美容サロンでは、店販品や施術に使用する材料など、さまざまな商品の発注が行われます。日常的に業務で消費されている量や販売ペースなどを見極め、適切な在庫を保つことは、サロンの運営にとって非常に重要なことです。
しかし、他業務と両立しながらの管理は、容易なことではないでしょう。その解決に役立つのが、POSシステムによる在庫管理です。
本記事ではPOSシステムで在庫管理するメリットや注意点に加え、美容サロンにおすすめの在庫管理機能を備えたPOSシステムを紹介します。
目次
在庫管理とは
在庫管理は、店販用の商品や施術に使用する材料を効率的に運用するための重要な業務です。過剰在庫を防止しつつ、サロンにとって適切な在庫数を維持するための仕組みといえます。
在庫管理の具体的な業務としては、下記の内容があります。
- 入荷商品の数量確認と記録
- 販売・注文に伴う出庫管理
- 定期的な検品と棚卸作業
- 品質や使用期限等の確認
これらの業務によって、在庫数を適切に保ちながら品質を維持することで、サロンでの商品や材料の安定供給につなげます。
POSシステムとは
POSシステムのPOSとは「Point of Sales(販売時点情報管理)」の略で、商品の販売状況をリアルタイムで管理する仕組みです。
サロンでの会計処理を行うPOSレジはPOSシステムを搭載したレジのことで、バーコードを読み取ることで「何を」「いつ」「どれだけ」販売したかという情報を即時に記録します。
POSシステムをサロンの在庫管理に活用することで、商品の仕入れから販売までの流れを管理できます。さらに、システムによっては、在庫数が減ると通知する機能を持つものもあります。
また、店舗にいなくてもオンライン上で販売動向や在庫状況を把握することも可能です。
POSシステムで使える在庫管理機能
POSシステムには、さまざまな業種に対応しているものや特定の業界に特化したものなど、多様なラインナップがあります。そのため、導入する際は、自店に適したシステムか、必要な機能が搭載されているかなどをしっかりと確認しましょう。
ここでは、POSシステムに搭載されている機能のうち、在庫管理に役立つものを3つ紹介します。
なお、POSシステムに搭載されている在庫管理以外の機能については、下記の関連記事をチェックしてください。
商品管理
商品の価格や在庫数などをリアルタイムで記録し、適正在庫を保つために役立つ機能です。
入荷日や使用期限などもあわせて記録しておくことで、売れずに残ってしまっている滞留在庫や使用期限が近づいている商品にも気づくことができます。
棚卸
POSシステムを導入していると、システム内に仕入れ・在庫・販売のデータがまとまっているため、棚卸業務の効率化に役立ちます。
棚卸のために改めてデータを集計する必要がなく、リアルタイムで在庫情報を確認できます。
専用端末やスマートフォンなどでのバーコード読み取りによる現物管理が可能なシステムもあり、手作業によるカウントミス防止にもつなげられるでしょう。
受発注管理
POSシステムに受発注や販売データを記録することで、同じ商品をダブって発注してしまうなどの発注ミスを未然に防げます。システムによっては品切れ予測など、適正在庫を保つための機能も搭載しており、発注のタイミングや数の管理にも役立つでしょう。
また、万が一、商品に不具合があった際もいつ入荷した商品かなどの確認がスムーズにとれます。
POSシステムを在庫管理に活用するメリット
POSシステムの導入は、サロン業務にさまざまなメリットをもたらします。そのなかでも、サロンの在庫管理にPOSシステムを活用することで得られるメリットを紹介します。
1.日常業務の効率化をはかれる
POSシステムを店舗に導入することで、在庫管理業務だけでなく、日常業務の全般的な効率化を促進できます。
その結果、在庫管理に要していた時間とスタッフを、お客様の満足度向上のためのおもてなしに使ったり、新たなサービスや店内装飾の考案に使ったりできるでしょう。
棚卸し業務にかかっていた人件費も浮くためコスト削減にもつながります。
2.在庫の過不足によるトラブルを回避できる
POSシステムによる在庫管理の特徴は、システム上で正確な在庫管理ができる点です。
バーコード読み取りによる棚卸しや売買などに伴う在庫の移動を正確に把握するので、エクセルや手書きでの管理で発生しがちな、ヒューマンエラーによる在庫管理の間違いなども防げます。
これにより、棚卸し時の在庫ロスや在庫管理の帳簿漏れを防ぎ、お客様が希望していたサービスが提供できないなどのトラブル回避にもつながるでしょう。
さらに、リアルタイムで在庫状況が確認できるため、在庫が不足した場合の早期発注などの対応が可能です。
3.売上データの解析に役立てられる
POSシステムは在庫管理をシステム管理するなかで、自分の店舗ではどのような商品が売れていて、どのサービスがどの客層に人気があるのかなどを分析できます。
その結果、どのシャンプーやオイルの消費が早く、どれを優先的に発注すべきか、どの程度の数量を注文すべきなのかがわかります。
また、美容室・サロンが推したい施術サービスをどの客層に売り込めば反応がいいのかなども、過去のPOSデータを分析することでわかるでしょう。
4.店舗間や業者との出入荷記録をつけられる
店舗間や業者とのやり取りがPOSシステム上で明確に表示されるので、どの店舗にどの備品が必要で、どの業者に発注すべきなのかがわかります。
店舗間の備品の振り替えに関しても、システム上ですべてのやり取りを記録しているので、在庫ロスが発生してしまうなどの棚卸しの際のトラブルを回避できるでしょう。
5.複数店舗の在庫を一元管理できる
本部機能が搭載されたPOSシステムの場合は、各店舗の情報を一元管理できます。店舗へ足を運ぶこともなく、また店舗ごとに数字を手作業でまとめてもらうなどの手間を省き、在庫管理ができるようになります。
状況に合わせて商品を店舗間で移動させるなど、余剰在庫をつくらない仕組みづくりにも役立てられるでしょう。
6.手作業によるミスを減らせる
POSシステムで在庫を管理することによって、検品や記入のミスなどによる在庫不一致を減らすことができるでしょう。
さらに、発注データを記録しておくことで、同じ商品を注文してしまう二重発注などの削減にもつながります。
POSシステムで在庫管理する際の注意点
POSシステムの導入にはメリットだけではなく注意点もあります。ここでは、導入前に知っておくべき注意点を4つ紹介します。
1.導入・運用コストがかかる
POSシステムを在庫管理に導入するかどうか検討する際に念頭に置いておきたいのは、POSシステムの導入・運用にはコストがかかるという点です。
システム導入時にインターネットにつなげたり、システムをきちんと活用するためにスタッフを教育したりといった金銭的・人的なコストがかかります。
具体的には、POSシステムの導入で一台あたり数十万円、運用コストとして月額数万円単位のコストがかかってくるのが一般的です。
POSシステムを導入することで、在庫管理が効率化するのは間違いありません。しかし、個人経営の美容室などで在庫管理の点数が少ない場合は、POSシステム導入のメリットを感じにくいことも考えられます。
在庫管理にPOSシステムを導入して得られるメリットとコストの兼ね合いを見て、検討しましょう。
2.停電時にシステムが止まる場合がある
POSシステムは、インターネットと電力を使用します。そのため、突然の台風や地震などの災害にあい、局所的な停電が起きると、システムを使用できなくなる可能性があります。
POSシステムとは別に、大まかな在庫記録などを紙でもまとめておくと、いざ停電になってシステムを使えなくなった場合にも対処できるでしょう。
3.インターネット環境を整える必要がある
POSシステムは、常にインターネットに接続して在庫管理や売上データを記録し、保存する必要があります。そのため、安定的なインターネット環境を確保する必要があります。
4.情報漏洩のリスクがある
POSシステムは基本的にインターネットに接続した状態で使用するため、情報漏洩のリスクが無いとは言い切れません。そのため、セキュリティ対策をしっかりとしているシステム選びが重要です。
また、システムを取り扱うスタッフに対しても、情報セキュリティに関する教育を行いましょう。
美容サロンにおすすめの在庫管理できるPOSシステム5選
POSシステムは、幅広い業種に対応した汎用的なものから特定の業界に特化したものまで、さまざまです。
ここでは、数多くある美容サロン特化のPOSシステムのなかから、在庫管理機能を搭載している、おすすめのシステムを紹介します。

