東京のサロンでの10年間の勤務を経て、岩手でUターン開業。
特別な集客はせずに、KIKORIは紹介でお客様を増やしてこられました。
どのようなお店づくりをしているのか。KIKORIの千葉 なつみ様にお話を伺いました。
目次
忙しい女性に、息抜きできるひとときを
お店のコンセプトを教えてください
「何もないがいい」をお客様にお伝えしたくて。
私もそうですけど、メディアに触れたり人に会っていたりとかで、頭のなかを空っぽにする時間って、ほとんどないと思うんです。
完全にオフにする —— 子どものことも家のことも、何も考えずにぼんやりする —— 時間がない気がしています。
なので、「何もないがいい」を伝えるお店を作ろうと思いました。
コンセプトはどのように表現していますか?
いろんなところに目がいかないように、物をあまり置かないようにしています。
鏡が大きいと、恥ずかしい反面、自分を見つめ直すキッカケになるんですよね。
何ヶ月かに1回は、動きやすい服じゃなくて、自分が着たい服を着て鏡の前に立つよさはあるかなと思って、大きい鏡にしています。
うちのお店は女性のお客様がほとんどで、忙しいお母さん世代の人たちが多く、自分を見つめ直す時間ってほとんどないんですよね。
田舎だと同居している人が多いので、女の人が、みんなのお母さん役なんです。おじいちゃんおばあちゃんからも「お母さん」って呼ばれて。
「今日すごくすっきりして、ちょっとお母さんじゃなくて自分に戻れた」と感じていただけたらいいなと思っています。
ちょっとの時間でもぼんやりして息抜きできるところがあるといいなと思い、お店を作りました。
お客様の声に耳を傾けて、待つ
接客で心がけていることはありますか?
とにかく話を聞く。
下北沢と表参道で10年ほど美容師の経験を積んで、7年前に岩手に帰ってきました。最初の2年半は面貸しで働いていました。
すぐに独立したら失敗すると思ったんです。東京と岩手は需要が違う感じがしたので。
面貸しでカットしてわかったのは、自己否定から話す人が多いことです。
やりたい髪型をスマホで検索して、美容室に持っていくことありますよね。こちらの方はスマホを出さないんですよ。
「やりたい髪型ありますか?」って聞くと、「あるんだけど、私には似合わないと思うので、ちょっと恥ずかしくて出せません」とか。
「好きな感じを知りたいだけだから、似合う似合わないは気にせず、出して欲しいです」って言うと、しぶしぶ出してくださいます。それも10分くらい対話しないと出していただけなかったりします。
この背景には、否定する美容師さんが田舎に多いことがあると思っています。
3回・4回と来てくださり積極的に話すようになると、「こんなに『この髪型似合いますよ』とか、『この髪型をやりたいんだったら、似合うのはこういう感じで、こうなれば似合いますよ』みたいに言ってくれる人ってこれまでいなかった」という話を聞くことがあります。
写真を見せて、「あ、似合わないね」と言われて終わることが多かったみたいなんです。
だから、最初の10分15分は「うんうん」って聞いて、お客様がこれ以上もう自分の話を出せないなって、写真を出してくれるまで待ちますね。
聞き方で工夫していることはありますか?
田舎の人ってつながりを聞かれるのが嫌なんです。人がいなさすぎて、知り合いの知り合いは知り合いみたいなところだから。
なので、仕事の話も家の話もしてくれればしますけど、基本的には何も聞かないようにしています。「髪型どうしたいですか」っていう話からしかしないです。
田舎だと、何にも聞かない人なんだと思うと話してくれることもあるし、聞かないことがラクだと思ってもらえることもあるので。
車が止まっているだけで、あの人今日いるなとわかる世界ですからね。だからこそ、「何も聞かれないところ」ってすごいラクだと思うんですよね。
なのでまず髪型のことを掘り下げます。見た感じでどういう悩みとか、ダメージ具合とかもわかるわけじゃないですか。
その上で「じゃあ、これをしていきましょう」とカットを始め、カラーを塗りながらいろんな話をしますけど、なるべくお客様のことは掘り下げないようにしています。
何がお客様に喜ばれていると思いますか?
