目元の美容という、繊細な領域で活躍するアイリスト。アイリストになるためにはどんな資格が必要なのか、どのような準備が求められるのかといった、不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アイリストの仕事内容や働き方、必要な資格から向いている人の特徴までを解説します。
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目次
アイリストとは?仕事内容と働き方
アイリストはアイデザイナーやアイスタイリストなどとも呼ばれる職業で、まつエクやまつ毛パーマ、アイブロウスタイリングなど、目元の美容施術を専門に行う技術者です。顔の印象を大きく左右する目元を美しく整えることで、より魅力的な表情を引き出す役割を担っています。
主な仕事内容としては、以下のような施術が挙げられます。
- まつエクの装着
- まつ毛パーマ
- カウンセリングやデザイン提案、施術後のアフターケア
- 器具・施術スペースの衛生管理
主な就職先と働くスタイル
アイリストのもっとも一般的な就職先は、目元の施術に特化したアイラッシュ専門サロンです。新人研修やスキルアップ制度が整っている場合も多く、未経験からでも安心して働けます。
美容室に併設されたサロンではヘアメニューとの組み合わせによってトータルな提案が可能で、幅広い美容スキルを活かしたい方に向いています。
エステサロンやトータルビューティーサロンなど、フェイシャルやボディケアと合わせて、アイメニューを提供するサロンもあります。施術内容が多岐にわたるため、美容全般に興味がある人に向いています。
さらに、雇用形態もさまざまです。正社員やパート・アルバイトに加え、業務委託としてフリーランス的に働くスタイルや、自身で独立・開業する道も選べます。
【必須資格】アイリストになるための国家資格
アイリストになるためには、国家資格である美容師免許が必須です。まつエクやまつ毛パーマの施術は目元という非常にデリケートな部位を扱うため、衛生管理や安全性を担保する専門的な知識と技術が求められるからです。
法律上、美容師免許を持たずに「美容を業とする」行為を行うことは禁じられています。美容師法第2条では「美容」として、パーマネントウェーブや化粧などによって容姿を美しくする行為と定められており、まつエクもこの範疇に含まれると解釈されています 。
引用元
e-Gov 法令検索|美容師法
美容師免許が必要になった背景とその理由
まつエクやまつ毛パーマが広まりつつあったころは、無資格者でも施術できる状況でした。しかし、施術が原因の目元トラブルが多発して消費者からの相談も相次ぎ、安全確保が大きな課題となりました。
その流れを受けて、2008年、厚生労働省は「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」の通知を発出。まつエクが美容師法における「美容行為」に該当するという見解を明確にしました。これによって、まつエク施術には美容師免許が必要であるという法的解釈が確立されました。
美容師法そのものでは「美容」と「美容師」の定義を定め、無免許者による美容行為の提供を禁止しています。通知を通じて、安全性の担保と法令遵守の観点から、美容師免許の取得が必須となったのです。
引用元
厚生労働省|○まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について (平成 20 年 3 月 7 日 健衛発第 0307001
独立行政法人国民生活センター|後を絶たない、まつ毛エクステンションの危害
免許取得の方法|昼間・夜間・通信課程の違い
美容師免許を取得するためには、厚生労働大臣指定の養成施設で学ぶ必要があります。学びのスタイルには主に昼間・夜間・通信の三つの課程があり、それぞれの特徴を理解した上で選ぶことが大切です。
昼間課程は日中に集中的に学べるのが特長で、学習の質や設備面に優れていることが多いです。夜間課程は夕方からの授業に対応し、仕事と両立しやすい点がメリット。通信課程は自宅学習が中心ですが、スクーリングで実技を補う柔軟な学びが可能です。
美容師免許取得にかかる費用の目安
美容師免許を取得する際にかかる費用の大部分は、美容専門学校への入学費用です。学びの形態に応じて金額には大きな差があります。
昼間課程では、授業料や教材費、実習費などを含めておおよそ200万~300万円程度が一般的です。これに比べ、夜間課程は夕方や夜間を中心に授業が行われるため、150万~200万円前後とややリーズナブル。通信課程はさらにコストが抑えられ、50万円~70万円ほどの学費で学ぶことが可能です。
アイリストになるまでのステップ
ここからは、アイリストになるまでのステップを見ていきましょう。
美容師免許取得までの大まかな流れ
まず、美容師養成施設に通い、所定のカリキュラムを修了します。昼間や夜間で2年以上、通信では3年以上の学びを経ることで、国家試験の受験資格が得られます。修了後は、国家試験を受験し、学科と実技の両方に合格しなければなりません。
試験合格後は、必要な書類を揃えて申請を行うことで、美容師名簿への登録へと進み、正式に美容師免許が取得できます。免許を手にしたら、アシスタントとして現場で経験を積み、アイリストとして活躍できる土台が整います。
就職・実務デビューのタイミング
