時間の延長を打診したりしなければ、純粋に客単価が下がってしまうだけになることには、注意が必要です。
スタッフのモチベーションの低下
エステサロンで働いているスタッフの方は、自分が習得してこれまで磨いてきた技術に、自身と誇りを持っていることも多いです。
そのような方にとって、自身の技術を安売りすることはできれば控えたいことだとは思いますが、回数券によって施術1回あたりの価格があまりにも下がってしまうと、モチベーションの低下は避けられないでしょう。
回数券にお得感を感じてもらうためには、ある程度の割引は致し方ないことではありますが、やりすぎることのないように価格設定を慎重に行うことを心がけましょう。
回数券を使い切ったら来店してもらえない可能性がある
エステサロンに通うモチベーションというのは、「今よりもキレイになりたい」「目標としている数値まで体重を落としたい」といったものであることが多いはずです。しかし、回数券を購入した方の中には、「回数券を購入したからには最後まで使い切らないと」というような気持ちで来店している方も、いらっしゃるかもしれません。
そのような方は能動的かつ前向きにエステサロンに通っているというよりは、半ば強制的に通っているような状態に近いので、回数券を使い切ってしまうとその後来店しなくなる可能性があります。
回数券はあくまでも来店を促す手段であり、回数券を消費することが来店するための目的となってしまってはいけません。
お客様のモチベーションが負のものになってしまわないように、お客様が前向きな気持ちで来店できるような施術を目指しましょう。
管理などの手間が増える
回数券は紙で発行することが多いですが、その場合、どのお客様が回数券を利用しているのかをきちんと把握しておかなければなりません。
回数券を購入している方が回数券を持ってくるのを忘れてしまった場合、次会来店時に2枚分消費するというような処置を取ることもありますが、そのことを忘れてしまわないようにする必要があります。
また、回数券を使用している方と使用していない方では、同じ施術でも価格が異なりますが、そのことを踏まえておかなければ、閉店後のレジチェックなどでズレが生じてしまう可能性もあります。
このように、回数券を発行することでさまざまな手間が増えることは、念頭に置いておく必要があります。
事前に知っておきたい!回数券販売時の契約書について
回数券という商品は、最初にまとめて金額を支払ってその代金相当分の施術を数回に分けて受けるという点が、一般的な商品やお金の払い方とは少々異なる点です。そのため、その取り扱いには注意しておかなければならない点があります。
購入した商品が気に入らなかった場合、契約から8日間が経っていなければ契約の解除を行える、クーリングオフという制度があります。
回数券の場合、たとえば1回施術を受けてどうも気に入らないとなった場合、クーリングオフを行うことで、残りの回数に相当する金額の返金を行ってもらおうとする利用者が表れるかもしれません。
しかしここで気を付けておかなければならないのは、そもそもクーリングオフという制度が適用されるのは、訪問販売や勧誘販売のような不意打ち的な勧誘による契約や、複雑な契約の場合のみだということです。
エステサロンの回数券のように、自らの意思でサロンに赴いて回数券を購入したようなケースでは、クーリングオフは適用されません。ただ、そういった詳しい条件まで把握していない方のほうが多いと思いますので、クーリングオフを要求されるお客様もいらっしゃるでしょう。
このようなケースにおいて、サロン側には「本契約はクーリングオフの対象外なので返金はできません」と突っぱねる権利があります。
しかしそのような対応をしてしまうと、お客様はもちろん気分を損ねてしまいますし、今後サロンを利用してくれなくなってしまうでしょう。それどころか、口コミサイトなどで対応について悪評を書かれてしまう可能性もあります。
こういったトラブルを避けるためには、回数券を販売する際にお客様に誓約書に一筆サインしておいてもらうのが無難です。
誓約書の内容はケースバイケースですが、回数券の払い戻しはできないといったような内容にしておくのが一般的です。なお、クーリングオフの要求に従う必要はありませんが、お客様が満足できなかった場合に返金という対応を行うかどうかは、サロンの自由です。
「残り回数○回以下の場合は×%を返金します」というような内容も誓約書に盛り込んでおくと、より親切でお客様想いである印象を与えられるでしょう。
いずれにせよ誓約書の内容は、のちのトラブルを未然に回避できるようなものが望ましいです。
並行してキャンペーンも行うと効果的!