個人店 —— マンツーマンのお店—— がいいっていう方が多いですね。
また、他の美容室で話して「あ、そうなんですね」で終わる会話を掘り下げられるようにしているので、「楽しく過ごせます」と言ってくださる方が多いように思います。
普段から、本を読んだりニュースを見たりして、話の幅を広く浅くできるように心がけています。
美容師的なことでいうと、「専門的に答えてくれる美容師さんが少なかった」とおっしゃる方が多いです。
「髪の乾かし方とか、クシでとかすタイミングとか、スタイリング剤の使い方とか。それをちょっと見直すだけで、お金をかけなくても髪の毛って良くなったりするんですよ」みたいな話をすると、「乾かし方まで教えてもらったことなかった」とか、「物を買わずにできるケアを教えてくれるところは本当になかった」と言われることが多いですね。
3ヶ月で、プランアップと脱毛機の費用を回収
えりあし脱毛のメニューを始められたのは、きっかけがあったんですか?
「お客様のえりあしが、あとちょっと短かったら」と思うことがあったんです。
最近ボブとかミニボブとかが流行っているじゃないですか。実は日本人って、うなじがめちゃくちゃ長いんです。
「伸びてきたえりあしがYシャツについてるのって汚く見えるな」と思っていて、気になって剃ったりはするんですけど、「これがなかったらデザイン的にめっちゃいいのにな」って感じることが多かったんですよ。
美容雑誌を見ているとき、業務用脱毛機の広告が出ていて、「あ、こういうのあるんだ」と思って資料請求したのが始まりですね。
リザービアの話をしていいですか。
プランアップして、オプションメニューを選べるようになってから、「オプションって何ですか?」とお客様から聞かれるようになりました。
施術テーブルに脱毛の資料を置いているんですけど、みなさん、すごく予約してくださるようになりました。予約時にメニューを選択したら、いい意味でいちいちオプションが出てくるじゃないですか。
あれが功を奏して、オプションの予約率がすごく高いです。
プランアップして、オプションが出るようになった違いを感じてくださっているんですね
ものすごく違いを感じます。
脱毛をやったほうがいいかなと思っているけど、押されることが嫌な方が多く、お客様から言ってくれるほうが長続きしやすいことはもうわかったので、言われるまで待つことにしているんです。
予約時にオプションメニューが必ず表示されるので、「オプション増えたんですね」や「気になって予約を入れてみました」とおっしゃる方が多くて、本当に助かっています。
プランをライトからベーシックに変えて、他に便利になったことはありますか?
予約アプリのサロンカードを使えるようになって、お客様が常連化しやすくなった感じがします。
「前やったメニュー何でしたっけ」や、「前回トリートメントしましたっけ」という問い合わせが多く、DMで返信する手間がありました。
何回前に毛先のカラーをしたかがサロンカードで見やすくなったことで、問い合わせが減りました。来店時に「今日はフルカラーの日ですよ」とお伝えする手間も省けました。
あと何回も言うようですけど、オプションが素晴らしい。
※現在、ライトプランの新規申し込みはできません。
サロン様の単価アップにつがるよう、オプションは絶対見逃さない位置に出すデザインにしているんです
オプションの追加を美容師からお客様には言いづらいですけど、予約時にオプション画面が表示されることで、「あ、これあった!」ってなりますよね。
脱毛は一度予約を入れてくだされば、クールが固定になるんです。
なので1回目が大事なんですけど、こっちから「どうですか?」っていうよりも、(予約時に)画面にスッと出てくると、「脱毛したい気がするな」で1回目を始められるので有り難いです。
オプションメニューを使うようになって、どれくらい予約が増えたかはわかりますか?