サロンへ就職したら、即デビューできるということはあまりありません。研修期間を経て、施術デビューを迎える流れが一般的です。現場では、受付業務や清掃、予約対応、器具準備などを通じてサロンワーク全般を学びながら、少しずつ技術や接客の基礎を習得していきます。
研修期間の目安は約1〜3ヶ月で、その間に技術やマナー、カウンセリングの方法などをしっかり身につけます。
デビュー後は、指名やリピーターを獲得しながらスキルアップを重ねていくのが一般的なキャリアパスです。
【民間資格】スキルアップ・就職に役立つ選択肢
アイリストとしての実力を示し、就職やスキルアップに活かせる民間資格も存在します。美容師免許と異なり必須ではありませんが、持っていることで信頼度の向上や学びの機会として大きなメリットがあるでしょう。
JEAまつ毛エクステンション技能検定|JEA
JEAまつ毛エクステンション技能検定は、美容のプロとしてまつエクの安全性・技術力を認定するための試験です。ベーシック・スタンダード・プロフェッショナルの3段階に分かれており、上級に進むほど衛生管理や技術の正確さ、デザイン性などが求められます。
スタンダードとプロフェッショナルは施術を行う人向けに設定されており、美容師免許保持者や美容学校在学生が受験対象です。
引用元
一般社団法人日本アイリスト協会|JEAまつ毛エクステンション技能検定試験概要
まつ毛エクステンション技能検定|JECA
JECAのまつ毛エクステンション技能検定は、難易度に応じて段階的に実施される資格です。もっとも初級の3級ではまつエクの基本技術や用具の安全な扱い、安定した装着技術が求められます。
最高峰の1級では、スピードやバランス感、美的センスを備えたトップアイデザイナーとしての総合力が問われます。
引用元
JECA一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構|まつエク技能検定試験
5STAR技術評価試験|JLA
5STARは、まつエクの知識・理論・衛生・技術を5段階レベルで評価する試験です。もっとも下位のLevel1から最上位のLevel5まで5つの難易度あり、Level2以上は、美容師免許を取得していなければ受験できません。
上位資格は、レベルにより異なる実務経験年数が受験条件として求められます。基礎から上級まで、徐々にレベルアップできる構成が魅力です。
アイリストに向いている人の特徴
アイリストに求められるのは、技術力だけではありません。どんな人がアイリストに向いているのか、その特徴を見ていきましょう。
1. コミュニケーション力が高い人
アイリストは、目元の施術を通じてお客様と非常に近い距離で関わります。お客様が何に悩んでいて、どんな仕上がりを求めているのかを的確に引き出せる人は、お客様からの信頼を得やすいです。
2. 美容やファッションに対する興味・関心が強い人
美容業界はトレンドの移り変わりが早い業界です。アイリストとして施術を行う際には、流行の色味や形、テイストを理解した上で提案することが求められます。
そのため、美容やファッションに強い興味を持ち、常にアンテナを張ってトレンドをキャッチして、自身の美意識を高め続けられる人は、お客様との共感を生む力にもつながるでしょう。
3. 手先が器用で細かい作業が得意な人
まつエクやまつ毛パーマは、1本1本の取り扱いや接着位置の精度が仕上がりを左右します。そのため手先が器用な人や、細かい作業が得意な人もアイリストに向いています。
ただし、たとえ不器用でも、練習を積めば安定した精度を出せるようになります。不器用だからといって、アイリストになることを諦める必要はありません。
4. 体力と忍耐力がある人
施術中は長時間同じ姿勢を維持することが多く、肩や腰への負担も少なくありません。疲れても集中力を切らさず、ていねいな施術を提供し続けられる人は、現場でも評価されやすい傾向があるようです。
5. 向上心が強く、学び続ける意欲がある人
アイデザインの世界は、技術や薬剤なども日々進化しています。自分を高めたいという向上心と学び続けたいという探究心を持つ人は、結果的にお客様の満足度やキャリアアップにもつながります。
資格を持たずにオーナー開業は可能?
アイラッシュサロンは、オーナー自身が美容師免許を持っていなくても、開業自体は可能です。ただし、店舗で施術をするには、美容師免許を持ったスタッフが必要になります。施術をする人が免許を有していることが法律上の要件なので、この点は理解しておきましょう。
また、スタッフを二人以上雇用する場合は「管理美容師」の配置が義務づけられます。管理美容師になるには、美容師免許取得後に3年以上美容に関する実務経験を積み、都道府県知事が指定した講習を受けなければなりません。
結論として、オーナーとしての経営は無資格でも可能です。しかし、店舗の運営や将来的な展開のためには、資格を持つスタッフの配置や管理美容師の設置を視野に入れて計画を立てることが重要です。
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アイリストへの第一歩は美容師免許の取得から
アイリストとしてスタートするには、美容師免許の取得が欠かせません。目元施術には技術と安全知識が求められるため、この国家資格がプロとしての信頼を支えます。
まず専門教育機関で所定のカリキュラムを修了し、筆記と実技の国家試験に臨みましょう。両方に合格して初めて免許が取得でき、なお、試験に一部合格していれば次回は未受験の科目だけ受験できる再受験制度もあります。
アイリストへの第一歩を踏み出すなら、まずは美容師免許の取得を目指してみてはいかがでしょうか。