回数券は、お客様に足を運んでもらうための施策のひとつですが、同様の施策としてはキャンペーンも挙げられます。
エステサロンでは、季節性を盛り込んだキャンペーンや時間を区切ったキャンペーンなど、さまざまなキャンペーンを展開しています。前者のキャンペーンとしては「水着の季節の前に脱毛しよう!まだ間に合うお手入れコース!」「正月太りはエステで解消!短期間でボディの引き締め!」などが挙げられます。
後者のキャンペーンとしては、お客さんの来店が少ない平日の昼に施術料金を20%オフにするようなものが挙げられるでしょう。
回数券を持っていることでサロンに足を運ぶ動機があるお客様に対して、キャンペーンでお得に施術を行えることを訴えれば、来店を強く促せること間違いありません。そのため、キャンペーンの内容は回数券を所有している方に強く刺さりそうなものにするのが効果的です。
なお、回数券による割引とキャンペーンによる割引は併用できないケースが多いので、そのことは事前にきちんと伝えておかなければトラブルにつながりかねない点には、注意しておきましょう。
回数券の効果を確かめる方法
回数券は来店を促すために効果的な施策ではありますが、実際のところ回数券がどの程度効果的なものかを測定するのは、なかなか難しいです。
回数券を利用したお客様に対して、「回数券があることでサロンに行こうという気持ちが強くなりましたか?」などのアンケートを取り、その結果を集計することである程度の効果測定はできるかもしれません。
しかし、回数券を購入した人にはバイアスがかかっているため、「回数券を購入したこととサロンに足を運ぼうと思う気持ちの関係性」について、正常な判断をすることはなかなか難しいものです。
ともすれば「回数券を購入した自分」を正当化したいがために、回数券の価値を過大に評価してしまいがちです。
そのため、アンケートの結果を鵜呑みにしすぎるのはよくないでしょう。
長年サロンに通い続けてくれているお客様がいて、ずっと回数券を利用していなかったものの、ここ最近は回数券を購入して来店してくれている、というようなことがあれば、その方のデータは回数券の効果を測定する有用なデータとなるかもしれません。
回数券を購入していない間は月1回、年間で10回程度の来店だったのが、回数券を購入した後は月1~2回になり、年間では20回程度の来店になっていたとすれば、確かに回数券の効果はあったと判断してよさそうです。
回数券を採用した場合は、その効果を見て適宜制度や内容をブラッシュアップしていく必要があるので、自分たちなりにできる方法で効果測定を行うことを心がけましょう。
回数券のプランを作る上で大切なポイント
回数券のプランをどのように作るかは各エステサロン次第ですが、料金や期間設定を行うにあたって、押さえておいたほうがよいポイントがあります。回数券のプランを作るうえで大切なポイントとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
- 料金を安くし過ぎない
- 無理なく通える期間設定にする
- お客様が効果をイメージしやすい内容にする
それぞれのポイントについて、説明します。
料金を安くし過ぎない
回数券を利用しての施術は、通常の施術よりも割り引かれた料金になるのがセオリーであり、お客様もどの程度割り引かれるのかを楽しみにされています。
だからと言って、回数券による施術の料金を安くし過ぎてしまうと、店舗経営に支障が出てしまうことになりかねません。
人件費や家賃のことなどを踏まえて、値下げ可能なラインは把握しておきましょう。なお、回数券の料金を値下げ可能なラインギリギリまで下げる必要はありません。
ラインギリギリまでの値下げは、かき入れ時の起爆剤として用いることができるように、温存しておくのがおすすめです。
無理なく通える期間設定にする
回数券には有効期限を設けることが多く、有効期限があることがエステサロンに足を運ぶ動機になる場合もあります。
そのため有効期限は長めよりは短めにしたほうがよいですが、あまりに有効期限が短すぎると、期間内に消化しきるのが難しいと判断され、敬遠されてしまう可能性があります。
お客様の平均的な来店スパンを踏まえたうえで、それより少し短いぐらいのスパンで通ってもらえるような期間設定にすることで、無理なく通うことができるでしょう。
お客様が効果をイメージしやすい内容にする
エステサロンに通う方は、
「体重を○kg落としたい」とか「ウエストを引き締めたい」
といった、具体的な目標をお持ちのことが多いです。
エステサロンはその目標を叶えるためにお手伝いをしますが、お客様が継続的にサロンに足を運んでくださるかどうかは、
「継続的に通うことで目標が達成できそうなイメージを持てるかどうか」
に大きく左右されます。
そのため回数券による施術内容も、繰り返し施術を受けることでお客様が望まれている目標達成に近付けそうなものにすることが、望ましいです。
エステサロン側の押しつけになるのではなく、お客様が望んでいるものを提供するという意識を忘れないようにしましょう。
リザービアのクーポン機能なら細かく設定できておすすめ!
先ほど回数券によるデメリットとして、管理が大変ということを挙げましたが、最近では紙の回数券ではなくオンライン回数券を導入するところも増えてきています。
オンライン回数券にすれば、紙の回数券よりも管理がかなり楽になりますし、お客様にとってもかさばる回数券を財布やカード入れに入れておかなくてよいというメリットがあります。
オンライン回数券は予約システムと一緒に利用できると、オンライン予約時に回数券の利用までワンセットで行うことができるため便利です。
予約システムと一緒に利用できるオンライン回数券の導入を検討している場合は、「リザービア」がおすすめです。
ベースとなる予約管理システムに加えてさまざまな機能を利用することが可能で、その中のひとつに回数券の発行が可能なクーポン機能があります。
リザービアでは回数券に利用回数制限を設けることができるので、回数券の内容に応じて適した回数を設定することが可能です。繰り返しの施術が必要な内容の回数券は多めにし、そこまで頻繁な施術が必要ではないものに関しては、少し少なめの回数を設定することができます。
また、回数券の表示もWEBページのみへの表示、アプリのみに表示、非表示(シークレット)から設定することができるのも、便利なポイントです。
とくに、非表示を利用して特定の人にだけ回数券を表示することで、アプリ上で回数券の管理を行うこともできます。
回数券の導入と同時に予約管理システムも刷新したいとお考えのエステサロンの方には、一度検討してみてください。
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メリットとデメリットをそれぞれ把握したうえで回数券の採用を判断しよう
エステサロンで回数を採用することには、継続しての来店が期待できたり施術の計画が立てやすかったりといったメリットがあります。一方、客単価が下がったり使い切った後の来店につながらない可能性があったりといったデメリットも、考えられます。
うまく活用すれば、サロンへの来店を強力にアシストしてくれるアイテムであることは間違いないので、運用方法や期間設定などに注意しつつ導入するとよいでしょう。