オプションを導入したタイミングでプランを変更したので、予約数の変化はわかりづらいです。
ただ、いま脱毛機を導入して3ヶ月目になるところで、2ヶ月目まではテーブルに冊子を置いてたんですけど、3ヶ月目からは冊子を置かなくても予約する方がすごく増えました。
これまでは、「えりあしこんな感じですよ。ここ気になるのでお取りしますね。気になれば脱毛もできます」のようにお伝えしていました。
それがいまは、提案をせずともお客様から脱毛のメニューが入ります。「あ、やっぱり気になってましたよね」から始められるのは、気がラクでスムーズだし、わざわざ脱毛機を入れて、リザービアのプランを上げた意味があるなと思います。
もうプランアップと脱毛機のもとは取れました。
ライトプランのときは、「キャンセルのやり方がわからない」と言われることが何度かありました。
予約アプリのサロンカードだと、キャンセルや日付変更をしやすくなっているのもいいですね。
予約の操作がめんどくさくなることってありませんか。
スムーズにいけば問題ないけど、「あれどこだっけ」と迷う手間って、めんどくさく感じて、それが毎回だと予約するのがツラくなるじゃないですか。
これが失客する原因にもなりうると思うと、ライトプランよりベーシックプランのほうがおすすめですね。
リザービアを選んだのは費用対効果と使いやすさ
予約システムを導入しようと思ったきっかけを教えてください
元々、クーポンサイトを使っている美容室で働いてたのですが、個人店で使うには高すぎる料金だと感じていました。
私が独立したときは安いプランで6万円。しかも他店と比べられる状況で、安さを売りにしなきゃいけない6万円って高いと思ったんですよね。
東京でお世話になっていた先輩に、「この予約システムいいよ」と教えてもらったのが、リザービアだったんです。
その方がされていたのが、常連さんがいっぱい来るお店で、そういうお店に私もしたいなと思っていました。クーポンサイトだと新規はすごく来るんですけど、1回限りでこっちが疲れちゃうんですよね。
どこかと比べて「安いからここにしよう」ではなく、本当にうちの店に来たい人が予約できるシステムのほうがいいなと思って、リザービアを選ばせていただきました。
リザービアを選んだ決め手はありますか?
最初の決め手は値段でした。
加えて、「費用対効果が高く、クーポンを出せて、お客様が予約しやすい」システムがないか、いくつか調べたんですけど、リザービアが1番すっきりして見やすかったです。
「すっきりして見やすい」は、Webの予約ページのことを指していますか?
予約ページもそうですし、私の管理画面もやりやすかったです。
クーポンサイトは、私にはちょっと使いづらかったんですよね。
クーポンサイトにはいろんな美容室があって、自分のお店を(検索結果で)トップに出せるように「文言を増やしましょう」とか、「こうしたらお客様もっと来ますよ」とか、あれがちょっとめんどくさくて。来られた方も、1回しか来ないことが多いし。
リザービアは、自分のお客様に伝わればいいやぐらいの気持ちで入力できる気楽さがありました。
最後に、今後の展望はありますか?
すこし話がそれるのですが、国際関係の仕事に興味があって、学生のときバングラデシュに行きました。私が行った17年前は、アジアで最貧国でした。
滞在中は衝撃的なことが多く、国際関係のボランティアをしようと心に決めていました。
最終日に、民族衣装のサリーを着せてくれる機会がありました。現地の方がリップとチークとアイシャドウをしたときに、普段は化粧をしないから特別な日だって、女の人たちがすごく喜んでいるんですよ。
その姿を見て、美しくなることの良さがすごく感じられて、これはやっぱり美容師だなと思っていま美容師をやっています。
今後の展望としては、地域の人たちが気づいていない、自分のよさや他人のよさがもっと出る地域になるよう、美容師という職業に限らずできることをしていきたいです。
自信を持って生きるための選択肢が多い地域にしていきたいと思います。
編集後記
岩手県一関市。この地域のお客様は、どういう思考を持っていて、髪の毛以外のことでもどんなことに困っているのか。
お客様のことを理解し、関係性をつくったうえで提案することが、お客様の感動につながっているのだろうなと感じました。
興味を持たれた方は、KIKORIの Instagram をご覧ください。