出所:VIDシステム公式Webサイト
VIDシステムは、リピート率の向上に焦点をあてたサロン運営全般をサポートするためのシステムです。
予約管理や顧客分析などに加え、在庫管理機能も搭載しています。
店販品や材料の在庫管理はかんたんな入力で対応でき、オプションでスキャナーと連携することで、さらに業務効率を上げることも可能です。
さらに、在庫管理と連動し、店販品をオンラインショップで販売できる機能も搭載しています。
引用元
VIDシステム
美歴

出所:美歴公式Webサイト
美歴は、電子カルテを他業務の効率化につなげて活用できる、美容サロン運営のためのシステムです。
美歴の在庫管理機能は、レジだけはなくECサイトとの連携も可能となっているうえ、在庫数が少なくなるとメールでお知らせが届く、在庫お知らせ機能も搭載しています。
さらに、在庫資産管理機能も搭載しているため、税務申告の負担軽減にも役立ちます。
引用元
美歴
SalonMagic+

出所:SalonMagic+公式Webサイト
SalonMagic+は、理美容サロン向けのサロン運営サポートシステム。予約・顧客・売上管理のほか、分析・集計などさまざまな機能を搭載しています。
そのなかのひとつ「在庫管理機能」では、店販品や材料のデータを仕入先ごとに管理可能です。さらに、不良在庫の把握や毎月の棚卸などにも対応しています。
引用元
SalonMagic+
スマレジ

出所:スマレジ公式Webサイト
スマレジは、iPhone・iPad・iPod touchから利用できるPOSレジシステムです。レジ機能はもちろんのこと、売上分析・顧客管理・複数店舗管理・スタッフ管理など、ビジネス運営に必要な機能が一つにまとまっています。
在庫管理においては、実際に数えた数を手入力する方法のほか、iPod touchやiPadを使ったバーコードの読み取りなど、複数の棚卸方法に対応しています。そのため、ビジネスの形態や規模に合わせた運用が可能です。
引用元
スマレジ
Square

出所:Square公式Webサイト
Squareは、iOSとAndroidの両方に対応しているPOSレジアプリです。専用の決済端末をつなぐことで、キャッシュレス決済にも対応できます。
在庫状況について印刷可能な詳細データがダウンロードできるため、追加発注の検討などの際に役立つでしょう。
在庫の少ないものや売り切れになっている商品の情報を、毎日メールで通知する「在庫お知らせ機能」も搭載しています。
引用元
スクエア
POSシステムで在庫管理をして、店舗業務の生産性をアップさせよう!
POSシステムによる在庫管理は、手作業による負担とミスを減らし、適切な在庫の維持に非常に役立ちます。在庫切れや余剰在庫のリスク軽減にもなるため、販売機会の損失や使用期限切れによる廃棄などの削減にもつながるでしょう。
システムによって搭載している機能は異なるため、在庫管理以外の機能についてもしっかりと確認し、サロンの営業形態や規模に合ったPOSシステムを導入しましょう。